新しい嫁探し?バツイチお父さんは娘の為に霊界で伝説になる。

ふなむし

大人だから辛口が食えると思うな


「人参だろ?玉ねぎもあるな、豆?鬼って豆大丈夫なのか?」


「何で鬼は豆がダメなんだ?全然大丈夫だぞ?」


「華凛が言うなら問題ないか、豆も入れよう。肉は猪で大丈夫だろ。野生の豚みたいなもんだしな」


康成と華凛は食料庫でカレーの材料になる食材を探していた。


「華凛、芋は無いか?」

「右の箱に無いか?備蓄は沢山あったはずだぜ?」 

「あったあった、サンキュー」


こんなもんで良いかな?

けっこうな量になったな。


「けっこうな量だけど持てるか?俺も半分なら一気に持てるけど、それ以上はさすがにこぼしちまう」

「まてよ」

華凛は残りの箱を難なく持ち上げる。

「全然問題ねーよ。残りは俺が持つぜ」


「よし!それじゃあ急いで作るぞ」



康成と華凛は広場に着くと村のママさん鬼が割烹着を着て10人程スタンバイしていた。


「甚平さんに頼まれてね。米は今炊いてるよ。後は何を手伝えばいいんだい?」


「ありがとうございます。それでは、野菜の皮むきからお願いします。剥いて一口大に切っていただいたら肉を炒めた後の大鍋で炒めます。」

康成が指示を出すとママさん達は二、三人づつに別れ野菜の下処理を始めた。


「華凛、肉の脂身の塊と切った肉を鍋に入れてくれ。俺は焦がさないように大ヘラで炒めるからさ」


「わかった。なぁ康成?」

「どうした?」

「肉、沢山入れても良いか?」


「しかたねーなぁ、多少多く入れても大丈夫だよ。多少だぞ?」


「へへっ、わかったよ。多少な」


そういうと華凛は追加で肉を切り、鍋に放り込んだ。



「なぁ、辛いのは平気か?カレーは辛口、甘口ってあるんだけどさ。皆辛いの食べれるのか?」

「食えるくらいなら大丈夫じゃねーか?俺は辛いのはあんまり得意じゃねーけどよ」


「意外だな。それなら半分は甘口にするか、甘口でも充分美味しいからな」


「楽しみだな!」

「野菜の準備できたよ!入れてもいいのかい?」

ママさん方が野菜の下処理を終え康成へ持ってきた。

「さっと炒めるだけなのでどんどん入れてもらって構いませんよ」


「あいよ」


どんどん放り込まれる野菜



ある程度火が通ると康成は鍋に水を入れ、煮込み作業に入った。


「後は沸騰したら暫く煮込みます。その間に食べる準備をしましょうか」


テーブルや皿の準備を終えると野菜にも火が通り一旦火を止めるとカレールーを入れ、ルーが溶けると再度火を着け最後の仕上げに入った。


「よし!これで完成だ!華凛、皆を呼んで来てくれるか?」



「じゅる……はっ!待ってろ!すぐに呼んで来るからな!俺が一番だぞ!」


「はいはい、頼んだよ。当然大盛りだよな?」


「もち!」


華凛が急ぎ声をかけてくれたお陰でちょうど昼時に間に合った。


皆が集まると甚平さんが一言、皆に話があると前に出て来た。


「まずは康成君、お昼ご飯の準備ありがとうございます。えー、皆さんも知っていると思いますが、この間の騒動の解決に一役買ってくれました。康成君です。人族ですが彼に違和感を感じた方も多くいると思います」


甚平さんは一呼吸置くと俺のことを紹介しながら俺が霊界ではなく現世から来ていること、肉体を持っているからこちらではほぼ最強なこと、甚平さんや華凛は現世の食材で一時的に肉体を得たこと


「なるほどっす!槍をねじまげたと聞いたら時は何の冗談かと思ったっすけど肉体持ちだったんすね」


集まっていた羽歌達も襲撃の際の康成達の動きを思い出したのか、納得の表情をしていた。


「まぁそういうことです。康成君は我々が敵意を持たなければ敵に回ることはないと思いますので安心してくださいね」


「人をなんだと思ってんだよ!まぁ、あれだ、皆とは仲良くしたいと思ってるんだ、最初に来た村だからな。今日は現世のカレーっていう食べ物を作ったから皆沢山食べてくれよな」


「皆さんそういうことです。せっかくですのでいただきましょう。現世の食材も少しですが入っています。普段より力が湧いて来ると思いますが気にせずに仕事に活かせると思って食べましょう」


甚平が挨拶を終えるとカレー鍋に列ができた。

「甘口と辛口があるから好きな方を選んでくれよ!沢山あるからおかわりもできるぞ!」


「皆!アニキが作ってくれたものっす。沢山食べるっすよ!」


俺アニキになってんの?


「あー!本当は俺が一番だったのに!」 


皆の動きについて行けず華凛は一番を逃してしまった。


華凛がぶーたれていると康成が大皿のカレーを持ってきた。


「大丈夫だよ。華凛が一番って約束しただろ?」


「うわー!さすが康成だな!気が利くじゃねーかよ!」


「あー!アネキずるいっす!」


華凛はアネキなのか。


「うまうま、康成これはやべーな!何だこれ!?米に超合うじゃねーか!」


華凛が一心不乱にカレーを食べていると他からも


「辛いけどそれがいいな」

「はふっ!はふっ!、匙が止まらねーよ!」

「美味しいね。里では食べたことの無い食べ物だね?ここに来て良かったね」


様々な声が聞こえてきた。


「康成君、この間のラーメンも美味しかったですが、このカレーも凄く美味しいですね」

「本当よね、辛口だけど食べやすいわ、康成君ありがとう」

甚平さんと華夜さんも美味しく食べていただいているようだ。


すると華夜さんが


「康成君?このカレーの辛さはここまでしかないのかしら?もっと辛くてもきっと美味しいわ」


華夜さんまさかの辛党だったか……


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