賢者(魔王)の転生無双は反則です!

POSTMAN

魔法のためならどこへでも。




「まさか、アリスが『無詠唱』を習得していたなんて……」

 アリスに『無詠唱』を見せてたった2日だ。

 それも、ただ使うのではなくて自分なりに応用をきかせて使ってきた。

「俺も……ここ千年の魔法技術を勉強しないとダメだな。それと、前世の力も制限がかかってる。早くあの魔法達・・・を使えるようにならないとなぁ」
 
 俺も、前世の経験に頼りすぎずにどんどん新たな魔法や、技を覚えなければならない。

 前からも思っていたことだが、今朝のアリスの急激な進化をみて改めて強く思った。
 
 とはいえ、前世の魔法が強力だったのも事実。
 使えるようにならなければならないのは新しい魔法だけではない。前世の俺が使っていたとある魔法達もだ。

 魔法使いとしての道を歩く者達はそれぞれが各属性の初級魔法を自分だけの魔法に進化や派生させていく。

 そして、その進化の最終終着点にあるその魔法使いにしか扱えない魔法が《秘術オリジナル》と呼ばれるものだ。

 前世の俺が使っていた各属性の最終終着点である魔法達。

 『火炎属性』の終着点、《煉獄インフェルノ》。
 これは、俺が最も信頼していた魔法。俺が扱える中でも群を抜く火力を誇っていた。多分この時代でも通用するだろう。

 『氷属性』の終着点、《氷獄コキュートス》。
……《氷獄コキュートス》は実は俺の魔法ではない。【魔王】のものだ。どうやら【魔王】の『灯火継承』は《秘術オリジナル》をも渡せるらしい。

 残念ながら前世ではこの魔法を使うのに必要な魔力が俺に無かったため、使えなかったから性能は分からないが、あの【魔王】の秘術なのだから強力なのだろう。

 『雷属性』の終着点、《天鎚ミョルニル》。
 『雷属性』の特徴である破壊力と速度。これは破壊力の方をひたすら追究していったのがこの魔法。

 魔力の消費が激しく、発動までの時間がかなりかかるというデメリットを持つが、発動できたのなら相手の軍勢・・を滅ぼせるほどの破壊力を持った雷が天から降りる。
 一撃で戦況を変えられるほどの魔法。前世ではめったに使わなかった。

 まあ、他にも使えるようになりたい魔法はあるが……。これらを早く再習得しておきたい。

 と、そんなことを思っていると廊下の向こうから人が歩いてきた。
 この家の当主……義父さんだ。

「おはよう、ミトラ。今朝もアリスと模擬戦か?」

「はい。今日も俺が勝ちましたが」

「はは!アリスもまだまだか?」

「いいえ?確実に腕前は上がっていますよ。アリスとの魔法勝負で勝てる同世代なんて俺だけじゃないですかね?」

「そうなのか?私は剣術一本だったもんで魔法は分からなくてなぁ」

 そう。この人の剣術一本というのは伊達ではない。

 この家の当主、ガリル・ウル・レイヴァは剣術のみでこの国の軍で戦い抜き、数々の武勲を打ち立ててきた英雄なのだ。

 しかも、元は平民の出で武勲により貴族の位を手にいれた人物。

 その剣術は半端ではなく、俺が【賢者】だった頃の世界でもこれ程の剣の使い手は【剣聖】くらいしか見たことがない。

 そんな義父さんがいきなり何かを思い出したような様子を見せた。

「そうだ、今度王都で王女の誕生日パーティーがあるんだがアリスと一緒に来てくれないか?」

 これまた、急な話だ。今までこういうのはアリスだけ行っていたのだが。

「ほら、ミトラもこの家に来てから長くなるだろう?そろそろ、ちゃんと公の場にでないとな」

 とは言うものの、義父さんの目が泳いでいる。確実に今のは建前だ。

「はぁ……?別に良いですけど、本当の理由を教えてくださいよ。じゃないと行かないですよ」

 俺の命を救ってくれた恩人を無下に扱うのは嫌なので、行くという気持ちは伝えておくが、同時に気になったことも聞いておく。

「やはりお前は賢いな。嘘だってばれてたか。でも、お前が嫌がりそうな理由だからなぁ」

 義父さんが理由を喋るのを渋る。

「俺に言えない理由があるんですか?なら……」

「いや、まてまて!あ、王都で魔導書でも買ってやるから!」

「それなら、ぜひとも!行きましょうか!」

 さっきまでの態度はどこへやら。綺麗な手のひら返しを決める。これならば理由などどうでも良い。

 だって考えて欲しい。レイヴァ家が治める領土の街にはろくな魔導書が売っていないのだ。

 しかも、王都は栄えておりさぞ貴重な魔導書もあるにちがいない。ならばぜひとも行くべきだろう。

 しかし、俺が行く理由は答えられていない。
 
「でも、なんで俺が?」

「実は……」



 そこから義父さんは話してくれた。今回のパーティーに俺を連れていく訳を。


 この国の王女は今年で14になる。俺とアリスの2つ上だ。


 王女は俺達よりも早い年、六歳から魔法を学び始めたとか。
 その腕前は確かなようで王都にある魔導学院でも首席を入学から取り続けているという。

 その王女との『お見合い』が毎年誕生日パーティーと共に開かれるらしい。
 王女はアリスのような高飛車な性格ではないようだが、なぜそんな事をしているのかは謎だ。

 どうやら、王女の相手になる条件として『魔法を扱える』というのがあるようで。

……そこで俺が周りに魔法の才能を見せつければ俺の評判もそれなりには上がり、貧民出身という理由もという考えらしいが、そんな上手くいくだろうか。

 まあ、魔導書に釣られて行くとも答えてしまったし行くしかないのだが。

…………ああ、面倒だ。嫌な予感しかしない!

 
 

 
 
 
 

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