創作に役立たない、「映画の感想」

しーとみ@映画ディレッタント

鉄壁のスカート 『パージ』

ドビュッシーの『月の光』が流れる中、アメリカじゅうの監視カメラの映像が流れる。
ある者は人を囲んで棒で叩き、また銃を乱射し、別のカメラでは死体が転がっている。
年に一度訪れるこの夜は『パージ』と呼ばれ、アメリカ政府が「どんな犯罪もOK」と定められている。

イーサン・ホークの家は、警備会社である。
パージに対抗するため、家中の窓を鋼鉄で塞ぐ。その状態で、夜をやり過ごすのだ。

主人公の娘は終始制服を着ている。
だが、カレシとお楽しみ中だろうが、悪漢に襲撃されようが、まったくスカートが翻らない。
こちらのガードも鉄壁だ。

だが、追われているホームレスを、末っ子が監視カメラで発見する。善意からセキュリティを解除して、迎え入れてしまった。

そのせいで、主人公は家中を武装した富裕層らに囲まれる。
彼らは言う、「ホームレスをこちらに差し出せば見逃す」と。

パージの目的は、富裕層によって貧困層を社会から追放パージすることだった。

電力の供給を断たれ、ホームレスも見失った。
パージを乗り切るため、消えたホームレスを追う。
こうして、家中を舞台に命がけの鬼ごっこが始まった。

「人が暴力を認可されたらどうなるか」といった狂気。
追われる者となったことで芽生える倫理観。
それらが映画で浮き彫りになる。

敵ボスも魅力的で、自分たちはあくまでも「パージがしたいだけ」というルールの下で動いていると主張する。
よって、ルールから外れようとすれば味方だろうが殺害する。
殺す相手にも敬意を払う。

こういったブレなさも、この映画の世界観を表現している。

あと、主人公がイーサン・ホークなだけあってクッソ強い。

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