万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?

Gai

丁度良い

「そう言えば、ラガスも来年には王都のパーティーに行くんだったね」

・・・・・・そうか、来年で俺も六歳か。
正直面倒という思いしか出てこないな。

「ロウド兄さんがけんかを売って来た貴族をボコボコにしたパーティーだっけ」

「いや・・・・・・まぁ、間違っていないかもしれないけど注目する所が違くないかい?」

そう言われても、まだ本当に見た目が子供の俺が出来る事なんてないと思うんだが。
まぁ、親たちは子供達の自慢でもしてあわよくば縁談にでも持ち込もうと思っているんだろう。

「随分と嫌そうですねラガス坊ちゃま。そんなに行きたくないのですか?」

「行きたくないって気持ちの方が断然大きいな。利点と言えば、上手い飯が食えるのと学園で一緒に過ごす奴らを見る事が出来る、それぐらいだと俺は思っている」

ロウド兄さんやクレア姉さんの話を聞いた限り、料理は食べ放題らしい。
位の高い貴族も来るのだから美味くない筈がない。

「・・・・・・あまり関わりたくない人を見極める、ってところかな」

「正解。俺は学校で目立つ事無く卒業してハンターに成りたいからね。てか、俺が行く時にロウド兄さんとクレア姉さん、あいつも来るんだっけ?」

「うん、そうだよ。僕はもう学校に入学してるけど、一応ね。パーティーに来る子供たちは大体十歳以下、だから毎年パーティーに参加する子供もいるらしいね」

あれだろ、子供でも言葉遣いに気を付けて、上下関係にも気配を敏感にさせ、なるべく他の貴族の子供と縁を作る、そんな場所なんだろ。
そこに毎年とか・・・・・・俺だったら絶対に無理だ。最初は上手くいってもどこかで絶対にボロが出る。

「ラガス坊ちゃまは喧嘩を売られたら絶対に買ってしまいそうですね」

「それは・・・・・・内容によるな」

「そうですか。ではラガス坊ちゃまの逆鱗に触れるような内容であれば?」

俺の逆鱗に触れる、ね・・・・・・それは獣、鬼、竜の逆鱗に触れるって事だろ。

「勿論良い値で買ってやるさ。お詫びに三途の川が見える地獄の旅行をサービスでプレゼントしてやる・・・・・・って言いたいところだが、俺がそんな事すればロウド兄さんの様に丸く収まらない筈。だから喧嘩を売ってくる前に潰す」

「えっと、闇討ちでもするって事ですか?」

「そんな危ない真似する訳無いだろ!?」

メリル、そんなに俺が無茶・・・・・・と言うか、アホな真似するように見えるのか?

「でも、一体どうやって回避するんだい? そこは僕も気になるね」

「簡単な事だよ。向こうが絡んでくる前に潰せばいいんだよ。こいつで」

近くにあった木に向かって魔弾を放ちながら宣言する。

アリクの奴にそこまで剣や戦いの才能は無いと思うが、無才って訳でもない筈だ。
そんなアリクが全く反応出来ずに金的を喰らった。あの頃より速度も上がっているから反応できる奴なんて同年代、年が近い奴にはそういないだろう。

「ラガス坊ちゃま。いくら魔法に関しては才能が他と比べ特化している貴族と言えど、それを喰らえば一撃であの世行ですよ。流石にそこまでしては色々と不味いかと・・・・・・」

「誰が殺すって言った。アリクと戦った時と同様に殺傷能力抑えて打撃に特化させるに決まってるだろ。まぁ、痛みは鈍痛になるから苦しい事に変わりはないだろうな」

「どちらにせよやる事は鬼畜と言う事ですね」

「どう解釈すればそうなるんだよ。単に喧嘩を売ってくる奴が悪いだけだろ」

なんだよ鬼畜って。急所を狙うなんて基本中の基本じゃないのか?
男と対峙した時なんて金的を狙うってかなりセオリーだだと思うんだけどな。

「そこはラガスに賛同するね。っと、話をしていたら次の獲物が見えたよ」

ロウド兄さんの言葉に反応して前を見ると、三体のゴブリンがいた。
あ、向こうもこっちに気が付いたみたいだな。

「丁度良い。さっき俺が言った対処方法を実践するぞ」

こちらに汚い笑みを浮かべて歩を進めるゴブリンに対して三本の指を向け、魔力を集める。

あいつらもしかしてメリルを見て発情してるのか? 後ろから少し殺気を感じるし。
実力差が分からない奴らだな。

「発射」

俺の合図と共に放たれた三つの魔弾はゴブリンの一物に直撃・・・・・・する事は無く、股を通り過ぎて地面に着弾する。
そしてそこからバックスピンがかかっていた魔弾は後ろに跳ね、睾丸に直撃する。

「「「グギャアア!!??」」」

良い感じにヒットしたみたいだな。
そうやって前かがみになれば・・・・・・もうこっちのもんだ。

「魔弾」

もう一度三つの魔弾を放ち、三体のゴブリンとの頭部を貫いて戦いは終わった。

「最後の攻撃は対峙しているのがゴブリンだから撃ったけど、相手が絡んでくる面倒な貴族だった場合最初の魔弾でけりが着く」

「なるほど、しっかりと確認していない第三者からすれば三人が急に股間を抑えて蹲ってしまう。何が起こったのか分からなくても、笑い者になるのは確実だ」

蹲っている間にどこかへ移動するってのもありだし、いざとなればダッシュでその場から離れるって手も有るからな。

「って訳だから無茶はしないから安心してくれ」

「・・・・・・分かりました。そこまで考えていらっしゃるのならラガス坊ちゃまを信用しようと思います」

「最初の間が少し気になるけど、まぁいいか。取りあえず魔核を取り出そう」

それにしても、そういった面倒なパーティーにこれから学校を卒業するまで最低限行かなければならないのは・・・・・・中々に気が滅入る。

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