暗黒騎士と堕ちた戦乙女達 ~女神に見放されたので姫と公女たちに魔神の加護を授けて闇堕ちさせてみた~
燃える村
アルトジウス帝国は中央の皇帝直轄領を含めて、五つの地域に分けられる。
その内の一つ、フライフォーゲル領は南西部に位置し、帝国の北東にある聖教国より最も遠い位置にある。
また、弓の扱いに長けたシャーロットの生家がある地域でもあり、皇帝直轄領との領境に最も近いモンシャウ村は、シャーロットの母の出身地であるため、皇女一行の逃亡先として目されている。
そういった経緯からモンシャウ村は、彼らの行方を追う宰相派と聖教騎士団の標的となり、火をかけられてしまう事態となった。
*
「ひっ……助けて……」
焦熱の中、一人の少女が助けを求めて天を仰いだ。
「ハッ、まだ助けが来ると思ってんのか?」
少女は下卑た笑みを浮かべた男によって、燃え上がる家屋の壁際まで追い詰められていた。
「このまま焼け死ぬか、ここで俺と楽しむか選びな」
そうして男がじりじりとにじみ寄ってくる。
しかし、ここで死を選ぶ勇気など無く、少女は為す術も無く男に押し倒され、馬乗りになられてしまった。
「クハハ、素直な女は嫌いじゃねえが、俺としてはもう少し抵抗してくれた方が嬉しいんだがな。おい、お前婚約者はいるか?」
「え?」
「婚約者がいるかっつってんだよ!! 一回で聞けや」
男は少女の頬を乱暴に引っ叩くと、つばを吐きながら言い放った。
「ひっ、い、います! だから、ぶたないで……」
少女は突然の暴力に恐怖し、腕で顔を覆いながら言った。
「クハッ、やっぱりな。そんな気はしてたんだ。俺はお前みたいな、心に決めた人間がいるなんて抜かす奴を、そいつのこと忘れちまうぐらいにぐちゃぐちゃに犯し尽くすのが大好きなんだ」
男が少女の服の胸元を思い切り引きちぎった。すると、まだ誰にも穢されたことのない小振りで白い乳房が露わになった。
「貴様、何をしている!!」
その時、男を制止するように一人の騎士がやってきた。
「あん? テメエ、俺の楽しみを邪魔しやがるのか!!」
「仮にも女神の代行者たる騎士団に名を連ねる者、それがこの様な非道な行いに出るなど恥を知れ!!」
どうやらならず者の行動は、騎士達の意思とは相反するものの様であった。
「ハッ、テメエらだって女神の名を勝手に借りて罪のない人間を焼いてるじゃねえか。今更良い子ちゃんぶるんじゃねえよ」
「くっ、だ、黙れ」
図星を突かれたのか、騎士の語気が弱くなる。しかし、それでも騎士は反論を続ける。
「だからといって、何をしても許されるわけではない。命令は村民の連行だ。しっかりその責務を果た――」
その瞬間、騎士の首が思い切り刎ね飛ばされた。
一瞬のことで理解が追いつかなかったのか、騎士だった者の首はひどく間抜けな表情を浮かべ、ぼてっと地面に転がり込んだ。
「大変だ。彼が自警団に返り討ちにされてしまった」
戦斧の血を拭き取りながら、黒い装束を纏った長髪の、彫りの深い男がやってきた。
「隊長!! へへ、来てたんですかい」
「ああ。これでも僕らバルデル傭兵団は、栄えある聖教騎士団の一員だ。命令には従わなきゃならない。職業軍人の辛いところだな」
男は頭にかぶったハットをかぶり直すと、渋い声でそう言って、軽く微笑んだ。
「クハハ、よく言うぜ。邪魔な騎士共を始末して好き勝手やってんだから、とんだ糞野郎だぜ」
「それは仕方がない。僕らは血と略奪が好きで好きでたまらない、ろくでなしだ。これ以外の流儀など知らないのだよ」
そう言って男が騎士の首を拾い上げ、まるで美術品でも鑑賞するかのように眺め回した。
「ふむ、随分と良い死に顔だ。是非、棚に飾りたいところだ。だけど、さすがに戦果にはできないな」
男は乱暴に首を放り投げた。
「さて、僕は周囲の警戒にあたろう。アスマン、君はゆっくりと休憩したまえ」
「良いんですかい? クク、これだからバルデル隊長の部下は辞められねえぜ」
それは暗に、アスマンの行動を黙認すると言っているのと同義であった。
「戦場では潤いが必要だからね。君は君の欲するままに生きたまえ」
「んじゃ、遠慮無く」
きびすを返してその場から立ち去るバルデルを見送ると、アスマンは再び少女の方へと向き直った。
「さあて、待たせたな。続きと行こうぜ」
口の端をつり上げながら、アスマンはゆっくりと、少女の露わになった乳房へと手を伸ばした。
そして、その手が乳房を掴まんとしたその時――
「すまないが、続きはお預けだ」
誰かの声と共に、少女の肌を鮮血が真っ赤に染めた。
「へ?」
男は、何故か伸ばした腕から得られるはずの感触が伝わって来ないことに混乱し、間抜けな表情を浮かべた。
そして、恐る恐る両腕に視線をやった。しかし、そこには既に、本来あるはずのものがなかった。
「な、何で? 何でだ!? 何で俺の腕がねえんだ!!!」
男は腕を失った両肩の切り口を見て狂乱した。
「う、うわ、うわあああああああああああああ!!!!!!!!」
そして、両肩から勢いよく血しぶきを上げながら、必死に失った両腕を探し求めた。
「もはやその出血では助からん。散々、他人を蹂躙して楽しんだんだろ? 今度は自分の死を楽しめ」
漆黒の鎧を纏ったアベルがそう吐き捨てると、剣を盾に収め、ゆっくりと少女の方へと歩いて行った。
「遅れて済まない。だが、もう安心だ。俺が来た方向の兵はみな斬り捨てた。君はそこを辿って、隣村まで逃げるんだ。できるね?」
そう言ってアベルが、少女の胸を隠すようにマントを与えると、少女は無言でこくりと頷いた。
「よし、さあ行くんだ」
アベルのかけ声と共に少女がその場から逃げ出した。
「…………」
その後ろ姿を見送ると、アベルは哀れに腕を求めるならず者に目をやった。
「あんなのが聖教騎士だなんて、世も末だな」
そうしてアベルは、ならず者への興味を失い、村の奥へと進んでいった。
その内の一つ、フライフォーゲル領は南西部に位置し、帝国の北東にある聖教国より最も遠い位置にある。
また、弓の扱いに長けたシャーロットの生家がある地域でもあり、皇帝直轄領との領境に最も近いモンシャウ村は、シャーロットの母の出身地であるため、皇女一行の逃亡先として目されている。
そういった経緯からモンシャウ村は、彼らの行方を追う宰相派と聖教騎士団の標的となり、火をかけられてしまう事態となった。
*
「ひっ……助けて……」
焦熱の中、一人の少女が助けを求めて天を仰いだ。
「ハッ、まだ助けが来ると思ってんのか?」
少女は下卑た笑みを浮かべた男によって、燃え上がる家屋の壁際まで追い詰められていた。
「このまま焼け死ぬか、ここで俺と楽しむか選びな」
そうして男がじりじりとにじみ寄ってくる。
しかし、ここで死を選ぶ勇気など無く、少女は為す術も無く男に押し倒され、馬乗りになられてしまった。
「クハハ、素直な女は嫌いじゃねえが、俺としてはもう少し抵抗してくれた方が嬉しいんだがな。おい、お前婚約者はいるか?」
「え?」
「婚約者がいるかっつってんだよ!! 一回で聞けや」
男は少女の頬を乱暴に引っ叩くと、つばを吐きながら言い放った。
「ひっ、い、います! だから、ぶたないで……」
少女は突然の暴力に恐怖し、腕で顔を覆いながら言った。
「クハッ、やっぱりな。そんな気はしてたんだ。俺はお前みたいな、心に決めた人間がいるなんて抜かす奴を、そいつのこと忘れちまうぐらいにぐちゃぐちゃに犯し尽くすのが大好きなんだ」
男が少女の服の胸元を思い切り引きちぎった。すると、まだ誰にも穢されたことのない小振りで白い乳房が露わになった。
「貴様、何をしている!!」
その時、男を制止するように一人の騎士がやってきた。
「あん? テメエ、俺の楽しみを邪魔しやがるのか!!」
「仮にも女神の代行者たる騎士団に名を連ねる者、それがこの様な非道な行いに出るなど恥を知れ!!」
どうやらならず者の行動は、騎士達の意思とは相反するものの様であった。
「ハッ、テメエらだって女神の名を勝手に借りて罪のない人間を焼いてるじゃねえか。今更良い子ちゃんぶるんじゃねえよ」
「くっ、だ、黙れ」
図星を突かれたのか、騎士の語気が弱くなる。しかし、それでも騎士は反論を続ける。
「だからといって、何をしても許されるわけではない。命令は村民の連行だ。しっかりその責務を果た――」
その瞬間、騎士の首が思い切り刎ね飛ばされた。
一瞬のことで理解が追いつかなかったのか、騎士だった者の首はひどく間抜けな表情を浮かべ、ぼてっと地面に転がり込んだ。
「大変だ。彼が自警団に返り討ちにされてしまった」
戦斧の血を拭き取りながら、黒い装束を纏った長髪の、彫りの深い男がやってきた。
「隊長!! へへ、来てたんですかい」
「ああ。これでも僕らバルデル傭兵団は、栄えある聖教騎士団の一員だ。命令には従わなきゃならない。職業軍人の辛いところだな」
男は頭にかぶったハットをかぶり直すと、渋い声でそう言って、軽く微笑んだ。
「クハハ、よく言うぜ。邪魔な騎士共を始末して好き勝手やってんだから、とんだ糞野郎だぜ」
「それは仕方がない。僕らは血と略奪が好きで好きでたまらない、ろくでなしだ。これ以外の流儀など知らないのだよ」
そう言って男が騎士の首を拾い上げ、まるで美術品でも鑑賞するかのように眺め回した。
「ふむ、随分と良い死に顔だ。是非、棚に飾りたいところだ。だけど、さすがに戦果にはできないな」
男は乱暴に首を放り投げた。
「さて、僕は周囲の警戒にあたろう。アスマン、君はゆっくりと休憩したまえ」
「良いんですかい? クク、これだからバルデル隊長の部下は辞められねえぜ」
それは暗に、アスマンの行動を黙認すると言っているのと同義であった。
「戦場では潤いが必要だからね。君は君の欲するままに生きたまえ」
「んじゃ、遠慮無く」
きびすを返してその場から立ち去るバルデルを見送ると、アスマンは再び少女の方へと向き直った。
「さあて、待たせたな。続きと行こうぜ」
口の端をつり上げながら、アスマンはゆっくりと、少女の露わになった乳房へと手を伸ばした。
そして、その手が乳房を掴まんとしたその時――
「すまないが、続きはお預けだ」
誰かの声と共に、少女の肌を鮮血が真っ赤に染めた。
「へ?」
男は、何故か伸ばした腕から得られるはずの感触が伝わって来ないことに混乱し、間抜けな表情を浮かべた。
そして、恐る恐る両腕に視線をやった。しかし、そこには既に、本来あるはずのものがなかった。
「な、何で? 何でだ!? 何で俺の腕がねえんだ!!!」
男は腕を失った両肩の切り口を見て狂乱した。
「う、うわ、うわあああああああああああああ!!!!!!!!」
そして、両肩から勢いよく血しぶきを上げながら、必死に失った両腕を探し求めた。
「もはやその出血では助からん。散々、他人を蹂躙して楽しんだんだろ? 今度は自分の死を楽しめ」
漆黒の鎧を纏ったアベルがそう吐き捨てると、剣を盾に収め、ゆっくりと少女の方へと歩いて行った。
「遅れて済まない。だが、もう安心だ。俺が来た方向の兵はみな斬り捨てた。君はそこを辿って、隣村まで逃げるんだ。できるね?」
そう言ってアベルが、少女の胸を隠すようにマントを与えると、少女は無言でこくりと頷いた。
「よし、さあ行くんだ」
アベルのかけ声と共に少女がその場から逃げ出した。
「…………」
その後ろ姿を見送ると、アベルは哀れに腕を求めるならず者に目をやった。
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