創作に役立たない、「映画の感想」

しーとみ@映画ディレッタント

ペルシア軍の要求を蹴る(物理) 『300 〈スリーハンドレッド〉』

降伏を迫るペルシア軍の要求を蹴って、宣戦布告するスパルタの王、レオニダス。

彼は「散歩」と称し、物量的に勝ち目のない戦いを挑む。
配下は、たった300人。

実際に起きた「テルモピュライの戦い」をベースに描かれたマンガの映画版。

この映画の何が面白いって、国内に「使者を蹴り落とす穴」があることだ。

レオニダスの戦略も狡猾でありつつ、実に効果的だ。
土地を利用して、ペルシアに不利な状況を作り上げる。

だが、敵の部隊も負けてはいない。
面妖な魔法を使う部隊に、レオニダスの部隊は苦戦を強いられる。

この超テンションは、同じようなコンセプトの『バーフバリ』とは違うベクトルと言えるだろう。

全開で陽の方向へ向かう『バーフバリ』に対し、『300』のシナリオは、ひたすら破滅的だ。

ただ、滅びの美学とは違う。

ラスト、円形のファランクス陣形でレオニダスの決断を待つ配下たち。
その息づかいは荒く、反撃の好機を窺っているのが伝わってくる。
追い詰められながらも、負けると分かっていながらも、その眼光は死んではいない。

滅びの美学がテーマなら、ここまで情熱的なシーンにはならない。

魂は決して屈しないという決意の表れが、本作の登場人物たちから滲み出ている。

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