万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?

Gai

解っていらっしゃる

「・・・・・・お前、俺の兄にそっくりだな。相手の都合を考えないところが」

「そうですね。今より幼いアリク様にそっくりかと。年下相手にいきなり戦いを申し込むところなど」

取りあえず俺とメリルは目の前の阿呆に嫌味を言う。
だってなぁ・・・・・・正直鬱陶しい。

ほら、ノウガストさんも飽きれた表情をしてるぞ。

「お前らぁ、もう一度坊主との歳の差を考えろ。ナットもそう思うだろ」

「そうっすね。というか、自分もノウガストさんの言ってることが何となく分かってきました」

何を解ったのかは知らないけど、喧嘩腰でないのは有難い事だ。

「ノウガストさんの言う通りこちらの坊ちゃんに喧嘩を売るような真似は止めろ。お前らの首が社会的に物理的にどうこうの問題じゃなくて、ブライドが潰れるぞ」

いや、しっかりと評価してくれるのは嬉しいんですよ。嬉しいんですけどそんな目の前のルーキー達を煽らんでも。
ほらほらほら、俺に向けてるのはもはや怒気じゃなくて殺気じゃないですか。

「ったく・・・・・・なぁ坊主。お前はあれだろ。自分に利益が無い無駄な戦いはしたくない主義だろ」

「基本的にそうですね。というか、よくそんな事解りましたね」

「坊主よりは人生経験が豊富だからな。それくらいは何となくだが解るんだよ。それでだ、こいつらは言っても解らない状態だ。だから俺としては現実を見せてやって欲しいんだが、何が対価だったら引き受けてくれる?」

・・・・・・欲しい物があるにはある。でも今すぐ用意できる物なのか?
いや、ミル―アスを出るまでの期間を考えれば不可能ではないか。でも、それは自分で見つけた方が楽しそうだしな。

「・・・・・・俺がこの街にハンターとして来た時、俺が困っていたらギルドは即俺に力になって貰います。簡単に言えば、ミル―アスの冒険者がギルドが俺に貸し一つなら良いですよ」

「あぁーーー・・・・・・んーーーーーー、それは俺の一存では決められなさそうだな。とりあえず坊主が困っていたら俺は必ず力を貸す。他の戦力は俺が上に伝えておくからそれで我慢してくれないか」

まぁ、普通に考えてシルバーランクとはいえ、流石に即決は出来ないか。
ただシルバーランクの冒険者が力を貸してくれるだけでもその時の状況は変わりそうだな。

「口約束だから後半には期待しないでおきます。それじゃ・・・・・・俺とメリル対、そこにいる三人の摸擬戦って事で大丈夫ですか?」

「それで大丈夫だ。審判は俺と・・・・・・ローナ、お前もやってくれ」

「分りました。私も審判に入りましょう」

さて・・・・・・今この時点では誰も気づいてないんだな?
だったらこの勝負はもう貰った様なもんだ。



「先に言っておくが、これは摸擬戦だ。過剰な殺傷力がある攻撃は控えろ。万が一の時は俺が止めに入る。いいな!」

「これを破ればギルド職員としてあなた方には罰則を下しますので」

「「「は、はい!!!」」」

さっきと同じような目つきになってるよローナさん。三人ともビビッて震えちゃってるじゃん。

「ラガス様も過剰な攻撃は控えてくれると有難いです」

「大丈夫ですよ。その辺りの線引きはある程度解っているんで」

毎日誰かしらと摸擬戦してるからな。
ある程度の手加減は出来るつもりだ。にしても・・・・・・長剣に手斧、んで弓か。バランス的には悪くないな。

でも既にこちらとしては仕込みが済んでる。

「メリル、摸擬戦の開始の合図が出たらそのままで突っ込んでくれ」

「・・・・・・分りました。しっかりと作戦があるって事ですね」

「まぁ、いつも通りって感じだ」

「いつも通り・・・・・・何となくですが解りました。しかしラガス坊ちゃま、何かそこに恨みでもあるのですか?」

いや、別にそこに恨みなんてこれっぽちも無いぞ。

「急所を狙うのは戦いのセオリーだろ」

「そうですね。間違ってはいません」

「だろ、特に何か特別なアビリティを持っている訳でもないし。真面に戦う意味は無いだろ」

正直戦うのは了承したが、本音で言えばこんな事に時間を割きたくはない。

「それじゃお互いに準備は良いな? 構えて・・・・・・始め」

「魔弾」

「「「がは!? ぐぼ!!?? はうぁ!!!???」」」

魔弾三連弾、急所狙い。当たり前だろうけど効いてるな。

「・・・・・・ほんの少しですが同情しますね」

メリルが身体強化のスキルを使って三人が蹲っている間に後方へ回り込み、三人の首筋に短剣の刃を軽く当てる。

「そこまで!!!! この勝負、ラガスとメリルの勝ちだ!!!!」

俺達が勝った事で周りの野次馬達が歓声を上げる。
中には過剰に喜んでいる人や、地面に拳を打ち付けて項垂れている人もいるが・・・・・・何をしていたのか大体予想が付く。

「坊主ぅ・・・・・・どんなアビリティを使ったのかは解らねぇが、えげつない事するな」

「急所を狙うのは戦いのセオリーじゃないですか。それに、そこを狙うのに俺は視線で分からせる様な真似はしないので」

「はっはっは!! お前本当に七歳かよ」

いいえ。精神年齢だけなら大人です。

「どっからどう見ても七歳時じゃないですか」

「見た目だけならな。まぁ、お前も大概だがメイドの嬢ちゃんも中々の腕前だな。歳は幾つなんだ?」

「九歳ですよ。俺と毎日訓練してるんであれくらいは動けますよ」

まっ、今回は相手が俺の魔弾で咄嗟の反応が出来なかったてのが大きいと思うが、それでも九歳にしてはトップレベルに速い筈だ。

「そうか。とりあえず勝負はお前たちの勝ちだからさっきの約束は必ず守る。そこは安心してくれ」

「分りました。それじゃあ騒がしくなって来たんでギルドから出ますね」

魔弾の種はばれていないだろうけど、どうやって三人を蹲らせたのか訊いてくる奴はいそうだしさっさととんずらしよう。

「万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く