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しーとみ@映画愛好家

聖女、若衆道を説く

「死を受け入れよ。死は救いなり!」
立ち直った山伏が、金剛杖を振り回す。

モーニングスターが、金剛杖を弾き飛ばした。腕ごと。
アンデッドだから、脆いのだ。

腕をもがれても、大抵のアンデッドは痛みを感じない。普通ならば。
だが、山伏は悶絶する。

「おのれ、たかが聖女如きが、死の王のシモベである我を……」

「誰が口を利いていいと言いました?」
鬼山伏の角を一つ、セェレはへし折った。
モーニングスターによる、高速の一撃で。

ヘナヘナと、鬼山伏の筋肉がしぼんでいく。
角を失って、力をなくしたのだ。


「アンデッド特効。それが、わたしの持つ『聖女』の力です」


力で押し合っても、オレは山伏と互角だった。
対して、セェレは神に仕えている。アンデッド対策バッチリなのだ。

「あなた方の故郷には、成仏の道より、もっと心地よい習わしがあるではないですかー」
「ありえぬ、死より尊い救いなど」

慈愛に満ちたセェレの笑みが、より光を増す。

「あのですねー、遠い異国の地には、『若衆道わかしゅどう』というありがたーい風習がありまして」

セェレの手には、天狗の面が握られている。桜花団たちが探していたアイテムだ。

「ひっ」と、青鬼山伏が後ずさる。
首をかしげながら、カミュがオレを肘でつつく。

「トウタス、若衆道って何?」
桜花団を治療していたカミュが、オレに聞いてくる。
「ホモは正義って意味だよ」
オレが返すと、カミュは青ざめた。

情け容赦なく、セェレは山伏の持つ二本目の角を折り、距離を詰める。

「それは、戦に女を連れて行けないから広まった習慣であって」
「人ってね、男の子同士で愛し合った方がいいと思いますの」

言葉に、何ひとつブレがない。
自分の思考は至極真っ当だと言わんばかりに、セェレは言い切った。

ダチを殴られ、完全にキレてやがる。

壁まで追い詰められ、いよいよ山伏に逃げ場はなくなった。
セェレが、天狗の面を青山伏に投げつける。

山伏の真横にある壁に、天狗の面が張り付いた。

「あなたも、若衆道を極めれば、より人に優しくなり、より見識を深めることができるでしょう」

「やめろ、やめ!?」
逃げようとした山伏の動きが止まる。

青山伏の背後に、謎空間ができていた。
毛むくじゃらの腕がにゅっと出てきて、山伏を背中から抱き寄せている。なで回すような手つきが妙に艶っぽい。やがて、腕の持ち主が、天狗の面を被った全裸のマッチョだったと判明する。

「あああああああっ!」
恐怖がピークに達したらしく、山伏は半狂乱になった。
「恐れる必要はありませんよ。じきに喜びへと変わります。それまで天井のシミでも数えながら愉悦に浸りなされませ」

セェレの言葉に胸を押されるが如く、青い肌の山伏はのけぞる。
そのまま謎空間へと吸い込まれていった。


「アッー!」


山伏の断末魔も飲み込んで、空間の扉が塞がれる。

「世に、男色の理解あらんことを」

「セッちゃん!」
治療を終えた桜花団が、セェレに手を振る。

「君の知り合いかい?」
「あの子たち、遠征に来たんですよ。で、わたしが道案内をして、あちこち回っていたのです」

セェレは、ピンチになったらかけつけるところだったが、トウタスの方が先に来てしまい、二人に任せて桜花団の治療に専念した。

「桜花団っていうのか。やっぱアレか。『桜の木の下には死体が』ってフレーズで有名な小説から、じゃねえよな」

言ってから気づく。ココは異世界だ。地球の小説なんて知らないよな。

「それは知らないでござる。だが、『さくらんぼ』なうちの少年ってカワイイねって話題で盛り上がった一団でござる」

そうか。こいつら、セェレの友人だって言っていたっけ。
類は友を呼ぶって事実だな。

「助かったぜ、セェ、レ?」

オレはセェレに歩み寄ろうとしたが、セェレは一歩引く。

「どうした、セェレ?」

「トウタスさ、さっき、腕落ちていたよね? でも、今見たら繋がってた」

まずいものを見られた。

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