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あまひき まつり

四章忘れていたもの

 火曜日、放課後。
「おーい在原、話ってなんだよ」
「まったく在原が私たちを呼ぶなんて珍しいよね」
 俺は数少ない友人である二人をLIMEのメッセージ機能を使って廊下に呼び出していた。
 俺の目の前にいる少しチャラそうな男性、海道 義明かいどう よしあきとその隣で物珍しそうに俺を眺めている栗色の髪をボーイッシュでまとめた女性、双葉 若菜ふたば わかな
 二人とも中学時からの幼馴染みで高校に入った今でも連んでいる数少ない俺の友人だ。
「あ、そうだ。在原、駅前で可愛いねーちゃんが働いてる店見つけたんだが今度一緒に行かねーか?」
 思い出したように話始める海道の隣で双葉が残念そうに眉根を寄せる。
「……はあ。これだから海道は喋らなければそこそこイケメンなのになあ」
「なんだよ、若菜わかなちゃん。相変わらずだな。そんなんだから全く成長しないんだぞ」
 海道が無遠慮に双葉の頭をぐりぐり撫でまくる。
「むがー!誰の身長が成長しないだ。この残念イケメン」
 双葉の体重を乗せた蹴りが海道の膝をクリーンヒットに捉える。
「ぐはっ、若菜ちゃん悪かったってだから二発目は勘弁」
 苦笑いしながら謝る海道と困ったように息を吐く双葉。
 まあ、いつものことだ。三人集まってくだらない話をする。それが俺たちの日常だ。
「そろそろ本題いいか?」
「悪いな続けてくれ」
 一息ついたところで本題を口にする。
「海道たちを呼んだのは頼みがあるからなんだ」
「へえー、在原が私たちに頼みなんて珍しい。いいよ、なんでも言ってよ。できることなら力になるからさ」
「そうだな。昔のよしみだしな」
 海道たちが顔を合わせ頷き合う。
「そうか、ありがとう」
 礼を言って本題を切り出す。
「この三人で今月末にあるハロウィンパーティでライブをしたいんだ」
 二人とも「なんでそれまた?」といった表情を浮かべている。
「ハロウィンパーティって生徒会が主催してるってやつか?」
「その解釈で間違いない」
「ところで、経験はあるのか?」
「ギターを少しかじった程度だけどな」
「会場で使うのはエレキギターになるがそれでもいいのか?ライブならデカいギターは見栄えが悪くなる」
「たぶん大丈夫だと思う」
 俺と海道のやり取りを横で聞いていた双葉の肩が小刻みに震えている。
「わ、私はやんないよ!みんなの前で弾くなんて恥ずかしすぎる」
 明らかに躊躇っていた。そんな双葉に海道が優しく語らいかける。
「思い出づくりとしては悪くねえんじゃねえの?」
「そんなの、黒歴史になるに決まってんじゃん!」
「だけど、なんでもするって言ったてまえ断れねえだろ」
「うう……っ。そ、それもそうだけどさあ」
「失敗したら失敗したで、みんな笑い飛ばしてくれるだろ。高校の文化祭みたいなもんなんだからよ」
   結局、しぶしぶと言った感じで了承してくれた。
「すまん、ありがとう」
「それじゃあ決まりだな」
 そう言うと海道は俺を見てニヒルに口の端を上げてみせる。
「在原、これから早く帰れると思うなよ。おまえが一番問題なんだからな」
「わかってるよ」
 役者は出揃いこれから最終目標へ向けて互いに手を取り合い走って行く。それはいい物語になるはずだ。
 だが、物語には悲劇というものが付き物なのだということをこの時の俺たちは忘れていた。

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