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一〇〇匹の怒れるイカレたハニカム組合

しーとみ@映画愛好家

第1話「女のくせに昼食がカップ麺なのは、あり得ないのか」問題

「女くせに、昼飯がカップ麺なんてあり得ない」

渋川 清美は、課長の松井に言われた。
妊娠出産する女が、健康に悪いカップ麺を食べるのはどうなのか、と。

その男性上司は、健康志向でスポーツマンだ。
カップラーメンやレトルトなどは、環境ホルモンがどうのなどと言い出す。
あんな身体に悪い物は口にしない、と、たびたび自慢にしていた。
また、女性蔑視の傾向がある。
いじるのが楽しい、相手がムキになるのが面白いらしく、多くの女性社員から煙たがられている。

「ですが、我が社は食品会社とも提携して、商品開発をしています。カップ麺を貶める発言はどうかと」
「カップ麺を食ってる女ってどうよって言ってんの! 論点すり替えんな!」
すり替えたのはお前だろう、と言いたかったが、飲み込んだ。

「だーっ、あのクソ課長がぁ!」
帰宅後、清美は収まらぬ怒りを、質問投稿サイト「教えてGOD!」にぶつけた。
とりとめのない文章になってしまったが、とにかく吐き出そうと。
反響なんてどうでもいい。とにかく愚痴を聞いて欲しかったのである。

「嘘。マジで?」
投書した記事の反響に目を丸くした。男女問わず、意見が飛び交う事態に。
信じられなかった。まさか、こんなにも反響があるなんて。
清美と同じように、いわれのないパワハラに悩める女性たちが存在するのだ。
議論は白熱し、ネットのニュースでも話題になった。
今でも男女に分かれて口論に近い言い合いが続いている。
男性の投書は具体的な解決法に特化しているのに対し、女性は共感を呼ぶ投書が目立つ。清美も女性なので女性の意見に目が行きがちだ。
同性からの共感はありがたい。
ここまで自分を気にかけてくれる人達が大勢いる。多くの味方を得た気になった。

けれど、何か満たされない。まだどこか納得できない面もあった。
とはいえ、怒りの根源がなんなのか、清美には分かりかねている。
そして今日、清美の質問に謎の長文が投稿された。

「一〇〇匹の、怒れるイカレたハニカム組合?」

投稿者の名は、清美には面識のない人物だ。
だが、聞き覚えはある。
いきなり人の質問に割って入り、荒唐無稽な解決策を提案する、謎のアンサー書きがいると。
大抵、ハニカム組合の回答は無視されるだけで終わる。
だが、彼のアンサーを実行した人々は、ちょっぴり幸せになれるとも聞く。
しかも、謎の経済効果まで生んでいるという。
HPなどは存在しないが、一〇〇人が寄り集まって生まれたサークルである、という事実はあるそうだ。
『ハニカム』とは『蜂の巣』という意味で、「自分達は悩める労働者の味方である」と発言したことがあるらしい。
噂が噂を呼び、「学者集団だ」「技術者集団の名前なのでは」「大学のディベート集団だ」という意見が飛び交っている。「怪しい宗教かも」とさえ言われているらしい。

とうとう、自分の元にもハニカム組合が来た。
果たして都市伝説なのか、単なる噂の領域なのか。
ハニカム組合なる人物は、「あくまでも野次馬の戯言」と断りを入れて、失礼な発言だったら無視してくれという但し書きが添えられていた。

だが、タイトルからして、挑発的である。

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