死なない奴等の愚行
第57話 その男、ジレドラ
「でも、さすがにマズイよな……」
幌馬車の中で無心になっている団員、そして御者をしている団員すら何も反応をしない。
封印するとか言ってるし、このまま隠れているのはイモータルが、そして俺の身も危ない。でも、タロスも何をしているんだ?もしかして既にやられたのか?
相手から見られないよう、幌馬車の下から這い出た。そしてタロスを見つけた。どうやら無事のようなのだが…………どうして手を振ってるの?
まるで友人のように親しげに手を振っている。
あれ? もしかして思ったよりもピンチじゃない?
「何なんだ、あいつら?」
腕に刺さっていた矢を抜きながら幌馬車の陰から奴等を観察する。
……見たところ盗賊ではないようだ。盗賊にしては武装が揃えられている。何処かの国の軍隊なのだろうか? それと先程から話している男は……派手だ。とにかく派手だった。
他は黒の甲冑で身を包んでいるが、銀色の糸で幾つもの魔法陣を刺繍されている金色のローブを身に着けている。先程から光が反射して眩しいのだが、それでも目を向けてしまうのがインパクト抜群の奴の髪型だ。空へ向かってピンと伸びていて、まるで頭に剣が生えているかのようである。あの頭で体当たりをくらったら痛そうだ。
「あんな変な奴に封印なんてされたら恥ずかしいな……」
本当に封印できるほどの力がアレにあるのかは怪しいが警戒して損はない。
適当な人を無心状態から正常に戻って貰うか、身の安全の為にタロスの方へ向かおうか。そんな事を考えていると空から女性の声が降って来た。
「あらー、騒がしいと思ったらー。お久し振りですねージレドラさん」
間延びした特徴的な声、これはマヤの声だ。
見上げると本人はそこには居ないが、収納魔法を使う際に出現する黒い穴が出現していてそこから声が聞こえる。
それにしても久し振りという事は知り合いなのだろうか?
「その声はマヤか!」
「ええー、マヤですよー。それで今日は何の用ですかー?」
「決まっているだろう! お前達を封印しに来た!」
「またですかー。いい加減やめましょうよー。そう言って挑んで来たのは何回目ですかー? あなたの根性は認めますがー、正直無駄な努力ですよー」
マヤは穏やかな口調だが言っている事は辛辣だ。
ジレドラとやらはマヤの言葉に怒り心頭な様子で声を荒上げる。
「無駄な努力だと! お前ら不死身という人間の理から外れた者を罰する為に費やしてきた時間、労力を無駄だと言うか!」
「無駄ですよー。無駄、無駄ぁー。もっと別の研究をした方がいいですよー。いやーこれまで無駄な事に時間を割いていた事には同情してあげますよー」
「貴様ぁぁぁぁぁぁっ!」
ジレドラは怒りのあまり顔が真っ赤になっていた。
あれだけ自分のしている事を否定されてしまったら怒るだろう。だが、俺は同情しない。なぜならジレドラの吐いた言葉から察するに、完全に俺達、イモータルの敵だからだ。何かの宗教団体か何かは分からないが、完全に不死身の存在を排除せよといった思考の持ち主のようだ。
だとしたら敵だ。同情する必要は一切ない。
「そうやって侮っているのも今の内だぞ! 今日こそは、お前ら全員を確実に封印する手立てを用意した!」
「手立てねー。それって私達の周囲に仕込まれた魔法陣の事?」
「っ!?」
え、魔法陣があるの? こんなところに?
足下を見てみたがまるで分からない。だが、ジレドラの顔を見れば図星である事が分かるる。どうやら本当に魔法陣があるらしい。埋めてあるのだろうか?
「魔法陣を起動して爆発を起こして私達を生き埋めにー。その後、私達が埋まった上からー封印魔法を施すつもりでしょーう?」
「…………」
無言を貫くジレドラ
どうやら彼の言っていた手立てとやらは完全にマヤにはばれているようだ。
幌馬車の中で無心になっている団員、そして御者をしている団員すら何も反応をしない。
封印するとか言ってるし、このまま隠れているのはイモータルが、そして俺の身も危ない。でも、タロスも何をしているんだ?もしかして既にやられたのか?
相手から見られないよう、幌馬車の下から這い出た。そしてタロスを見つけた。どうやら無事のようなのだが…………どうして手を振ってるの?
まるで友人のように親しげに手を振っている。
あれ? もしかして思ったよりもピンチじゃない?
「何なんだ、あいつら?」
腕に刺さっていた矢を抜きながら幌馬車の陰から奴等を観察する。
……見たところ盗賊ではないようだ。盗賊にしては武装が揃えられている。何処かの国の軍隊なのだろうか? それと先程から話している男は……派手だ。とにかく派手だった。
他は黒の甲冑で身を包んでいるが、銀色の糸で幾つもの魔法陣を刺繍されている金色のローブを身に着けている。先程から光が反射して眩しいのだが、それでも目を向けてしまうのがインパクト抜群の奴の髪型だ。空へ向かってピンと伸びていて、まるで頭に剣が生えているかのようである。あの頭で体当たりをくらったら痛そうだ。
「あんな変な奴に封印なんてされたら恥ずかしいな……」
本当に封印できるほどの力がアレにあるのかは怪しいが警戒して損はない。
適当な人を無心状態から正常に戻って貰うか、身の安全の為にタロスの方へ向かおうか。そんな事を考えていると空から女性の声が降って来た。
「あらー、騒がしいと思ったらー。お久し振りですねージレドラさん」
間延びした特徴的な声、これはマヤの声だ。
見上げると本人はそこには居ないが、収納魔法を使う際に出現する黒い穴が出現していてそこから声が聞こえる。
それにしても久し振りという事は知り合いなのだろうか?
「その声はマヤか!」
「ええー、マヤですよー。それで今日は何の用ですかー?」
「決まっているだろう! お前達を封印しに来た!」
「またですかー。いい加減やめましょうよー。そう言って挑んで来たのは何回目ですかー? あなたの根性は認めますがー、正直無駄な努力ですよー」
マヤは穏やかな口調だが言っている事は辛辣だ。
ジレドラとやらはマヤの言葉に怒り心頭な様子で声を荒上げる。
「無駄な努力だと! お前ら不死身という人間の理から外れた者を罰する為に費やしてきた時間、労力を無駄だと言うか!」
「無駄ですよー。無駄、無駄ぁー。もっと別の研究をした方がいいですよー。いやーこれまで無駄な事に時間を割いていた事には同情してあげますよー」
「貴様ぁぁぁぁぁぁっ!」
ジレドラは怒りのあまり顔が真っ赤になっていた。
あれだけ自分のしている事を否定されてしまったら怒るだろう。だが、俺は同情しない。なぜならジレドラの吐いた言葉から察するに、完全に俺達、イモータルの敵だからだ。何かの宗教団体か何かは分からないが、完全に不死身の存在を排除せよといった思考の持ち主のようだ。
だとしたら敵だ。同情する必要は一切ない。
「そうやって侮っているのも今の内だぞ! 今日こそは、お前ら全員を確実に封印する手立てを用意した!」
「手立てねー。それって私達の周囲に仕込まれた魔法陣の事?」
「っ!?」
え、魔法陣があるの? こんなところに?
足下を見てみたがまるで分からない。だが、ジレドラの顔を見れば図星である事が分かるる。どうやら本当に魔法陣があるらしい。埋めてあるのだろうか?
「魔法陣を起動して爆発を起こして私達を生き埋めにー。その後、私達が埋まった上からー封印魔法を施すつもりでしょーう?」
「…………」
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どうやら彼の言っていた手立てとやらは完全にマヤにはばれているようだ。
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