豚になりたかった俺は...

オナ禁マッスル

11話 暗い過去

一輝がムネヒトの元を訪れて数日、ムネヒトは転生前のことを思い出し悪夢にうなされていた。

そうそれはまだ化学の教師として大幡石高校に務めていた頃の話。

わし、松井宗人は生徒、先生、PTAの全てに嫌われていた。理由もおそらく分かっている。それはわしが授業中もタバコを手放すことが出来ないからだろう。

教師として務めること28年、色々あったがわしが今受け持っているクラスは本当に高校生なのかと疑いたくなる程だ。
ある者は持ち込み禁止であるはずの漫画本を引きちぎて食い、ある者は首の骨にヒビが入った女の子にチョップをするだけで飽き足らず他者に罪をなすり付ける。

そんなクズ共の担任をしている中でワシの中で何かが壊れていくのがわかった。

そんな異常な精神状態が続く中で遂にいついかなる時もタバコを手放せなくなってしまったのだった。

そして、事件が起こったのはあの日だった。
わしのクラスの生徒の1人平野颯真が授業中に唐突にスマホを取り出し音楽を流し出したらしい。

当然指導はクラス担任であるわしがすることになった。
「なんでこんなことしたんや?」とわしが聞くと
「授業中でもタバコ吸ってる先生に言われたくないんですけど」と言いやがった。
イラッとしたわしはつい殴ってしまった。
すると平野は
「あ、今殴りましたよね。これ録画してるんですよね」
と指導している教室の天井に指を指す。
指された方向を見てみるとそこにはカメラがあった。
「これでクビですね」と言われた時わしの中の大切なものが完全に壊れ、気がつくと殴り殺された平野の死体があった。
遂にやってしまったのか、とわしは思った。
とりあえず平野の死体を山に埋めたあと銀行に直行し、貯金を全部下ろして大幡石市のタバコを全て買い占め、車の中で一気に火をつけた。

副流煙の気持ちよさに溺れていると突如わしの体がおかしくなっていくのが分かった。
これは一酸化炭素中毒か?それとも酸欠か?と思うが窓を開けるにも体が重くて動けない。
このまま死ぬのもええかと目を閉じた。
そのままわしの意識は完全に消えていった。

目を覚ますとわしは見たことも無い不思議な世界にいた。
なんやぁ?と思っていると謎の女が
「あなたは死んだのです」と言う。
「誰や?」と言うと
「私はヒトミ。大幡石市を管理する神です」と言う。
「神?馬鹿みたいな嘘つくなや」と言うと
「嘘ではありません。あなた車の中で心中しましたよね。」と言われる。
「そうやけど。まぁお前が神やとしてもなんでわしはここにおるんや。わしが神になるんか?」と小粋なジョークを挟みつつ聞くと
「違います。私たちの仕事の1つとして自殺したものを一つだけ願いを叶えて違う世界で生きてもらうというものがあるのです」と言う。
「本来殺人などをしている場合は除外されるのですがあなたはあの少年の被害者であることや精神状態が異常であることを加味した結果、転生してもらうことになりました」と続けて言われた。
「そうか。」と言うと
「では早速願いを言ってください」と言われたので
「タバコを吸い続けたい」と躊躇いなく答えた。
ヒトミはちょっと引いた様子を見せながらも
「分かりました。では目を閉じてください。次目覚めるとあなたは異世界です。あなたの来世に幸あらんことを」と言われたので言われたとおり目を閉じた。
すると意識がスーッ...と消えていくのがわかった。



それからは色々あって今は革命軍の参謀をさせてもらっている。

しかし、今でも平野を殺してしまった自分の残虐性に心の奥で恐怖しているのである。

次回、いよいよまともに始まるムネヒトによる特訓!
ぜってぇ見てくれよな。

コメント

  • 吉川瑠奈

    ムネヒトォ
    応援してるぞ。

    0
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