死なない奴等の愚行
第83話 行け! 農家のおじさん!
小さな漁船を借り、ユーリに引っ張って貰って団員が封印されてしまっている場所に向かう。船に乗っているのは俺ことケルベロス、そしてマヤ、博士……そして農家のおじさん……違う、デュラハンのデュラ爺さんだ。
デュラ爺さんは相変わらず見た目が農家のおじさんだ。ガタイはいいので漁師らしいかもしれないが、麦わら帽子を被っているとどうしても農家の印象が強い。
漁船に乗ると物凄い場違いな感じがする。
そもそもだ。どうしてデュラが同行しているのか。マヤと博士、そして俺が当初行くはずだった。だが、ちょうど海賊を何組か殲滅して帰って来たところ、ばったり出会ったのだ。それで話を聞いて興味があると言ってついてきた。
一応デュラの爺さんも作戦担当だったような気がるのだが……。海賊を相手にするなら、ここにいては駄目なんじゃ…………え? 海賊相手なら正面からぶつかるなり、船底に穴を開ければいい? あ、そうですか。
そんな訳で俺を含め五人で現場に向かっている。ユーリ(人魚)、マヤ(魔法馬鹿)、博士(魔道具馬鹿)、デュラ(農家のおじさん)とよく分からないメンバーだが、まあ何かあってもとりあえず大丈夫そう…………メンバーの方がむしろ危険かもしれない。
特にマヤメンバーと博士メンバーが。
果たして無事に戻って来れるのかと不安に思いながら、ユーリに引っ張って貰って二十分ほどが経過した頃。目的の現場に辿り着いた。
「ここの真下だよ、団員が封印されてるの」
「よしっ、それじゃあケルベロスくん、行ってきなさいっ!」
「ケルベロス頑張ってねー」
「…………ユーリ深さは?」
「300メートルくらい」
「行けるか!」
博士とマヤは俺を何だと思ってるんだ…………って、なんか博士が用意してる!?
「おいジジイ! なんだそれ!?」
「ん? これは適応くんだっ! どんな環境でも問題なく活動できる魔道具だっ! さあ、これを身に付ければ問題なく海底に行けるぞっ!」
適応くんか……いや、うん凄いな。どんな環境でも問題なく活動できるのか……活動……活動ね……。
「博士、俺には檻に見えるんだが?」
「ああ、檻をベースに作ったからなっ!」
「どうやって活動しろって言うんだジジイッ!」
適応くんは人が一人くらいしか入れない細長い檻だった。こんなのでどうやって活動しろというのか? それに博士が作った魔道具だ……また隠されている機能が備わっているかもしれない。俺はパペットくんで敵陣に一人突っ込まされたのは一生忘れないぞ。
きっとこの適応くんにもモンスターを呼び寄せるとか……そういう機能が備わっているに違いない。
適応くんを使え使わないで博士と押し問答をしていると、黙っていたデュラ爺さんが沈黙を破る。
「ふむ……では儂が行くとするかの」
「え!」
デュラ爺さんはデュラハンであり、ゼンよりも遥かに年上のはずだ。実力も相当なものだと思うが…………農家の格好だとあまりに頼りない。
「デュラ爺さん……こんな魔道具あてにならないって……」
「大丈夫じゃよ。もし、この魔道具が爆発しようと問題ない。伊達に千年以上生きてないわ……まあ保険はかけておこうかの」
「うーん……ケルベロスくんに使って貰いたかったんだが、まあ仕方ない! それじゃあデュラさん、こちらへ」
博士に誘導され、適応くんの扉を開けて準備を始める。まあ、準備といっても中に入るだけだと思うが…………と思っていたら、やはりすぐ終わったらしくデュラの爺さんは戻って来る……胴体だけが。
「それじゃあ行って来るぞ」
デュラの首はそう言うと、適応くんは浮かび上がり海面に触れるかどうかの位置に移動する。そしてゆっくりと沈んでいった。
こうしてデュラの首だけが入った状態で、適応くんは沈んでいった。
ちょっ、お爺ちゃん! 胴体! 胴体忘れてってるよ! いいの!?
物忘れが多いお年寄りでも、自分の体を置いていくような人はいないと思う。千年も生きるとボケもハードだ。
デュラ爺さんは相変わらず見た目が農家のおじさんだ。ガタイはいいので漁師らしいかもしれないが、麦わら帽子を被っているとどうしても農家の印象が強い。
漁船に乗ると物凄い場違いな感じがする。
そもそもだ。どうしてデュラが同行しているのか。マヤと博士、そして俺が当初行くはずだった。だが、ちょうど海賊を何組か殲滅して帰って来たところ、ばったり出会ったのだ。それで話を聞いて興味があると言ってついてきた。
一応デュラの爺さんも作戦担当だったような気がるのだが……。海賊を相手にするなら、ここにいては駄目なんじゃ…………え? 海賊相手なら正面からぶつかるなり、船底に穴を開ければいい? あ、そうですか。
そんな訳で俺を含め五人で現場に向かっている。ユーリ(人魚)、マヤ(魔法馬鹿)、博士(魔道具馬鹿)、デュラ(農家のおじさん)とよく分からないメンバーだが、まあ何かあってもとりあえず大丈夫そう…………メンバーの方がむしろ危険かもしれない。
特にマヤメンバーと博士メンバーが。
果たして無事に戻って来れるのかと不安に思いながら、ユーリに引っ張って貰って二十分ほどが経過した頃。目的の現場に辿り着いた。
「ここの真下だよ、団員が封印されてるの」
「よしっ、それじゃあケルベロスくん、行ってきなさいっ!」
「ケルベロス頑張ってねー」
「…………ユーリ深さは?」
「300メートルくらい」
「行けるか!」
博士とマヤは俺を何だと思ってるんだ…………って、なんか博士が用意してる!?
「おいジジイ! なんだそれ!?」
「ん? これは適応くんだっ! どんな環境でも問題なく活動できる魔道具だっ! さあ、これを身に付ければ問題なく海底に行けるぞっ!」
適応くんか……いや、うん凄いな。どんな環境でも問題なく活動できるのか……活動……活動ね……。
「博士、俺には檻に見えるんだが?」
「ああ、檻をベースに作ったからなっ!」
「どうやって活動しろって言うんだジジイッ!」
適応くんは人が一人くらいしか入れない細長い檻だった。こんなのでどうやって活動しろというのか? それに博士が作った魔道具だ……また隠されている機能が備わっているかもしれない。俺はパペットくんで敵陣に一人突っ込まされたのは一生忘れないぞ。
きっとこの適応くんにもモンスターを呼び寄せるとか……そういう機能が備わっているに違いない。
適応くんを使え使わないで博士と押し問答をしていると、黙っていたデュラ爺さんが沈黙を破る。
「ふむ……では儂が行くとするかの」
「え!」
デュラ爺さんはデュラハンであり、ゼンよりも遥かに年上のはずだ。実力も相当なものだと思うが…………農家の格好だとあまりに頼りない。
「デュラ爺さん……こんな魔道具あてにならないって……」
「大丈夫じゃよ。もし、この魔道具が爆発しようと問題ない。伊達に千年以上生きてないわ……まあ保険はかけておこうかの」
「うーん……ケルベロスくんに使って貰いたかったんだが、まあ仕方ない! それじゃあデュラさん、こちらへ」
博士に誘導され、適応くんの扉を開けて準備を始める。まあ、準備といっても中に入るだけだと思うが…………と思っていたら、やはりすぐ終わったらしくデュラの爺さんは戻って来る……胴体だけが。
「それじゃあ行って来るぞ」
デュラの首はそう言うと、適応くんは浮かび上がり海面に触れるかどうかの位置に移動する。そしてゆっくりと沈んでいった。
こうしてデュラの首だけが入った状態で、適応くんは沈んでいった。
ちょっ、お爺ちゃん! 胴体! 胴体忘れてってるよ! いいの!?
物忘れが多いお年寄りでも、自分の体を置いていくような人はいないと思う。千年も生きるとボケもハードだ。
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