人生の続きを異世界で!〜天界で鍛えて強くなる〜
フレーリア防衛戦③
「ここからだとよく見えるな」
城壁の上で周りを見ながら、正面で行われている戦争に目を向ける。
一時は左側が押されていたが、敵の指揮官が倒れたことで押し返している。
「多分メリアだろうな。ソフィアも活躍してくれてるし、頼りになる」
右側も抜群の安定感で順調に魔族を倒しており、負けることはなさそうだ。
「やっぱり、あの戦力じゃ攻めきれないよな。敵もそれはわかってるはずだし……」
やはり様子がおかしい。
普通なら撤退すべき場面だが、どちらの軍も撤退する素振りを見せない。
「撤退しないのは勝てる見込みがあるから。けど、あの戦力じゃ正面突破は無理……別働隊?」
そこまで考えると、ちらりと見えたメリアがこちらを向いている。
何やらこちらに伝えたいらしい。
「指さしてるのか? 方向は……東か」
メリアに伝わったと頷くと、フレーリアの東に向けて城壁の上を走る。
兵たちは正面に意識が集中しており、それ以外は目に入っていなさそうだ。
「目立たない別働隊で、城壁を破壊できるだけの敵……」
城壁を降りたミツキは、フレーリアの東に2つの人影を見つけた。
人影は顔がはっきりするまで近付くと、2人は驚いたようにミツキを見た。
「なんか人いるけどぉ?」
「1人だろ。迷った子供じゃねーか?」
「でも武器持ってるわねぇ」
「なら敵だ。どうせ、俺らのやることは変わんねぇよ」
「それもそうねぇ」
1人は緑色に淡く光る双剣を携えた、まだ若い男。
もう1人は人間にはない角を2本生やしている女性で、金砕棒を持っている。
「色の騎士と魔国の幹部ってやつか」
「あらぁ、なんでバレたのかしら」
「2人だけの別働隊だぞ。そりゃバレるわ」
「なるほどねぇ。考えれば簡単だわぁ」
男と魔族は納得したようで、それぞれ武器を構える。
「色の騎士団、『緑』のヨハン」
「魔王軍幹部が1人、レークイン」
「学園生徒、ミツキだ」
「学園の生徒? 半人前が俺らを止めるつもりかよ。ちょっと考える頭はあるらしいが、実力差もわかんねぇか」
「そうよぉ。命は大切にしないとダメ」
ヨハンとレークインは、無駄な戦闘を避けるためかミツキに降参するように促す。
それもそのはずで、2人からすれば学園の生徒など、赤子をあしらうように簡単に殺せる存在だ。
ウナアーダと魔国にはそれぞれ、最高戦力が存在する。
ウナアーダであれば、色の騎士と呼ばれる騎士の中でも群を抜いた強さを誇る騎士。
魔国であれば、魔族を統率する魔王直下の幹部と呼ばれる者たちだ。
「お前らを通したら、手薄なフレーリアは落ちる。止めさせてもらうぞ」
「ほー、よくわかってんな。そうだ。俺らのどっちかでも中に入れれば、その都市は陥落待ったなしってわけよ」
この発言ははったりではなく、それだけの力がこの2人にはある。
「じゃあ、私たちの邪魔をするつもりなのねぇ」
「当然だ」
大剣を引き抜いて構え、2国の最高戦力と対峙する。
こうして見ると、改めて目の前の2人の強さを感じとれる。
(今まで戦った人とは比較にならないな。今のフレーリアの戦力をぶつけても勝てるかどうか……)
「仕方ねーな。死んでも恨むなよ」
「ごめんねぇ。すぐ殺してあげるから」
2人は余裕そうな表情で、サクッと終わらせようとレークインが地面を蹴り、大上段から金砕棒を振り下ろす。
「こっちのセリフだ!」
思えば大剣を握って本気で戦うのは、この世界に来て初めてだ。
相手的にも地形的にも、手加減する必要はない。
ミツキの振り上げた大剣は金砕棒ど激突し、レークインの体を軽々と吹き飛ばした。
「あらぁ……私が吹き飛ばされた?」
「手を抜くなよ。俺がやる」
綺麗に着地しながらも、冷や汗を垂らすレークインに嫌味を言いながら、今度はヨハンが双剣を素早く振る。
「らァ!」
連撃を大剣で受けきり、一瞬できた攻撃の隙間を見切って蹴りを腹部へ叩き込む。
「ぐおっ!?」
咄嗟に後ろへ飛んでいたか、派手に地面をゴロゴロと転がったヨハンは、ダメージは少ないものの、目を見開いて立ち上がる。
「俺はお前らが思うほど弱くないぞ」
「ねぇ、これは手加減とか言ってる場合じゃないわねぇ?」
「らしいな。真面目にやるか」
ミツキを敵と判断したようで、2人の顔つきが変わる。
「合わせろよ!」
「勝手ねぇ。まあ、連携とかできないしぃ」
最初に素早いヨハンが飛び出し、少し遅れてレークインが続く。
双剣の素早い攻撃で掻き乱し、金砕棒の強力な一撃で仕留めるつもりだろう。
「切り裂け、嵐の刃!」
ただ一直線に向かってくるだけでなく、途中で双剣を振り激しい嵐の刃を繰り出す。
岩をも紙のように切り裂く刃を前に、ミツキは大剣を構えて前に出た。
「バカかよ!」
てっきり防御すると思っていたのか、ヨハンは一瞬驚くも足は緩めない。
視認も難しい刃で足が止まったところを、一気に攻撃して崩す、というプランに変更だ。
「切り刻まれろ!」
「断る!」
ミツキは嵐の刃が当たる直前で足を止め、大剣の背で正面を思い切り薙ぎ払う。
「そんな雑なやり方で防ぎやがって、ふざっけんな!」
「これが俺の防御なんだよ」
勢いを乗せ、文句を言いながら振るわれる双剣を大剣を盾にし、腰を落とすことで防ぐ。
ガァンッと強い衝撃が響くが、ミツキの体勢を崩すには至らない。
「そんな得物で俺に付いて来れるかよ!」
それはヨハンもわかっていたようで、素早く横に回って再度双剣を振る。
大剣の動きの遅さでは、この動きにはついていけない。
「なら武器を変えるまでだ」
大剣を地面に突き刺し、素早くナックルダスターを両手に着けてヨハンと打ち合う。
ガガガガガガガガガッ!
双剣とナックルダスターの衝突する音が重なり、常人では見えぬほどの攻防が繰り広げられる。
「マジかよ、こいつ!」
「もらった!」
「がっ!?」
この攻防はミツキに軍配が上がり、渾身の正拳突きが腹部へ突き出される。
これは後ろへ飛ぶ暇もなかったのか、吹き飛ばされたヨハンは悶絶している。
「いいわねぇ。私とも勝負しましょうよぉ」
「言われなくてもぶっ倒す」
「うふ、嬉しいわぁ」
立て続けに今度はレークインが、金砕棒を上段から振り下ろす。
すぐに大剣を掴んだミツキは、これをがっちりとうけとめた。
「次は力自慢か」
「私は鬼ですもの。正面から相手してくれるのよねぇ?」
「上等だ」
叩き潰そうと振り下ろされる金砕棒に、ミツキも正面から大剣をぶつける。
小細工も読み合いもない、純粋な力勝負だ。
「おおおおお、らぁッ!!!」
「嘘でしょぉ?」
鍔迫り合いのような形となり、これもミツキに軍配が上がり、レークインは金砕棒を弾かれがら空きの胴体をさらしてしまう。
「まず1人!」
「くぅ!」
その胴を切り離そうと大剣を振るが、そう簡単にはいかないようで金砕棒で防御される。
それでも衝撃は防ぎきれなかったのか、吹き飛ばされ地面を転がりながらもすぐに立ち上がる。
「あらあらあらぁ……」
「こいつ本当に生徒かよ。戦士団にもこんな強いやつはいなかったぞ」
余裕だと思っていた任務が、予想外の敵の出現によって一気に難しくなった。
「ウナアーダと魔国の最高戦力はこんなもんじゃないだろ。本気で来い」
2対1でなお敵を圧倒するミツキは、大剣を構え直して敵を見据えた。
城壁の上で周りを見ながら、正面で行われている戦争に目を向ける。
一時は左側が押されていたが、敵の指揮官が倒れたことで押し返している。
「多分メリアだろうな。ソフィアも活躍してくれてるし、頼りになる」
右側も抜群の安定感で順調に魔族を倒しており、負けることはなさそうだ。
「やっぱり、あの戦力じゃ攻めきれないよな。敵もそれはわかってるはずだし……」
やはり様子がおかしい。
普通なら撤退すべき場面だが、どちらの軍も撤退する素振りを見せない。
「撤退しないのは勝てる見込みがあるから。けど、あの戦力じゃ正面突破は無理……別働隊?」
そこまで考えると、ちらりと見えたメリアがこちらを向いている。
何やらこちらに伝えたいらしい。
「指さしてるのか? 方向は……東か」
メリアに伝わったと頷くと、フレーリアの東に向けて城壁の上を走る。
兵たちは正面に意識が集中しており、それ以外は目に入っていなさそうだ。
「目立たない別働隊で、城壁を破壊できるだけの敵……」
城壁を降りたミツキは、フレーリアの東に2つの人影を見つけた。
人影は顔がはっきりするまで近付くと、2人は驚いたようにミツキを見た。
「なんか人いるけどぉ?」
「1人だろ。迷った子供じゃねーか?」
「でも武器持ってるわねぇ」
「なら敵だ。どうせ、俺らのやることは変わんねぇよ」
「それもそうねぇ」
1人は緑色に淡く光る双剣を携えた、まだ若い男。
もう1人は人間にはない角を2本生やしている女性で、金砕棒を持っている。
「色の騎士と魔国の幹部ってやつか」
「あらぁ、なんでバレたのかしら」
「2人だけの別働隊だぞ。そりゃバレるわ」
「なるほどねぇ。考えれば簡単だわぁ」
男と魔族は納得したようで、それぞれ武器を構える。
「色の騎士団、『緑』のヨハン」
「魔王軍幹部が1人、レークイン」
「学園生徒、ミツキだ」
「学園の生徒? 半人前が俺らを止めるつもりかよ。ちょっと考える頭はあるらしいが、実力差もわかんねぇか」
「そうよぉ。命は大切にしないとダメ」
ヨハンとレークインは、無駄な戦闘を避けるためかミツキに降参するように促す。
それもそのはずで、2人からすれば学園の生徒など、赤子をあしらうように簡単に殺せる存在だ。
ウナアーダと魔国にはそれぞれ、最高戦力が存在する。
ウナアーダであれば、色の騎士と呼ばれる騎士の中でも群を抜いた強さを誇る騎士。
魔国であれば、魔族を統率する魔王直下の幹部と呼ばれる者たちだ。
「お前らを通したら、手薄なフレーリアは落ちる。止めさせてもらうぞ」
「ほー、よくわかってんな。そうだ。俺らのどっちかでも中に入れれば、その都市は陥落待ったなしってわけよ」
この発言ははったりではなく、それだけの力がこの2人にはある。
「じゃあ、私たちの邪魔をするつもりなのねぇ」
「当然だ」
大剣を引き抜いて構え、2国の最高戦力と対峙する。
こうして見ると、改めて目の前の2人の強さを感じとれる。
(今まで戦った人とは比較にならないな。今のフレーリアの戦力をぶつけても勝てるかどうか……)
「仕方ねーな。死んでも恨むなよ」
「ごめんねぇ。すぐ殺してあげるから」
2人は余裕そうな表情で、サクッと終わらせようとレークインが地面を蹴り、大上段から金砕棒を振り下ろす。
「こっちのセリフだ!」
思えば大剣を握って本気で戦うのは、この世界に来て初めてだ。
相手的にも地形的にも、手加減する必要はない。
ミツキの振り上げた大剣は金砕棒ど激突し、レークインの体を軽々と吹き飛ばした。
「あらぁ……私が吹き飛ばされた?」
「手を抜くなよ。俺がやる」
綺麗に着地しながらも、冷や汗を垂らすレークインに嫌味を言いながら、今度はヨハンが双剣を素早く振る。
「らァ!」
連撃を大剣で受けきり、一瞬できた攻撃の隙間を見切って蹴りを腹部へ叩き込む。
「ぐおっ!?」
咄嗟に後ろへ飛んでいたか、派手に地面をゴロゴロと転がったヨハンは、ダメージは少ないものの、目を見開いて立ち上がる。
「俺はお前らが思うほど弱くないぞ」
「ねぇ、これは手加減とか言ってる場合じゃないわねぇ?」
「らしいな。真面目にやるか」
ミツキを敵と判断したようで、2人の顔つきが変わる。
「合わせろよ!」
「勝手ねぇ。まあ、連携とかできないしぃ」
最初に素早いヨハンが飛び出し、少し遅れてレークインが続く。
双剣の素早い攻撃で掻き乱し、金砕棒の強力な一撃で仕留めるつもりだろう。
「切り裂け、嵐の刃!」
ただ一直線に向かってくるだけでなく、途中で双剣を振り激しい嵐の刃を繰り出す。
岩をも紙のように切り裂く刃を前に、ミツキは大剣を構えて前に出た。
「バカかよ!」
てっきり防御すると思っていたのか、ヨハンは一瞬驚くも足は緩めない。
視認も難しい刃で足が止まったところを、一気に攻撃して崩す、というプランに変更だ。
「切り刻まれろ!」
「断る!」
ミツキは嵐の刃が当たる直前で足を止め、大剣の背で正面を思い切り薙ぎ払う。
「そんな雑なやり方で防ぎやがって、ふざっけんな!」
「これが俺の防御なんだよ」
勢いを乗せ、文句を言いながら振るわれる双剣を大剣を盾にし、腰を落とすことで防ぐ。
ガァンッと強い衝撃が響くが、ミツキの体勢を崩すには至らない。
「そんな得物で俺に付いて来れるかよ!」
それはヨハンもわかっていたようで、素早く横に回って再度双剣を振る。
大剣の動きの遅さでは、この動きにはついていけない。
「なら武器を変えるまでだ」
大剣を地面に突き刺し、素早くナックルダスターを両手に着けてヨハンと打ち合う。
ガガガガガガガガガッ!
双剣とナックルダスターの衝突する音が重なり、常人では見えぬほどの攻防が繰り広げられる。
「マジかよ、こいつ!」
「もらった!」
「がっ!?」
この攻防はミツキに軍配が上がり、渾身の正拳突きが腹部へ突き出される。
これは後ろへ飛ぶ暇もなかったのか、吹き飛ばされたヨハンは悶絶している。
「いいわねぇ。私とも勝負しましょうよぉ」
「言われなくてもぶっ倒す」
「うふ、嬉しいわぁ」
立て続けに今度はレークインが、金砕棒を上段から振り下ろす。
すぐに大剣を掴んだミツキは、これをがっちりとうけとめた。
「次は力自慢か」
「私は鬼ですもの。正面から相手してくれるのよねぇ?」
「上等だ」
叩き潰そうと振り下ろされる金砕棒に、ミツキも正面から大剣をぶつける。
小細工も読み合いもない、純粋な力勝負だ。
「おおおおお、らぁッ!!!」
「嘘でしょぉ?」
鍔迫り合いのような形となり、これもミツキに軍配が上がり、レークインは金砕棒を弾かれがら空きの胴体をさらしてしまう。
「まず1人!」
「くぅ!」
その胴を切り離そうと大剣を振るが、そう簡単にはいかないようで金砕棒で防御される。
それでも衝撃は防ぎきれなかったのか、吹き飛ばされ地面を転がりながらもすぐに立ち上がる。
「あらあらあらぁ……」
「こいつ本当に生徒かよ。戦士団にもこんな強いやつはいなかったぞ」
余裕だと思っていた任務が、予想外の敵の出現によって一気に難しくなった。
「ウナアーダと魔国の最高戦力はこんなもんじゃないだろ。本気で来い」
2対1でなお敵を圧倒するミツキは、大剣を構え直して敵を見据えた。
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