新しい嫁探し?バツイチお父さんは娘の為に霊界で伝説になる。

ふなむし

パパは昔握力が52はあったんだよ







湯呑みをふぅふぅしながら康成は甚平の話に耳を傾けた。




「まず霊感ですが、当然私達もですが霊力の塊のような生き物です。肉体もありますが霊力の肉体ですので霊体と言いましょう。現世の肉体は本当の肉体と言えば良いか……霊界とはだいぶ違います」


「どう違うんだ?」




「簡単に説明しますと康成君の肉体のレベルを100とします。私達霊界のレベルは1もありません。凄く多くても2~3くらいだと思ってください
逆に私達の霊力を100とすると前の康成君は1くらいです。」




「前の?ってことは、やっぱりこっちに来たのが理由か?」


「それもありますが、こちらの空気を吸ってもせいぜい5~10です。おそらくこの間食べたおにぎりが理由ではないでしょうか?今は40~50という所でしょうかね?」




「霊力ってそんなに簡単に上がるんだな」




「霊体の身体を作る栄養源ですからね。現世で霊力を得るには生まれつきの才能か霊力の多い場所で暮らすしかないのではないでしょうか?」




生まれつき霊感があるやつとか
寺生まれとか宗教施設は霊力が集まりやすいイメージだな




「霊力の塊をもともと少ない康成君が食べたから一気に上がったのではないでしょうか?あくまで想像ですがあまり間違ってはないと思います」




「俺らはだいたいどのくらいで見えたりするんだろ?」




「多分ですが少し見えたり感じたりで3~5、はっきり見えたりするなら10、こちらからも、あちらからも干渉できるのは30は必要になると思います。」




「霊が俺の回りを叩いたりするのはどういう理屈なんだ?」


「康成君の霊力が回りに少し漏れて干渉しやすかったのではないでしょうか?」


「霊体だけじゃ肉体に干渉できないが肉体持ちが霊力を持てば霊体も肉体へ干渉できるのか」


「まぁそんなところですかね」




「最初に俺がこっちに来た時、甚平さんたちに干渉できてるのは何でなんだ?」


「あちらの幽霊と言われるモノは肉体を失った、いわば残留思念です。霊力で言えば1~10くらいでしょう。この1~10は私達を基準にしています。私達みたいな霊界の住人は生まれたての子供を除けば全員90以上だと思ってください。先ほどの説明のように私達の周りにも霊力は漏れています。
その影響もあり康成君にも見えているのだと思います」






「それじゃあ今の俺は肉体持ちで霊力も常人より持ってるってことで大丈夫か?」


「はい。その通りです。ちなみにですが私と握手してくれませんか?」




甚平さんが俺に握手を求めてきたため以前のように握手をすると


「すみませんが力は入れないでくださいね、潰れたらいやなので」




なんでまたおっさんに手を握られなきゃいけねーんだか……




まだ華凛か華夜さんが良かった……


そんなことを考えていると
フンッ!




「うぉっ!?」


なんだ?この間より力が?




以前の甚平はいくら強く握っても触れられてるくらいしか感じなかったが、今は娘に握られてるくらいの力を感じる。






「ふぅ…ふぅ…やはり……」




「あっ……俺のラーメン……」


「はい…現世の物を食べることができたので一時的ですが現世の肉体を得ることができました。」




「それじゃあ華凛や華夜さんも?」


「恐らく、いつまでこの状態でいられるかはわかりませんが康成を除けば一時的に霊界でもトップの力を持つ家族になってしまいましたね」




「なんともまぁ……」








「そして康成君は現世で一番霊に強い人間ということですよ」








「あんれまぁ……」






「肉体持ちが霊界で強い理由は私達の世界は現世の一つ下の世界でランクが下だと思ってください」




「俺らの世界では良い行いを積んで肉体を失うと次元が変わって一つ上の世界に逝けるという説がある。身体を失って魂が解放されると逝けるんだと。それが現世で生きて徳を積む理由だとさ」




「まったく……皮肉ですね……むしろ下がってるのに……持っていた身体を失うのですよ?脚が無くなれば歩けなくなる。手を失えば物を持てなくなる。そのままですよ。世界は思いの外、単純に出来ているのですよ。」




「そう言われればそんな気もしてきたな」




「康成君も、もし家族が亡くなってしまったら次元があがって良かったねと」


「当然そんな考えは却下だ。」


「それでも、次元が変わると言うのは面白い考えですね。もしかしたら本当に次元をあげると肉体や霊体がいらない世界もあるのかもしれないですね。
いやっ、逆に肉体と霊体以外に違う何かを持つと上の世界とやらに上がれるのかもしれませんね」






長々と話していると華夜がお茶のおかわりを持ってきた。




「華夜さんありがとうございます。今日はそんなに動いて大丈夫なのですか?」




「それがね!さっきから凄く体調が良いのよ。鬼ラーメンのおかげかしらね?」




ふふふっと機嫌良くお茶を置くと華夜は台所へ戻っていった。




「もしかしたら本当に華夜さんはラーメンで体調が良くなったのかもしれません。昔から体力がなく低い子でしたから、一時的ですが肉体得たことで元気になったのかもしれません。」




「甚平さんと華夜さんは昔から一緒なんすか?」




「そうですよ。あまり大きくない村ですからね。華夜さんは体力も無いですし外で遊ぶのが難しかったので私が遊び相手でいつも家の中でおままごとや裁縫をしていました」




そういえば甚平さんが華凛の割烹着縫ったって言ってたな。




「私も周りの同世代から、なよなよして女の子みたいと言われて良くからかわれてましたよ。悔しくて十五歳くらいから身長も延び始めたので、筋肉の鍛練を始めてからは少しですが筋肉もつきましたし」






少し……?




ちょっと何言ってるかわかりません……





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