赤ずきんは高校生

雨羇ーウター

Huntsman

ヒーローは遅れて現れる それがメキシコ流だ

誰かかそう言っていたのを何となく思い出した。
何でメキシコなんだろう、なんてくだらないことは置いとこう。

「リン!大丈夫か!?」

そう叫びながら走ってきた男子生徒に気づいた赤月は

「リュウト!どうしたの?」

とても嬉しそうにそっちに駆け寄っていった。
その姿を見て、少し胸がドキッとした気がするのは思い違いなのだろう。

「さっきユキちゃんからお前が戻って来てないって聞いて。
部活終わったから、急いで探してた。ごめんな、遅くなって。」

どうやら彼は彼女を助けに来たらしい。
もうその必要がなくなっていたのは幸か不幸か。

「大丈夫だよ!変な奴らに絡まれてたけど大神先輩が助けてくれたの。
先輩、幼なじみのリュウトです。弓道部のエースなんですよ!」

リュウト、と呼ばれた彼はこちらを向いて

「2年の弓岡です。リンを助けてくれてありがとうございました。」

お礼を言ったが、その目が少し不満げだ。
本当なら自分が助けたかったのに、とでも言うように。
その目を見れば、彼が赤月に好意を抱いていることは簡単にわかる。
なんか、おもしろくないね。だけど俺はわざと茶化してみる。

「どうも、狩人くん。」

「はい?」

「弓岡リュウトって名前なんだろ?ユミオカリュウト、カリュウド、狩人。
それに弓道やってるんなら弓も使えるな。
ますます赤ずきんを助けに来る猟師、つまり狩人っぽいじゃん。」

弓岡はわけが分からないと言うように赤月の方を見ている。
形の整った眉を綺麗にひそめて。
赤月が何故か得意そうに含み笑いをしながら、

「さっきまでね、私たちの名前が童話の登場人物みたいって話してたの。
私が赤ずきんで、先輩がオオカミ。それでリュウトが狩人。」

と説明をした。
説明を聞いてもやっぱり何かおもしろくない。まるで弓岡がヒーローみたいで。

〝助けたのは、俺なのに〟


そんなことを考えてる俺に気づいた。なんだか今日は、らしくない。
これ以上いるとますますそうなるような気がして

「じゃあな赤月。狩人くんも来たみたいだし、もう行くな。
不良には気をつけろよ。」

俺は赤月の肩をぽん、とたたいてこの場から立ち去ることにした。

「先輩、ありがとうございました〜!」

と言う赤月の声が後ろから聞こえて、俺は軽く手をふった。
振り向けばよかったな、と後から思ったのは俺以外、誰も知らない話。



















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どうも、雨羇ーウターです!

今回は、2回とも大神目線でした〜
やっぱり男目線の方が書きやすいな〜、なんて思ってます笑

さてさて、これで3人の名前の由来がわかりましたね。
他の登場人物の名前も同じ感じです。
ちなみに同じ部活の人は、読んでから気づいたそうです。
あなたは分かっていましたか?

ではではまた次のお話で!

それでは。

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