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それでは問題、で・す・が!

しーとみ@映画愛好家

2-3

「さて、始まりましたクイズ番組研究会。本日は『違いの分かるクイズ番組』と題しまして、全問フリップ問題形式となっています!」
出場者紹介を終え、早速問題へ。
長机に座る解答者全員には、B5サイズのホワイトボードとマーカー、手の平サイズにちぎったメラミンスポンジが、人数分用意されている。
全部百均で買ってきた物だ。これに解答を書いてもらう。

やなせ姉が、問題を読み上げる。

『問題。ハイキングと、ピクニックの違いは?』

三人がマジックを走らせる。
書いては消してを繰り返し、嘉穂さんのペンが止まってしまう。
あれ、スポーツ問題は苦手だったっけ?

「荷物の量が違う」と、見当違いの答えを出して、嘉穂さんは不正解となった。

湊は「山に登るかどうか」と書いて不正解。
「ウチの親戚は、よく山に登るんだ」
「登山が趣味なんですか?」
「そうそう。帰りはスッキリした顔で帰ってくるよ」
「その『山登り』って隠語じゃねえか! 意味が違うわあ!」
最後にのんがフリップを出す。『ピクニックは弁当が出る。ハイキングは歩くだけ』と書かれていた。
……ある意味で正解かもしれない。
やなせ姉と相談して、正解とした。
「ハイキングは歩くことが目的。ピクニックは弁当を広げるのが目的でした。小宮山選手、これは意味が分かっていましたか?」
「ピクニックで食べるお弁当の方がうまい! と思っただけなんだな」
何も考えていなかっただけらしい。

『次の問題。冷麦と、そうめんの違いを書いて下さい』

悩んだ末に、嘉穂さんは、「太さ」と書いた。
「では、名護湊選手」
湊も、「太さ」と筆記している。
「冷や麦の方が若干もちっとしてるから、太さかなー。どっちが太いかはわかんない」
「実はですね。小宮山選手解答をどうぞ」
のんも「太さ」と書いていた。
「三人とも同じ答え。これはですね。全員正解なんです」
ホッとした表情が全員から浮かんだ。
が、僕が首を振ると、笑顔が消える。

「ですが! 誰一人として、どっちが太いかを明記していません。よって、どちらが太いのかをちゃんと答えて正解とします」

えー、と言った顔を湊が見せた。
三人が、そうめんと冷や麦のどちらが太いのかを書く。
「さて、津田選手と名護選手、素麺の方が太いと書きました。では小宮山選手、どうぞ」
「冷や麦の方が太いのだな!」
大正解。これまた、のんが一歩リード。食べ物系は強いな。
「そうです。そうめんは冷麦より細いのです。よって、小宮山選手のみ正解」

案外、のんが健闘している。トップになったのは初めてだ。
のんはその後も、一点リードを維持し続けた。
対照的に、まるで嘉穂さんが振るわない。
解答を出す時の迷いもなく、何ら問題はなかった。字も綺麗だ。
しかし、間違う。さして難しい問題ではないと思っていたのだが。

「どうしたんでしょう。津田嘉穂選手、緊張しすぎでしょうか?」
「え? ああ、何でもないです」
平静を装っているが、取り繕っているのが丸わかりだ。
「フリップ問題は苦手とか?」
湊がフォローのコメントを入れる。
「そういうわけでは、ないんですけど」
手をパタパタさせて、嘉穂さんが誤魔化す。

『問題。保育園と、幼稚園の違いは?』

のんは、「制服があるかないか」と書いて不正解。
湊は、「通っている子供がマセているかどうか」と書いて不正解だった。実に失礼な解答だ。
嘉穂は「管轄が違う」と書いて、正解を出す。
「保育園の管轄は厚生労働省ですぅ。幼稚園の管轄は文部科学省ですぅ」

『次の問題です。「自首」と「出頭」の違いは?』

のんがフリップを出す。
「説得されたかどうか!」
「違います」
湊が答えを出した。
「罪の重さじゃないかな?」
「それも違いますね」
最後に、嘉穂さんが解答する。
「犯人が分かっているかどうかです」
犯人が分かる前に出てくると自首。分かった後に出てくると出頭。
見事、嘉穂さんが正解した。

『最終問題です。サイダーとラムネの見分け方は?』

これは、三人とも止まった。
嘉穂さんは「ラムネの方が甘い」と書いて、不正解。
のんは、「ビー玉が入っているかどうか」と答えて、不正解となった。
最後に、湊がフリップを出す。
「原料じゃないかな」
「正解! 湊選手正解!」
サイダーの語原は「シードル」というりんごを発酵させた「お酒」なのである。
一方、ラムネの語原はレモネードという。
「へえ、お酒だったんだ」
「さて、ここで大番狂わせ。今回の優勝は湊選手です!」
「え、ウチ?」
この勝負、実は一点差で決着が付いた。それまで三人とも横並びで、最後に湊が正解を出したのである。
「では優勝した名護湊選手、今のお気持ちを」
本来喜ぶべき所のはずだ。
「え、えっと。そこまで想定してなかったなぁって」
けれど、湊はやっちまったといった顔をする。
ボケ役を好む彼女にとっては、あまり喜ばしい事ではないのだろう。

ただ、僕は嘉穂さんの不調が気になっていた。

他の三人も、どうも気にしているようだ。
カメラを止めて、嘉穂さんの元へと歩み寄る。
「嘉穂さん、具合悪かった?」
「ふえ?」
声をかけるまで、嘉穂さんは心ここにあらずという状態だった。僕が呼びかけたことで、慌てて意識をこの場に戻した様子である。
「な、何でもありませんよ?」
手をバタバタさせて、嘉穂さんが弁解した。

やはり、調子が悪かったのかなぁ……?

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