超能力者 神本くん

昼寝王

4時間目



わいわい、がやがや、わいわい


ガラガラガラッ….


「席につけ、授業を始めるぞ!」

 騒がしくなっていた教室内は入ってきた先生の声を確認すると、一斉に静かになった。

「起立、礼、着席」

「はい、お願いします」

「じゃあ、安藤、今日は27ページ、頭からだ、読んでくれ」

「はい、今日の魔法学は従来と比べて著しい進歩を遂げている。従来であれば5系統の要素しかないと考えられていたが………」


 授業内での朗読が続いていく。

「(おいっ、おいっ、聞こえてるか?)」

「(なんだい、守谷もりやくん授業中にテレパシーなんて、私語は良くないよ)」

「(そんなこと言ってる場合じゃねーだろ、朝起きてまだ続いてる状況に驚いたが、このままの世界に居たくないから直してくれ)」

「(そ、そんなぁ! 君の為に1日かけて作った世界観だってのに…)」

「(そんなことに1日かけるな、というか1日でこの世界を作れるっておかしすぎるだろ!!)」

「(クヒヒヒッ….そんなに褒めても何も出ないよ!)」


 言い返そうとしたが、守谷であったがタイミングが悪かった。

守谷もりや、次の文から読んでくれ!」

「は、はいっ、えーとこれってなんて読むんですか?」

「これの読み方は4日前の授業でやっ….そうか、自宅謹慎・・・・していたのだったな、次の授業までに周りに聞いて復習しといてくれ! 」

「はい、すみません……」

「じゃあ、後ろのやつ、読んでくれ….」

「(おいっ、せっかくだったら、魔法・・を使える世界にするんじゃなくて、俺の謹慎・・がない世界にしてくれたらよかったじゃねーか…)」

「(謹慎は君が悪いことをしたからだろう、君の為にならないことはしたくないんだ….)」

「(元はといえばお前のせいだからな….)」





 恨み言を神本かみもとに話していると、朗読の順番が神本まで回ってきた。

「次は、神本様・・・…..に読んでもらう必要もないな、佐藤、次を読んでくれ!」


「(おいっ、どうゆう事だ、亀井先生がお前の事、神本様・・・って….)」

「(クヒヒヒッ…..、どうゆう事だろうねぇ?)」

「(おい、教えろ、魔法が使える世界になっただけじゃないのか?)」


 ガラガラガラ…….


「授業中に申し訳ありません」

 スーツを着た男たちが丁寧な挨拶とともに入ってきた。守谷もりやは授業中に突然入ってきたことに対して驚いていたが、他の生徒たちは見慣れたような光景であるのか、気にもしない。

「神本様、急遽、アジアの首脳の方々がお話をしたいとの事ですので、会議に参加して頂いてもよろしいでしょうか?」

「うむ、仕方がない、皆、授業を遮ってしまって申し訳ない」

「いえいえ、大事なお仕事ですから」

 亀井先生が答えると、スーツの男たちと共に神本は教室を出て行った……

 守谷は少し悩んだが、理解した。

 こうゆう時だけ頭は回るのだ。


「汚ねぇぞ! 自分だけ、良い役・・・に設定してこの世界作ったな!!!!」


 守谷の声は神本に届かなかった….


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