彼の気持ちがわかりません。
私のこと覚えてますか?
私、黒川 雛(くろかわ ひな)は、高校時代の教師である瀬戸 涼太(せと りょうた)と、卒業後にばったり会った。
私が多少の好意を持っていたこともあり、気づけば瀬戸先生に声をかけていた。
「なんだ、黒川か、久しぶり」
と、先生は表情を変えずに言った。
「お久しぶりですね!」
卒業してから約半年後の出来事だった。
「瀬戸先生、連絡先交換しませんか?」
きっとこんなチャンスはもう起こらない。そう思った私は、思い切ってそう告げていた。
「いや、生徒に連絡先は教えられない」
淡々と答える先生に少しイラっとした私は
「もう生徒じゃないです」
と言いながら、自分の携帯を先生の目の前に差し出した。
「はあ…あんまりしつこく連絡しないこと。いいな」
面倒くさそうにそう言いながらも、先生は私と連絡先を交換したのだった。
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