読むことについて

しーとみ@映画ディレッタント

スティーブン・キング / 『書くことについて』(図書館

小説家スティーブン・キングによる、創作論。

キングの本が読みたい、と思って探していたら、創作論が見つかったのです。
なんと、図書館でも借りられるという。

さっそく地元の図書館で借りて読む。

前半は幼少期からデビューまで。
キング氏も大概だが、兄キングも相当の悪ガキで、コンセントに異物をぶっさして街中を停電させた伝説を持つ。

中盤は創作論。
「作家になりたかったら、たくさん読んでたくさん書くに限る」
と、本著で語っていますよー。

特に描写面は、勉強になるところが多いかと思います。


『ミザリー』のアニーは、端から見れば完璧な異常者。
髪がボサボサのまま、チョコレートケーキをホールで食う。
が、本人はいたって正常で、道理をわきまえていると信じています。
それどころか、自身を
「ゲスな有象無象を相手に孤軍奮闘している英雄」
とみなしているのですよー。

何が言いたいかというと、
「異常者を『あの人は異常者だ』などという言葉で片付けるな」
ということです。

描写せんかいと。

ミザリーがいかに怖い小説か、すごくよく分かる描写です。

「優れた小説は、物語で始まりテーマで終わる。逆はない」

これも、非常に参考になる創作論かと。

他にも、勉強になる技術がふんだんに詰まっています。


後半になって、「交通事故に遭って死にかけた話」を。
キング氏は、交通事故の経験から「何か残したい!」と思って、本著を執筆開始したそうです。
「オレが作ったキャラみたいなヤツに殺されかけたってわけさ」

という、いかにもキングらしい言い回しも楽しめます。


精神科医の樺沢紫苑先生も、ご自身のYouTubeにて、
「小説家になりたい人は必読」
とおっしゃっています。


この本、実は小説の実習まで行っています。

・自分にきつめのDVをかました配偶者(男女問わず)が、刑務所もしくは精神病棟から脱走。

・懸命な捜索にもかかわらず、居所が分からない。

・玄関のドアがガチャガチャ鳴っている。

こういったシチュエーションを描写せよ、というもの。

ご自身のHPで解答を募っているそうですが、英語ばかりだったので断念。
今やっているかどうかも分からないので。

とにかく、創作に関する勉強にはきっと役に立つので是非ご一読を。

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