焦げた空気

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焦げた空気









買い物ついでに店員の呼び込みに
誘われるがまま勧められた
香りの良いお土産を手に帰る
気がすすまなかったお土産を
開けてお湯を沸かして用意する
ポットのお湯が無かったから
アルミ鍋で湯を沸かす
半分網目の三角錐型に
土産をサジに何杯か入れ
沸騰した湯を注ぐ
この瞬間に何時もの家の空気が変わる
焦げ臭いと言うより
燻された物を砕いてふやかせる
お湯で元に戻る事は無く
そのままお湯が焦げ色に堕ちる時
何時もの間に合わせの物よりかは
貴賓な空気が家中に漂い
ちょっとした喫茶店のマスターになる
たまにはこんな贅沢な時を
家中で喫茶店の味を嗜む事も
必要なのかと珈琲を前に考えた







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