捌きの後

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捌きの後









この世はあの世と繋がって、
空には塊の黒雲在り。


これ希に黒い中に稲光、
この時あの世へ扉開く。


今日も誰かの道しるべ、
下界も送り出す賑やかさ。


空に向かうは自分の番で、
ふわふわ黒雲目指してる。


浮き上がって居るのだから、
堕ちる場所へ向かってない。


天と地と人の創った別世界、
扉に近づき門番見える。


今日は君か?
そう訊かれ名前を告げる、
扉の向こうは分かれ道。


名前を名簿で探し出し、
扉を潜り左の道へ通される。


下り坂で暗くなる、
歩き続けて数時間。


天から地下を通る道、
歩きながら気が付いた。


歩いて来た道生きた道、
振り返る事なく先進む。


生前を悔やんでも、
今在る己の情け無さ。


進む道は険しく無い、
生前とは大違い。


早く来い来い誘われる、
悪しき者の宿命なのか?


薄暗い狭い道、
真正面が明るくなり
階段に辿り着く。


これを降りろ?と黙って進む、
降りたその場所広場に着くと。


そこは最後の裁きの場所、
いよいよかぁと腹括る。


目前背凭れ長机、
ネクタイ姿の眼鏡の男。


そこへ座れと言われるままに、
裁きの時が今始まる。


生前何を見感じたか?
全て話せと言い終わる。


ありのまま全てを話し疲れきる、
それから暫く数十分。


眼鏡男が口開く、
お前は…
真実しか見えない愚か者。


その愚かさ故にここへ来た、
その真実は正しい世界。


誤る世界を変えたいと、
常に思い己を犠牲に。


人生は己のものだ!
そう言うと門番に掴まれて
あの世からこの世に返された。


インフルエンザで高熱出して、
魘されて見た冬間の夢
窓の外は雪積もり、
以前よりだいぶ輝き見えた…











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