万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?

Gai

だれかれ構わずでなく

もう少し声の大きさを落として話していた方が良かったな。

「ラガス坊ちゃま、どう対処いたしますか?」

「そうだな・・・・・・取りあえず相手の出方次第ってところだ」

さっきと同じように、普通は俺みたいなガキに上から目線で何か言われれば頭に来ても仕方がない。
ただ俺としては本当の事を言ったまでだから文句言われる筋合いはないんだよな。

「お前ら。何の用だ?」

「こんにちわっすノウガストさん。そこにいるガキが随分と知ったかぶったような事を言っていたんで現実を教えてやろうと思って」

「阿呆か、こっちの坊主はこっちの男爵の爵位を持つ方の息子さんだ。それにお前歳の差を考えろ。坊主とお前の間に幾つ歳の差があると思ってんだ」

オレガ男爵家の息子だって解ったとたん怖気着いたな。これが一般的な反応なんだろう。
てか、後半の部分は本気で同意する。俺と十の差は無いだろうが、見た目からして俺の倍ぐらいの歳の筈だ。
ノウガストさんの言う通り歳の差を考えて欲しいもんだ。寧ろガキの戯言だと思って聞き流して欲しいよ。

「で、でも! ノウガストさんはハンターは舐められてはいけないって言ってたじゃないですか!!!」

「ああ、ハンターとして生きてくなら相手になめられない様にしなきゃならねぇ。それは大事な事だ。でもな、だれかれ構わず強気な態度を取れって訳じゃねぇんだよ。言っとくが、男爵家とはいえお前みたいなまだ何も実績を持っていないハンター一人ぐらい消せる力ぐらいは持ってるんだぞ」

いや、別にそんな事はしませんよ。わざわざ権力や金を使って殺すぐらいなら実力でぶっ飛ばした方が気持ちいし。

「今ここにいる男爵様やその子息はそんな短気な性格をしていない方だから良かったが、悪い意味で貴族思考な奴だったら物理的な意味でお前らの首が飛んでたからな」

ノウガストさん、そんなにビビらせなくても。
でも・・・・・・言ってることはあながち間違ってもいないか。

「それとだ。知ったかぶってるんじゃなくて実際に知ってるんだよ。言っとくがこっちの坊主に後ろの嬢ちゃんに喧嘩売ろうなんて考えるなよ」

「そ、それは俺達がこいつらと戦って負けるって意味ですか。それともこいつが男爵の息子だからですか」

「・・・・・・両方だ」

いやいやいや、前半は目の前の三人の為にも否定しておいてあげましょうよノウガストさん。
ほらぁ・・・・・・拳握りしめながらむっちゃこっち睨み付けてるじゃないですか。
って後ろからも殺気!?

「お、おいメリル。変な気を起こすなよ」

「・・・・・・ラガス坊ちゃま。それは承知いたしかねます」

うっわ、メリルがガチでキレてるよ。
いや、俺の為に怒ってくれてるんだからそこは嬉しいよ。でもそこまで殺気を漏らさなくても・・・・・・ほら、父さんなんて今の状況に苦笑いしちゃってるし。

「だからお前ら、男爵様の息子さんにガン飛ばすなっての」

「け、けど!!! まだモンスターと戦ってもいないガキより俺らの方が弱いなんて、そんな事ある訳無いじゃないですか!!!!」

「そ、そうですよ!!! 俺らは確かにまだ新人の域を出ないですけど、温室育ちのガキに負ける程弱くはありません!!」

・・・・・・あぁ、まぁ普通はそう見えても可笑しくない。というよりもそう見えるのが普通か。
ただ、新人のハンター達の言葉を聞いてメリルの殺気が消える。
なんかきょとんとした表情になって、少ししたら小さく笑いだした。いや、父さんまで小さく笑ってるし。

「俺にはそう見えないんだがなぁ。下手したらお前らよりモンスターを殺す事に慣れてる筈、っと俺は思ってるんだが合ってるか坊主?」

「まぁ、間違ってはいないですよ」

家の中にいても別に楽しい事は無いからな。
肉が食えるモンスターを倒せば夕食のメニューが増えるし。

「ッーーーーー!!!!! ・・・・・・おい、そこのお前!!! 俺達と戦え!!!」

やっぱりそう来るよな。というか俺さっき戦ったばかりなんだが。

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