死なない奴等の愚行
第17話 オッサン、少女に対する卑猥な行為をした容疑で封印?
「ど、どうして? まさかフェルのマスコット担当って、そういうエッチな事をする担当って事なのか!?」
「違う、あの子は本当にペットなんだ」
「……俺、サラだけはまともだと思ったのに」
「私はまともだ。ちょ、ちょっと泣くなっ!」
サラに言われるまで気付かなかったが目から涙が流れていた。
どうやら彼女がまともじゃなかった事が思いのほかショックだったようだ。
「思いっ切り遠くに投げられるわ、気付いたら不死身になってるわ、ケルベロスって名前を付けられるわ、また思いっ切り投げられるわ……。一人だけでもまともな人が居る事に安心していたのに……」
イモータルに関わってからの出来事を並べたら余計に悲しくなった。
「あー、すまない。言葉足らずだった。彼女はな、団長が不老不死になる前から飼っていた犬なんだ」
「犬?」
「そう。団長が初めて不老不死の力を使ったのがフェルなんだ。彼女は百年くらいは犬の姿のままだったんだけど、突然獣人のような姿に変わったらしい。どうしてそうなったかは分からない。動物相手に不老不死の力を使ったのは彼女だけだしな」
なるほど、それなら彼女の発言に対して納得がいく。
獣人と訊いても違うと言われたり、初めての相手というのは不老不死の力を使ったのが初めてという事だろう。
「そういう事だったのか……」
「そうよ。本当にフェルには困らされる。見ず知らずの人にもゼンが飼い主とか言ったりするから犯罪と勘違いされるし……。それにトラブルメーカーとまでは言わないが、トラブルをよく持って来るから余計な依頼を引き受けなきゃならないわ。飼い主に似るっていうけど、そんな自由奔放なところは似て欲しくなかったな」
どうやらフェルにも苦労させられているようで、サラは深い溜息を吐く。
「……本当に変態ロリコン野郎だったら、それを理由にイモータルの総力を持って封印してやったのに」
彼女の目はマジだった。
相当ストレスを抱え込んでいるようだ。だが、彼女は休む事はできない。他に彼女の仕事をできるような人は居ないから。
「ここだー!」
「「!?」」
部屋の扉が開くと同時に元気な声を発しながら小柄な人物が入って来た。
振り返ると、そこにはフェルが居た。どうやら俺を追って来たようで、俺を視界に入れると尻尾をブンブン振り、目を輝かせる。目の前に居るのは小柄な少女のはずだが、俺はまるで獰猛なモンスターに発見された捕食対象の気分だった。
これはマズい。そう俺の直観が訴えていた。
「ケルベロスー!」
「!?」
「わっ!?」
彼女はそのままタックルとも思える勢いで俺に向かって跳躍した。彼女からしたら抱き着こうとしているだけだと思うが、俺の胸へ飛び込んで来た瞬間、足が床から離れて体が後方に飛んだ。
背後には机で作業するサラが居たが、彼女は咄嗟に屈んで避けた。
障害物がなくなり、俺はフェルに抱き着かれたまま窓に背中から衝突する。そして勢いはそれだけでは止まらない。そのまま窓をブチ破り、窓の外へ。
地面に吸い込まれるようにして落下。
鈍い音を発しながら背中で着地。背中に激痛が走る。
「ぎゃぁあああああああああああああああああああああああ!」
「あはははははは! 落ちちゃった! あはははははは!」
俺は激痛に悲鳴を上げるが、フェルは何が面白いのか声を上げて笑っていた。
窓の破砕音か、俺が地面に落ちた音で異変に気付いたらしく、昨夜の歓迎会で見た団員達が何事かと部屋から顔を出す。そして地面に倒れて悲鳴を上げる俺と、その上で笑っているフェルを発見する。
そして口を揃えて言うのだ。
「「「「「楽しそうだな」」」」」
楽しんでねえよ! 重傷を負って苦しんでるんだよ!
そう言ってやりたかったが、激痛のあまり悲鳴を上げたりしていてそんな余裕はなかった。
「ああ……また弁償しないと……」
あとサラは気持ちは分かるけど、少しは心配してくれてもいいんじゃないか?
「違う、あの子は本当にペットなんだ」
「……俺、サラだけはまともだと思ったのに」
「私はまともだ。ちょ、ちょっと泣くなっ!」
サラに言われるまで気付かなかったが目から涙が流れていた。
どうやら彼女がまともじゃなかった事が思いのほかショックだったようだ。
「思いっ切り遠くに投げられるわ、気付いたら不死身になってるわ、ケルベロスって名前を付けられるわ、また思いっ切り投げられるわ……。一人だけでもまともな人が居る事に安心していたのに……」
イモータルに関わってからの出来事を並べたら余計に悲しくなった。
「あー、すまない。言葉足らずだった。彼女はな、団長が不老不死になる前から飼っていた犬なんだ」
「犬?」
「そう。団長が初めて不老不死の力を使ったのがフェルなんだ。彼女は百年くらいは犬の姿のままだったんだけど、突然獣人のような姿に変わったらしい。どうしてそうなったかは分からない。動物相手に不老不死の力を使ったのは彼女だけだしな」
なるほど、それなら彼女の発言に対して納得がいく。
獣人と訊いても違うと言われたり、初めての相手というのは不老不死の力を使ったのが初めてという事だろう。
「そういう事だったのか……」
「そうよ。本当にフェルには困らされる。見ず知らずの人にもゼンが飼い主とか言ったりするから犯罪と勘違いされるし……。それにトラブルメーカーとまでは言わないが、トラブルをよく持って来るから余計な依頼を引き受けなきゃならないわ。飼い主に似るっていうけど、そんな自由奔放なところは似て欲しくなかったな」
どうやらフェルにも苦労させられているようで、サラは深い溜息を吐く。
「……本当に変態ロリコン野郎だったら、それを理由にイモータルの総力を持って封印してやったのに」
彼女の目はマジだった。
相当ストレスを抱え込んでいるようだ。だが、彼女は休む事はできない。他に彼女の仕事をできるような人は居ないから。
「ここだー!」
「「!?」」
部屋の扉が開くと同時に元気な声を発しながら小柄な人物が入って来た。
振り返ると、そこにはフェルが居た。どうやら俺を追って来たようで、俺を視界に入れると尻尾をブンブン振り、目を輝かせる。目の前に居るのは小柄な少女のはずだが、俺はまるで獰猛なモンスターに発見された捕食対象の気分だった。
これはマズい。そう俺の直観が訴えていた。
「ケルベロスー!」
「!?」
「わっ!?」
彼女はそのままタックルとも思える勢いで俺に向かって跳躍した。彼女からしたら抱き着こうとしているだけだと思うが、俺の胸へ飛び込んで来た瞬間、足が床から離れて体が後方に飛んだ。
背後には机で作業するサラが居たが、彼女は咄嗟に屈んで避けた。
障害物がなくなり、俺はフェルに抱き着かれたまま窓に背中から衝突する。そして勢いはそれだけでは止まらない。そのまま窓をブチ破り、窓の外へ。
地面に吸い込まれるようにして落下。
鈍い音を発しながら背中で着地。背中に激痛が走る。
「ぎゃぁあああああああああああああああああああああああ!」
「あはははははは! 落ちちゃった! あはははははは!」
俺は激痛に悲鳴を上げるが、フェルは何が面白いのか声を上げて笑っていた。
窓の破砕音か、俺が地面に落ちた音で異変に気付いたらしく、昨夜の歓迎会で見た団員達が何事かと部屋から顔を出す。そして地面に倒れて悲鳴を上げる俺と、その上で笑っているフェルを発見する。
そして口を揃えて言うのだ。
「「「「「楽しそうだな」」」」」
楽しんでねえよ! 重傷を負って苦しんでるんだよ!
そう言ってやりたかったが、激痛のあまり悲鳴を上げたりしていてそんな余裕はなかった。
「ああ……また弁償しないと……」
あとサラは気持ちは分かるけど、少しは心配してくれてもいいんじゃないか?
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