万分の一の確率でパートナーが見つかるって、そんな事あるのか?

Gai

将来何に成りたいか

町をぶらついていると、俺の事を父さん息子だと知っている人達は声を掛けて来る。
俺はそれに全て返していく。最初はこの感覚に戸惑っていたが、最近は慣れて来た。

そして数十分ほど歩いていると知り合い・・・・・・いや、友達? に声を掛けられる。

「ようラガス!! 久しぶりだな!!」

「ちょっと、ラガス君は領主様の息子なのよ。呼び捨ては駄目でしょ」

「わ、私も呼び捨ては駄目だと思うよ」

男の子が一人に女の子が二人は、名前はザックス、レイア、ミリア。
前に町を散策している時に出会った同年代の子供達。

ザックスは俺の身分関係なく親しい様子で話しかけてくれるが、レイアとミリアは少し畏まった様子だな。

「別に気にする必要はないぞ。確かに俺の父さんは男爵の爵位を持っている、俺はその息子ってだけだ。しかも四男。権力なんて、あって無い様なもんだ」

「な、ラガスだってこう言ってるだろ」

「あんたが不用心過ぎるって言ってるのよ! まったく・・・・・・」

はっはっは、相変わらずザックスはレイアに小言を言われてばかりだな。
この二人が結婚したら・・・・・・確実にザックスはレイアに尻に敷かれそうだ。

「ところで三人は何をしてたんだ?」

「えっと、特に目的は無いんだけど三人で歩きながら将来何に成りたいかを話していたんだよ」

「へぇ~~~・・・・・・それなら人の少ないところでゆっくりと話そうぜ」

取りあえず道端で話すのは邪魔だと思ったので、あまり人がいなくて開けた場所へ向かった。

「ザックスは将来何に成りたいんだ?」

「俺は勿論ハンターだ!!!」

俺と一緒か。まぁ、夢がある職業ではあるからな。
憧れる子供は多いだろう。俺もその内の一人だし。

「そうか・・・・・・目指すところは俺と一緒みたいだな。レイアとミリアは何か成りたい職業はあるのか?」

「私もザックスと一緒よ。まぁ、目的はこの町の中にいるだけじゃ知れない事がたくさんあるから、それを知って見てみたから、ね。このバカが何かやらかさないか心配だからってのもあるけど」

「おいおい、俺が何か問題を起こすのは既に決まってるのかよ!?」

・・・・・・ちょっと言い方が酷いが、それ程心配されてるって事はそれだけ大事に思われてるって事でもあるだろうな。

「私もレイアちゃんと一緒で町の外の世界を見たいから、それならハンターになるのが一番良いかなって思って」

二人共女の子にしては随分と好奇心旺盛なんだな。
将来は三人でパーティーを組む感じか?

「ラガスも将来ハンターになるんだったら一緒にパーティーを組もうぜ!!!」

「あ~~~。俺は十歳になったらまずは学校に行かないと行けないんだよ。だからハンターになる時期はずれると思うぞ」

正直面倒という気持ちが大きい。
権力社会の中にいた訳では無いけど、スクールカーストの中にはいたからな。
漫画やライトノベルに出て来るような出来事は見た事は無いが、この世界はその漫画やライトノベル世界そのものだろうから、権力絡みの事件は学校の中だろうと起きるだろうからな・・・・・・気分が憂鬱になるよ。

「そっか。貴族だと学校に行くのは当たり前だもんな」

「一番上の兄さんと姉さんは既に学校に通っているからな。俺も後五年もすれば王都の学校に行く事になる。・・・・・・そう言えば、ハンターに成る為の学校ってのあるみたいだな」

昔父さんと母さんがそこで学校で講師をしたって言っていたな。
確か・・・・・・そこは王都以外の学校だったか?

「本当か!!?? その学校は平民でも入学する事が出来るのか!?」

「お、おう。多分出来ると思うぞ。わざわざハンターの学校に行く貴族はそんなに多くないだろうからな」

勢い良く迫って来たザックスに俺は戸惑いながら答える。
ただ、そんなに多くないってだけで当主になれない俺の様な三男や四男はハンターに成る為の学校に入学するかもしれないな。

「ラガス君はハンターに成りたいのにハンターに成る為の学校には行かないの?」

「ああ。ハンターに関しての話は父さんや母さんから教わる事が出来るからな。それに、貴族の学校に行かなければ得られない物もあるだろうし」

学校に入学しても目立ちたくないという思いは変わらない。
ただ、ハンターになってから何も後ろ盾無しでやっていけるとは思えないからな。
そういった縁なら貴族が通う学校の方が見つかる気がする。

「喜んでいるところ悪いが、ハンターに成る為の学校に入学するのだって唯じゃないんだぞ」

「え? ・・・・・・マジでか!!??」

「おう。マジだからそんなに大声出すなよ」

あ~~らら。さっきまでテンション上がっていたのに、急激に下がった。
まぁ、向こうも仕事でやってる訳だし、国が給料を出していないみたいだから、学費を貰わないとやってられないんだろう。

「・・・・・・家にそんな学校に行ける程の金なんてねぇよ~~~」

「一応聞くけど、学費ってどれくらい掛かるの?」

「今どうなっている知らないけど、父さんと母さんが大体金貨で百枚ぐらいって言ってた気がする」

この世界のお金は鉄貨、銅貨、銀貨、金貨、白金貨、黒曜貨と分かれていて単位はコル。
硬貨が百枚貯まると、一つ上の硬貨一枚と同じ金になる。

なので金貨百枚だと・・・・・・日本円で言えば、百万円か。
俺としては妥当な金額に思えるが、三人の表情から察するに・・・・・・平民が払うには厳しい金額みたいだな。

「そこまで落ち込むなよ。別にハンターに成る為の学校を卒業しなければハンターに成れないって訳じゃないんだしさ」

「そうかもしれなねぇけどさ・・・・・・やっぱり行ってみてよ」

・・・・・・レイアとミリアもザックスと似たような表情をしてるな。
平民からすれば、しっかりとした学校に入学するってのはそれなりに憧れがあるみたいだな・・・・・・なんとかしてやりたいけど、俺にそんな金も権力も無いからな。

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