青春キャンパス(題名に踊らされるな)

藤枝花古芽(ふじえだかごめ)

桜の花びら(4,5時間目)

4時間目
「あれ、夜空この人だぁれ?」
私は夜空の肩を掴みながら聞く。
「ただの友達」
夜空は冷めた目をしている。
「もしかして、昨日休みだった柳原くん?」
柳原くんは私のことを無視して自分の席に歩いて行く。
「ちょっと、無視しないでよ!」
頬を膨らませながら言う。
「・・・。」
それでもこっちも見ずに無視をしている。
「夜空、無視は良くないよね?」
味方について、お願い!
「八重たぶんあなたのこと苦手なんだと思う。」
ええ、夜空それ地味に傷つく。
「夜空さん、彼女に少し静かにしてもらえると助かる。」
はぁー!なにそれ堪忍袋の尾が切れた。
「分かった」
私は怒る間もなく夜空に引き離された。
夜空は落ち着いた様子で私をなだめる。
「許してあげて空明は私と同じであまり人と関わる性格じゃない」
そりゃそうでしょうね!
それより気になったのが夜空と柳原くんとの心の距離。
「夜空が言うならそうするけど。
  でもなんでそんなに柳原くんと仲いいの?」
私以外の人に友達がいたなんて普通に疑問なんだよね。
「小4の頃、親同士の集まりで出会ったの。そこで日本文学の著者について話してみたら気が合ったの。」
二人とも小学生で日本文学について語ってたの!
「私たちは、親が無理矢理ママ友の会に付き合わされたり他にも色々と共通点があってそれで仲良くなったの」
話し終わった夜空は数学の自習をしている。
言葉数が少ないのは私と夜空が出会った頃と全然変わらない。
いつもと同じ無表情な顔だけど目が少し楽しいそうな目だ。
なるほど、夜空らしいな。
「夜空、私柳原くんと仲良くなってみせるね!」
私は笑顔で宣言した。
  5時間目
私たち1年生が入学して早くも1週間になる。
私は、三組の学級委員荻山蛍。
ある一点を除いてみんな本当に穏やかな生徒で普通に平和。
しかし、今私の前を通り過ぎた2組の涼風さんは要注意人物。
いつも朝から同じクラスの男子に絡んでは喧嘩するし、校則ギリギリのスカートの丈だし。
困った人なのは確か。
「荻山さんおはよう」
後ろから声をかけて来た人は振り向かなくても分かる。
「副会長おはようございます!」
梨花高校生徒会副会長黃芽薫さん。
「やっぱり、今年の1年生は生きのいい人が多くて楽しいね」
副会長は常に笑顔でふわふわした雰囲気のある人。
「副会長、私はあまりエネルギッシュなのも困ります。」
そんな会話をしていると。
「柳原くん毎日毎日無視されるのはさすがに傷つくんだけど。」
また、始まった。
「・・・。」
涼風さんは顔を真っ赤にして怒っている。
「ふふっ、喧嘩している。
 荻山さん止めないといけないな♫」
こんな状況でも笑ってる。
「ちょっと!そこの二人・・・」
私が言い終わらないうちに誰かの声が遮った。
「二人とも朝のショートホー厶が始まる。」
彼女が二人の袖を掴んで教室に引っ張って行く。
  無表情なその横顔は私の時間を一瞬止めてしまった。
「わぁー、あの一年生がたった一言で丸く収めちゃったー!」
今まで味わったことのない感覚だった。
あの人は、私達とはどこか違う存在だと直感したんだと思う。
「では自分たちもクラスに行きましょう。また放課後に。」
私は、副会長に別れを告げ教室へと向かった。




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