夢奪われた劣等剣士は銀の姫の守護騎士となり悪徳貴族に叛逆する
遺構の奥底で
仄暗い、紺碧の遺構。古よりガラティア山岳に隠されたこの場所に、一人の男が足を踏み入れていた。
「ここが報告にあった例の遺跡か」
男は勝手知ったるという様子で、遺跡の深部へと潜り込んでいた。そしてたどり着いたのは、地下深部に鎮座する重厚な黒塗りの門であった。
これと言った装飾もない簡素な門、しかしその扉の放つ禍々しい禁忌の瘴気はこの先に潜む"何か"が尋常でない存在であることを示していた。
「ふむ」
男は扉に手をかざしてみる。
「やはり私では駄目か」
男は、門が開く条件については知っているようだが、その資格までは備えていないようであった。
「こんなところに何の用かな、エインズワース殿」
男――エインズワースの背後に立ったのは褐色の男、イスマイルであった。
「お前は確か、例の一団の参謀だったか」
「ほう、彼らの報告に目を通したのかな?」
「貴様らがこの国で為そうとしていることぐらいなら把握している。貴族共の煽動に乗じて今回は悪戯を働いたみたいだが、どうやらその真の目的は果たせたようだな」
「全く恐ろしいお人だ。一体どこまで僕らのことを知っているんだい?」
「私とて、この国のすべてを知っているわけではない。だが貴様らのような鼠が湧いて、それを看過するほどこの国に無関心というわけではない」
「やれやれ……だけど一つ誤解しているよ。目的についてはどちらも本命だ。イシュメル人の自立を促そうと手助けしたことも、重要な僕らの計画の目的の一つだ」
「まるであの結末を予期していたかのような口ぶりだな。だがそれはいい。こうしてそちらから来てくれるとは好都合だ。例の物を引き渡してもらおうか」
そう言ってエインズワースは異空間から剣を引き抜くと、その眼に禍々しい紫電を迸らせた。
同時にその身から発せられた邪気は、魔神化したジャファルの比にはならないほどのプレッシャーで、空間自体を押し潰しながら、周囲の遺跡を自己崩壊させていく。
「魔眼まで覚醒しているのか。どうりでこの遺跡に詳しいわけだ。その底知れない闘気、一体どこまで"侵食"されているんだい?」
「試してみるか?」
エインズワースは不敵な笑みを浮かべながら剣を構えた。対するイスマイルも緊張しているのか、普段のおどけた表情も鳴りを潜めて、異空間から引き出した青藍の剣を構えていた。
「その剣……」
エインズワースは何か引っかかったという様子でイスマイルの剣を見つめた。
「来ないならこっちから行くよ」
最初に動き出したのはイスマイルであった。誰も見届ける者の居ない、遥かな地の底で死闘が始まった。
「ここが報告にあった例の遺跡か」
男は勝手知ったるという様子で、遺跡の深部へと潜り込んでいた。そしてたどり着いたのは、地下深部に鎮座する重厚な黒塗りの門であった。
これと言った装飾もない簡素な門、しかしその扉の放つ禍々しい禁忌の瘴気はこの先に潜む"何か"が尋常でない存在であることを示していた。
「ふむ」
男は扉に手をかざしてみる。
「やはり私では駄目か」
男は、門が開く条件については知っているようだが、その資格までは備えていないようであった。
「こんなところに何の用かな、エインズワース殿」
男――エインズワースの背後に立ったのは褐色の男、イスマイルであった。
「お前は確か、例の一団の参謀だったか」
「ほう、彼らの報告に目を通したのかな?」
「貴様らがこの国で為そうとしていることぐらいなら把握している。貴族共の煽動に乗じて今回は悪戯を働いたみたいだが、どうやらその真の目的は果たせたようだな」
「全く恐ろしいお人だ。一体どこまで僕らのことを知っているんだい?」
「私とて、この国のすべてを知っているわけではない。だが貴様らのような鼠が湧いて、それを看過するほどこの国に無関心というわけではない」
「やれやれ……だけど一つ誤解しているよ。目的についてはどちらも本命だ。イシュメル人の自立を促そうと手助けしたことも、重要な僕らの計画の目的の一つだ」
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そう言ってエインズワースは異空間から剣を引き抜くと、その眼に禍々しい紫電を迸らせた。
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