お兄ちゃんは義妹が好きなものなんです!

カミュイP

ひとりの少女(いもうと)

今日の夕飯はどうしようかな。そんなことを考えながらガラス張りのエレベーターに乗ると先客がいた。その少女はどこか遠くを見つめて、とても悲しそうな顔をしていた。

あれから半年後

俺、  夕霧 時雨ゆうぎり しぐれの父親である夕霧 和ゆうぎり かずが再婚をしたらしい。母親は俺が小さいうちに死んでしまったから、

まぁちょうどいい頃合いだと思う。

俺は親もとを離れマンションに住んでいたためその事を父が嬉しそうに電話をかけてきて

「なぁなぁ、いいニュースがあるんだよ。
聞きたい?そうか聞きたいよな!」

「あーはいはい、で、なんなのそのニューs」

「俺、再婚することになったぜ」

「は?はぁぁぁぁぁ?!」

というやり取りをするまで全く知らなかった。
ちなみに父は普段からこのテンションだ。
そしてその再婚相手はどうやら家の逆で父親がいないらしい。

「どうも、こんばんは。今日から和さんの新しい妻になりました。
夕霧 早苗ゆうぎり さなえでーす。よろしく!」
元気な人だなー。そしてなんかイチャついてる声がした。
「それにしても早苗さんは美人だなー。」
「和さんこそ、ハンサムよねー。」
なるほど、これがバカップルか。

その後も何か言っていたが、いちいちイチャついていたので話を聞く気になれず適当に「はいはい」と返事をしていた。
これがほんの数日前の話。
そして、今日から高校二年生になる。
始業式は少し面倒だったがなんとか寝ずに済んだ。その後あった授業も終わったので疲れたし帰ることにする。

「時雨、あんたもゲーセンいくわよね?」

「お、おう」

まぁいいか。お金は父が毎月くれるから困っていない。なぜかわざわざ手渡しで。

今日はメンバーは俺と古くからの知り合いである茶髪で運動神経抜群の由来 遥花ゆら はるかと、高校で知り合った桃色の髪を持ち、整った顔立ちをしている如月 咲菜きさらぎ さきな
と行くことになった。
まぁ、この後どうなるかは目に見えていた。


「そこよ!時雨、とっちゃいなさい!」
「遥花、ちょっと静かにしてろ」
「時雨君、私のもお願いしていいかな?」
「分かったから、ちょっと待っててくれないか?」
「ちょっと、私の時とずいぶん対応が違うじゃない!」
「うるせぇ、これ取んねぇぞ。」
「なによ、時雨のくせに!」
「二人とも落ち着いて、ここ店内だよ。」
周りを見ると一応騒がしいゲームセンターの中ではあるがチラチラと視線が集まっていた。
「「ごめん・・・。」」
こんな感じでクレーンゲームの景品を取らされながら騒がしい時間を送っていた。

そして何個か景品を取ったところで今日は解散することにした。ちなみに俺と遥花はマンションの部屋が隣である。
「じゃあ、時雨また明日」
「おう、じゃ、また」
鍵を開けようとするともう開いていた。
なんだ親父、来てたのか。
風呂場の電気がついていた。
「親父ー、来るなら先に言っとけよ」そう言いながら風呂場のドアを開けると親父、ではなく少女がいた。

まるでエメラルドに綺麗な瞳、水滴によってキラキラと輝いて見える青く綺麗な髪。そして整っていながらあどけなさのあるかわいらしい顔。そんな女の子がいた。なんだこの子?

「・・・えっ?」

「きっ、キャーッ!」

「うわぁぁぁ!」

それがまさか、あの日の少女との再開になるとは思わなかった。

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