万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?

Gai

どんな気分だ?

相手が油断していたからか、身体強化のアビリティを使って闘気を足に纏っていたとはいえ、俺程度の体格での蹴りの割には飛んだな。
でも、このまま吹き飛び続けたら少し迷惑になりそうだ。

「魔弾」

もう一度右手で銃の形を作り、魔力の弾丸を撃ちだす。
しかし今回は直線では無く弧を描いて勘違いハンターの背中に当てて、勢いを抑える。

「ぐぶっ!!!、っだぁ!!!」

背中に当たった俺の魔弾と床に叩き付けられて顔面を強打。
痛そうだとは思うが、同情はしない。

「さて、これで終わりだな」

「っ、んのクソガキが!!」

こいつの頭を踏んずけて動けない様にしている。
いくら子供の割には強くても頭を踏んずけるだけで抑えるのは無理じゃないかって? 

それがそーでもないんだよな。
魔弾のアビリティの技の一つを使えば出来ない事も無い。
さて・・・・・・ここからどうしようか?

このまま抑え続ける事は可能だけれど、何をもって決着とするのか・・・・・・いや、これはもう完全に俺の勝ちで良いよな?

「なぁ、どうよ? あんたがバカにしていた人の息子に頭を踏みつけられて動けない気分は。なぁ、どんな気分なんだ? 教えろよチンピラハンターさん」

「ぬっ、おおおおお!!! そ、んの足を、どかんぐっ!!!!」

「俺は地面に踏みつけられて動けない気分はどんなものだって聞いてるんだよ。なぁ・・・・・・どうよ。自分より二回りも年下の子供に一撃も入れられず負ける気分はよぉおお!!」

踏みつける力を更に踏みつける。
床か男の頭蓋骨からかは知らないけど、悲鳴が聞こえてくる。
だとしても俺にとって知った事では無い。

「兄ちゃん。いや、坊主。そこまでだ」

「・・・・・・誰だ?」

雰囲気的に・・・・・・父さんと同等レベルか?

「俺はお前の親父さんと同ランクのハンターだ。それ以上力を込めれば、こいつの頭蓋骨かギルドの床が割れちまう。坊主にとって前半は良くても後半は良くないんじゃないか?」

「・・・・・・それはそうですね。解りました」

別にこいつを許した訳では無いが、取りあえず頭から足を退ける。

「っつーー、んのクソ」

「お前は引っ込んでろ」

「ぬおっ、わあああ!!!???」

あ~~らら。後ろの方へ吹き飛ばされちまったよ。
てか、あいつあれだけ俺に何も出来なかったくせにまだ戦う気満々だったんだ。
さっさと負けを認めればいいのに。

「バカが迷惑を掛けて悪かったな坊主」

「いえ、特に怪我も無かったので大丈夫です。ただ、ハンターの中にも良識がある人がいて安心しました」

「はっはっはっはっはっはっは、お前みたいな子供を見るのは初めてだ。その歳でどうやってそこまでの強さを手に入れたのかを是非知りたいところだ」

「絶対に教えません」

というか、教えたところで真似出来るものじゃないし。

「ふっ、本当に肝が据わっている子供だ。あんたが親父さんだな」

「ああ、私があそこで転がっている男の頭を踏みつけた子供の親だ。名はリット・リゼードだ」

「っと、貴族様だったか。これは失礼しました。私はあなたと同じシルバーランクのノウガストと申します」

・・・・・・さっきとは言葉遣いがまるで違うな。
一般人が即座に切り替えられる速度じゃない。ハンターとしての依頼を受けている中で自然と身に着いた技術か。

「おっと、その辺りは気にしなくて大丈夫だ。知っているとは思うが、私も元はハンターだ。ハンター上がりの貴族など大した爵位は持っていない。だから自然に接してくれるとこちらとしても楽だ」

「分かりました。そうさせて貰います。それで、リットさんと坊主は何が目的でハンターギルドに?」

「息子が学校を卒業したら私と同じくハンターになると言っているのでな。せっかくだから中の様子を見せてやろうと思って連れて来たんだ」

「なるほど・・・・・・それじゃあ、坊主はハンターになる為の学校に行くって事か」

「いいえ。俺はハンターになる為の学校には行きませんよ」

「え!? なんでだ??」

おい、いきなりそんな表情を崩すなよ。思わず噴きそうになったじゃないか。

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