異世界へ行く準備をする世界~他人を気にせずのびのびと過ごします~
第19話 初めてのDVD
家に行って必要なものを回収し、服と下着を入手してホテルに帰って来た。
ちなみに、服は彼女の要望通り、俺と似たような黒のジャージ。
他にも色があったので、そちらを勧めてみたが同じ色がいいと言うので黒にした。気に入ったようで、ホテルに戻るとすぐにラピスはジャージへと着替える。
喜んでくれるのはいいが、「マスターとお揃いです!」などと言われると、ペアルックのようで少し照れ臭かった。
そして、その日の夜。
「マスター! このDVDというのは面白いですね! 他にもあるんですか? 観たいです!」
俺は久し振りにDVD鑑賞をする事にした。
ラピスは最初わけも分からず、俺の隣で初めての映像に驚き「動いてます!」「どうなっているんですか?」などと興奮した様子で喋っていた。
だが、話が進むと言葉数は少なくなり、ラピスは画面に釘付けに。再生が終了すると、目を輝かせて他にも観たいとおねだりを始めるのだった。
「そんなに面白かったのか?」
「はいっ! もっと色んなものを観てみたいです!」
明日は魔物を相手にしない休みの予定なので、DVD鑑賞を続けて夜更かしもいいだろう。
今、観たのは日本の有名なアニメ映画だったので、次はまったく違う海外の実写映画にする。
これもラピスはお気に召したらしく、終始画面に釘付けだった。そして終了すると、また他にも観たいとせがまれて、また別のDVDを再生する。
さすがに午前三時くらいになると眠くなってきたので、DVDプレイヤーの扱い方を教えて俺は寝室に引っ込み眠りについた。
朝、といっても昼に近い十時頃に目を覚ます。
寝室を出て、テレビのある広間へ向かうとラピスはまだ観ていた。
どうやら今はバラエティ番組のDVDを観ているらしい。都内のレストランの美味しそうな高級料理が画面には映っていて、食べたいなんてラピスが言わないだろうかと焦る。
とてもじゃないが俺の料理スキルでは作れる気がしない。
この世界じゃレストランも営業していないので、行っても食べられない。
我儘を言う事はないと思うものの、とりあえず今は声を掛けるのはやめておき、画面から料理が消えたのを見計らって声を掛ける。
「ずっと観ていたのか?」
「あっ、おはようございますマスター。はい、色んなものが観られて面白いですね! このDVDというのは凄いです!」
プレイヤーの扱いにも慣れたようで、俺の方を向く際にしっかり一時停止をさせた。
「気に入ってくれたようで良かったが……あまり長い時間観てると目が疲れるぞ」
「はぁい。確かにマスターからの魔力の補充も忘れてしまうほど、夢中になっていたのでちょっと疲れちゃいました」
マジックドールは睡眠を必要としないが、行動を続けていると魔力を消費する。身体を動かしているわけではないが、DVDを観るという行為だけでも魔力を消費し続けるらしい。
昨夜は魔力の補充もしていないので、彼女の中にある俺の魔力が尽きかけているようだ。
「魔力の補充をするか?」
「はい……あっ、あと朝御飯を食べたいです!」
「分かった。とりあえず魔力の補充からな」
俺は魔力のコントロールもある程度できるようになっていた。自分の意思で放出する事も、止める事もできる。
ちなみに魂が強化された事で、魔力の量も増えていた。今ではラピスのマッサージを受けて活性化させなくても、魔力の補充可能だ。
ラピスの背後から、彼女の首に手をあてる。そしてゆっくりと魔力を流していった。
「ふわぁぁぁっ……染み渡りますぅぅぅ……」
風呂に入った時のような気の抜けた声を漏らすラピス。
彼女の体内の魔力が少なくなっていたせいか、まるでスポンジに水を染み込ませるかのように流した魔力がすぐに彼女の体内に吸収されていく。
「魔力がだいぶ少なくなっていたんだな。気を付けろよ」
「えへへへ……はぁい、気を付けますマスター」
今日は休みなのでいいが、魔物と戦う日の前日は視聴の時間を制限した方がいいかもしれない。
さすがに観たいと駄々をこねるような事はしないと思うが……要相談だな。
「……よし、こんなものか。厨房に行こう」
「はいっ!」
魔力の吸収速度が落ちて満杯になったのを感じて補充を切り上げる。
その後、厨房で遅い朝食をとりながら、観ていたDVDの感想をラピスから聞いた。
どれも面白かったらしいがアクション映画がお気に召したようだ。特に銃撃戦は異世界ではありえないものだからか、特に気に入ったらしい。
「凄いですね! 銃というんですか? あれがあればゴブリンは楽勝ですよ!」
「そうだな。でも、あまり異世界にない武器を使うのは嫌なんだ。できるだけ向こうのやり方に合わせておきたい……それに銃の使い方なんて分からないしな」
ファンタジー世界の戦い方をしたいというのもあるが、銃に関して知識は乏しいので使いたくないというのもある。
そんな頻繁に起こる事ではないと思うが、暴発とかしたら怖い。
「そうですか……でも、観ていて閃いた事があるんです!」
銃を使わないと聞くと残念そうにラピスは肩を落とすが、すぐに笑顔でそんな事を言い出す。
「閃いた? 何を?」
「ふふふっ……明日、また魔物と戦う時にお見せしますよ!」
意味深な笑みを浮かべるラピスに、俺はいったい何を思いついたのかと首を傾げるのだった。
ちなみに、服は彼女の要望通り、俺と似たような黒のジャージ。
他にも色があったので、そちらを勧めてみたが同じ色がいいと言うので黒にした。気に入ったようで、ホテルに戻るとすぐにラピスはジャージへと着替える。
喜んでくれるのはいいが、「マスターとお揃いです!」などと言われると、ペアルックのようで少し照れ臭かった。
そして、その日の夜。
「マスター! このDVDというのは面白いですね! 他にもあるんですか? 観たいです!」
俺は久し振りにDVD鑑賞をする事にした。
ラピスは最初わけも分からず、俺の隣で初めての映像に驚き「動いてます!」「どうなっているんですか?」などと興奮した様子で喋っていた。
だが、話が進むと言葉数は少なくなり、ラピスは画面に釘付けに。再生が終了すると、目を輝かせて他にも観たいとおねだりを始めるのだった。
「そんなに面白かったのか?」
「はいっ! もっと色んなものを観てみたいです!」
明日は魔物を相手にしない休みの予定なので、DVD鑑賞を続けて夜更かしもいいだろう。
今、観たのは日本の有名なアニメ映画だったので、次はまったく違う海外の実写映画にする。
これもラピスはお気に召したらしく、終始画面に釘付けだった。そして終了すると、また他にも観たいとせがまれて、また別のDVDを再生する。
さすがに午前三時くらいになると眠くなってきたので、DVDプレイヤーの扱い方を教えて俺は寝室に引っ込み眠りについた。
朝、といっても昼に近い十時頃に目を覚ます。
寝室を出て、テレビのある広間へ向かうとラピスはまだ観ていた。
どうやら今はバラエティ番組のDVDを観ているらしい。都内のレストランの美味しそうな高級料理が画面には映っていて、食べたいなんてラピスが言わないだろうかと焦る。
とてもじゃないが俺の料理スキルでは作れる気がしない。
この世界じゃレストランも営業していないので、行っても食べられない。
我儘を言う事はないと思うものの、とりあえず今は声を掛けるのはやめておき、画面から料理が消えたのを見計らって声を掛ける。
「ずっと観ていたのか?」
「あっ、おはようございますマスター。はい、色んなものが観られて面白いですね! このDVDというのは凄いです!」
プレイヤーの扱いにも慣れたようで、俺の方を向く際にしっかり一時停止をさせた。
「気に入ってくれたようで良かったが……あまり長い時間観てると目が疲れるぞ」
「はぁい。確かにマスターからの魔力の補充も忘れてしまうほど、夢中になっていたのでちょっと疲れちゃいました」
マジックドールは睡眠を必要としないが、行動を続けていると魔力を消費する。身体を動かしているわけではないが、DVDを観るという行為だけでも魔力を消費し続けるらしい。
昨夜は魔力の補充もしていないので、彼女の中にある俺の魔力が尽きかけているようだ。
「魔力の補充をするか?」
「はい……あっ、あと朝御飯を食べたいです!」
「分かった。とりあえず魔力の補充からな」
俺は魔力のコントロールもある程度できるようになっていた。自分の意思で放出する事も、止める事もできる。
ちなみに魂が強化された事で、魔力の量も増えていた。今ではラピスのマッサージを受けて活性化させなくても、魔力の補充可能だ。
ラピスの背後から、彼女の首に手をあてる。そしてゆっくりと魔力を流していった。
「ふわぁぁぁっ……染み渡りますぅぅぅ……」
風呂に入った時のような気の抜けた声を漏らすラピス。
彼女の体内の魔力が少なくなっていたせいか、まるでスポンジに水を染み込ませるかのように流した魔力がすぐに彼女の体内に吸収されていく。
「魔力がだいぶ少なくなっていたんだな。気を付けろよ」
「えへへへ……はぁい、気を付けますマスター」
今日は休みなのでいいが、魔物と戦う日の前日は視聴の時間を制限した方がいいかもしれない。
さすがに観たいと駄々をこねるような事はしないと思うが……要相談だな。
「……よし、こんなものか。厨房に行こう」
「はいっ!」
魔力の吸収速度が落ちて満杯になったのを感じて補充を切り上げる。
その後、厨房で遅い朝食をとりながら、観ていたDVDの感想をラピスから聞いた。
どれも面白かったらしいがアクション映画がお気に召したようだ。特に銃撃戦は異世界ではありえないものだからか、特に気に入ったらしい。
「凄いですね! 銃というんですか? あれがあればゴブリンは楽勝ですよ!」
「そうだな。でも、あまり異世界にない武器を使うのは嫌なんだ。できるだけ向こうのやり方に合わせておきたい……それに銃の使い方なんて分からないしな」
ファンタジー世界の戦い方をしたいというのもあるが、銃に関して知識は乏しいので使いたくないというのもある。
そんな頻繁に起こる事ではないと思うが、暴発とかしたら怖い。
「そうですか……でも、観ていて閃いた事があるんです!」
銃を使わないと聞くと残念そうにラピスは肩を落とすが、すぐに笑顔でそんな事を言い出す。
「閃いた? 何を?」
「ふふふっ……明日、また魔物と戦う時にお見せしますよ!」
意味深な笑みを浮かべるラピスに、俺はいったい何を思いついたのかと首を傾げるのだった。
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