【冒険者組合 七つの大罪】
1章7話
「──遅いよテリオン。もっと早く走れるだろう?」
「【制限だらけの英雄】は途中途中でインターバルが必要なんだよ! つーか──」
屋根の上を駆け回るテリオンが、背中に乗る女性に文句を叫んだ。
「なんでソフィアを俺が運ばなきゃいけねぇんだよ! ガルドルが背負ってくれよ!」
「【制限だらけの英雄】を使っている今、テリオンはボクより力がある。それに……ボクはスピードに特化したワーウルフ種。みんなが思ってるほど筋力はないのさ」
「完全に足手まといじゃねぇか……やっぱ俺とガルドルだけで来るべきだったか……?」
「聞こえてるよテリオンく~ん。まったく~。若い女の子を背負えるんだから、もう少し喜んで欲しいな~?」
ソフィアは18歳の少女だ。
明るい性格や可愛らしい外見と相まって、この国の中ではかなり有名な冒険者である。
そんな彼女を背負って、嫌に感じる者なんてほとんどいないだろう。
テリオンもその内の一人。
別にソフィアを背負うのは嫌じゃない。だが、照れているとも思われたくない。
背中に乗る軽い感覚に若干赤面しながら……照れ隠しするように、言ってしまった。
「……女の子と思われたいなら、もう少し体を女の子っぽくしてから言えよ……」
「──へぇ~……女の子に、そんな事言うんだ~?」
──シュルッと、テリオンの首に細い腕が巻き付いた。
「──?! ちょ、ちょっと待てソフィア! 今のは違うんだ!」
「おっ? 女の子の胸をバカにして、何が違うって言うのかな~? おっ? 言っとくけど、今の体勢だったらあたしの方が有利なんだからね~?」
──ソフィアに胸の話をすると怒る。
気づかぬ内にソフィアの逆鱗に触れたテリオンが、慌てたように否定の言葉を口にするが──問答無用とばかりに、ソフィアがテリオンの首を絞める。
「二人とも、遊ぶのはそこまでにしておこうか。そろそろ着くよ」
「遊んでねぇけど……まあいいや。おいソフィア、首絞めるのやめろ」
ペシペシと腕を叩き、ソフィアに絞め技を外せと伝える。
背中からソフィアが降りたのを確認し、テリオンは屋根の上から地面へ飛び降り──
「──う、わ……マジかよ……」
「うん……ボクも今朝見た時は、驚いたよ」
──ボロボロになった建物を見て、固まった。
『黒の出会い』の店は、もう原形を留めていない。看板は地面に落下しており、窓ガラスや扉が粉々に粉砕されている。
「これが……【冒険者組合】のする事なのかよ……?!」
「違法な取引をしている【冒険者組合】もあるし、『冒険者機関』の警告を聞かない【冒険者組合】だってある……人々のために戦うのが【冒険者組合】と思ってるなら、その考えは捨てた方がいいよ~」
テリオンの隣に着地するソフィアが、眉を寄せて忠告とも取れる言葉を放った。
──そうだ。忘れてはならない。
冒険者とは、富と名声と欲求を求める者。
【冒険者組合】とは、そんな冒険者が集まり、組織となった所。
当然、己の目的のために動くのが普通だ。
「──来た……の、か」
「あ……」
ボロボロになった店から、傷だらけの男が出てきた。
応急手当はガルドルがしたようだが──その場しのぎにしかならない。
本格的な治療をしないと──
「『ライト・ヒール』」
ソフィアの小さな唇が魔法名を詠唱した──瞬間、男の体が淡い光に包まれる。
みるみる内に傷が塞がり──男の体から、傷がなくなった。
「……失った血は治せないから、無理したらダメだよ~?」
ソフィアの『回復魔法』だ。
【七つの大罪】唯一の回復役は、こういう時は本当に役に立つ。
「それで……【冒険者組合】に襲われたと聞きましたが、被害は?」
「あはっ。テリオンくんの敬語ってなんか面白いね~」
「ちょっと黙ってろ。な?」
いつも通りへらへらとした先輩に鋭い言葉を飛ばし、テリオンは男の前にしゃがみ込んだ。
「それで……何が起こったのか、詳しく聞いても?」
「……【冒険者組合】にやられた。どこの奴らか、今探してる所だ」
悔しそうに拳を握る男──と、その手をテリオンが力強く握った。
「後の事は、俺に──俺たち【七つの大罪】に任せてください」
「……【七つの大罪】……?」
「その代わりと言ったら何ですけど──襲撃してきた冒険者を捕まえたら、あのフォクシー種の『獣人族』を、俺に売ってくれませんか?」
「……いいだろう。ただし、捕まえたらな」
ガルドルと顔を見合わせ、頷き合う。
「それじゃあ、【欲深き狼】の組合施設を探すために『冒険者機関』に行こう」
「ああ!」
「そうだね~」
────────────────────
「……ここが【欲深き狼】の組合施設……」
第五区画と第六区画の間──そこに、ボロボロの建物があった。
『冒険者機関』に【欲深き狼】の組合施設を聞いたテリオンたちは──その足で、【欲深き狼】の組合施設にやって来た。
「『地霊族』が多く暮らす第五区画と『妖精族』が多く暮らす第六区画の間か……」
「この【冒険者組合】の組合長は『地霊族』だってさ。と言っても……【欲深き狼】には多くの支部があるって話だ。ここにはいない可能性もあるよ」
「だったら……この組合施設にいなかったら、どうする?」
「そこは何とも言えないね……とりあえず、フォクシー種の『獣人族』が来てないか聞いてみよう」
テリオンとガルドルが【欲深き狼】の入口に立つ組合員に話し掛けようと──して、ソフィアが慌てて止めた。
「ま、待ってよ~。他の【冒険者組合】に、自分たちの情報を簡単に渡すと思ってるの~?」
「それは……」
「あいつらにとって、フォクシー種の女の子を売るのは【冒険者組合】としての活動なんだよ~? まして、フォクシー種の『獣人族』は珍しいんだから、そう簡単には情報を渡さないと思うよ~」
「でも……情報を聞き出す以外、【欲深き狼】の支部を見つける方法が──」
早口で話すテリオンの肩に、ポンとソフィアが手を置いた。
「お喋りならあたしに任せて~。多分、このために組合長はあたしに付いて行けって言ったんだと思うし~。テリオンくんとガルドルくんは、どこか見えない所に隠れてて~」
言いながら、ソフィアがクルリと身を返し──【欲深き狼】の組合施設前にいる組合員に近づいた。
──情報収集はソフィアの得意分野だ。テリオンたちの出る幕はないだろう。
ソフィアに言われた通り、テリオンとガルドルは物陰に隠れてソフィアの様子を見守る事にした。
「ね~、お兄さ~ん」
「ん……なんだ──」
「【魅了】」
「ぉ…………お……?」
ソフィアが何かを呟いた──瞬間、組合員の瞳がソフィアに釘付けになる。
「えっとね~、色々と聞きたい事があるんだけど~……良いかな~?」
「あ、ああ。もちろんだ」
──【魅了】。
自分の事を『可愛い』と思った異性を虜にする【技能】である。
逆に、【技能】使用者の事を『可愛い』と思わなければ発動しない【技能】だが──ソフィアの外見は、間違いなくこの国でトップクラスに可愛い。
【七つの大罪】の組合員であるテリオンやガルドル、ディアボロは【魅了】に耐性があるが──知らない者がソフィアと対面すれば、間違いなく魅了されてしまう初見殺しの【技能】である。
「ここにフォクシー種の『獣人族』っているの~?」
「……いや、ここにはいない」
「え~。じゃあ、どこにいるの~?」
「そ、それは……」
組合員の肩に馴れ馴れしく手を回し、ソフィアが人懐っこい笑みを浮かべる。
「ね、教えてよ~?」
「う、むぅ…………仕方がない。他の人には内緒だぞ?」
そう言うと、組合員の男がソフィアに何かを耳打ちした。
……あれで処女だというのだから、驚きである。
「──へ~、そうだったんだ~……ありがとね~」
「ああ……その……良ければ、今日食事に行かないか?」
「う~ん……今日は予定あるから、また今度ね~」
ヒラヒラと手を振り、ソフィアがその場を後にする。
そのまま真っ直ぐに来た道を引き返し──テリオンとガルドルの隠れていた物陰に入った。
「やっほ~。聞いてきたよ~」
「どうだった?」
「組合施設にはいないってさ~。なんか、第八区画にある支部にいるらしいよ~」
「第八区画……『竜人族』が多い区画か」
「うん。どうするの~? 今から向かうの~?」
ソフィアの言葉に、テリオンとガルドルが何かを考えるように眉を寄せた。
現在の時刻は──およそ昼過ぎ。
今から【欲深き狼】の支部に行って、無理矢理フォクシー種の少女を取り返したとしたら──人を巻き込む可能性もあるし、何より目立ってしまう。
『──三人、とも…………聞こえる……?』
「ん……? リリアナか。どうした?」
『組合長、から…………何か、情報は……掴めたか、って……』
「ああ。一応、どこにフォクシー種の『獣人族』がいるかの情報は掴んだ。いつ頃に行くか考えてる所だ」
『そう……ちょっと、待ってて……』
少しの間、リリアナとの念波が途切れ──またすぐにリリアナの声が聞こえた。
『組合長が…………行くなら、夜にしろって……』
「そうか……」
『夜までに、組合長が……『冒険者機関』に、【欲深き狼】の……悪事を、伝えておくって……』
「……って事は、つまり?」
『『冒険者機関』の、許可が……あれば……わたしたちの、行為は……合法に、なる……』
「なるほど……今から【欲深き狼】を襲撃したら、後々『冒険者機関』から処罰が下るって事だね」
ガルドルの説明に、テリオンが納得したように頷く。
「それじゃ……夜まで待機だね。何か食べに行こう。ボクが奢ってあげるよ」
「マジで?!」
「お~。ガルドルくん男前~」
優しい先輩の申し出に、テリオンたちは昼御飯を食べに近くの食店へ向かった。
「【制限だらけの英雄】は途中途中でインターバルが必要なんだよ! つーか──」
屋根の上を駆け回るテリオンが、背中に乗る女性に文句を叫んだ。
「なんでソフィアを俺が運ばなきゃいけねぇんだよ! ガルドルが背負ってくれよ!」
「【制限だらけの英雄】を使っている今、テリオンはボクより力がある。それに……ボクはスピードに特化したワーウルフ種。みんなが思ってるほど筋力はないのさ」
「完全に足手まといじゃねぇか……やっぱ俺とガルドルだけで来るべきだったか……?」
「聞こえてるよテリオンく~ん。まったく~。若い女の子を背負えるんだから、もう少し喜んで欲しいな~?」
ソフィアは18歳の少女だ。
明るい性格や可愛らしい外見と相まって、この国の中ではかなり有名な冒険者である。
そんな彼女を背負って、嫌に感じる者なんてほとんどいないだろう。
テリオンもその内の一人。
別にソフィアを背負うのは嫌じゃない。だが、照れているとも思われたくない。
背中に乗る軽い感覚に若干赤面しながら……照れ隠しするように、言ってしまった。
「……女の子と思われたいなら、もう少し体を女の子っぽくしてから言えよ……」
「──へぇ~……女の子に、そんな事言うんだ~?」
──シュルッと、テリオンの首に細い腕が巻き付いた。
「──?! ちょ、ちょっと待てソフィア! 今のは違うんだ!」
「おっ? 女の子の胸をバカにして、何が違うって言うのかな~? おっ? 言っとくけど、今の体勢だったらあたしの方が有利なんだからね~?」
──ソフィアに胸の話をすると怒る。
気づかぬ内にソフィアの逆鱗に触れたテリオンが、慌てたように否定の言葉を口にするが──問答無用とばかりに、ソフィアがテリオンの首を絞める。
「二人とも、遊ぶのはそこまでにしておこうか。そろそろ着くよ」
「遊んでねぇけど……まあいいや。おいソフィア、首絞めるのやめろ」
ペシペシと腕を叩き、ソフィアに絞め技を外せと伝える。
背中からソフィアが降りたのを確認し、テリオンは屋根の上から地面へ飛び降り──
「──う、わ……マジかよ……」
「うん……ボクも今朝見た時は、驚いたよ」
──ボロボロになった建物を見て、固まった。
『黒の出会い』の店は、もう原形を留めていない。看板は地面に落下しており、窓ガラスや扉が粉々に粉砕されている。
「これが……【冒険者組合】のする事なのかよ……?!」
「違法な取引をしている【冒険者組合】もあるし、『冒険者機関』の警告を聞かない【冒険者組合】だってある……人々のために戦うのが【冒険者組合】と思ってるなら、その考えは捨てた方がいいよ~」
テリオンの隣に着地するソフィアが、眉を寄せて忠告とも取れる言葉を放った。
──そうだ。忘れてはならない。
冒険者とは、富と名声と欲求を求める者。
【冒険者組合】とは、そんな冒険者が集まり、組織となった所。
当然、己の目的のために動くのが普通だ。
「──来た……の、か」
「あ……」
ボロボロになった店から、傷だらけの男が出てきた。
応急手当はガルドルがしたようだが──その場しのぎにしかならない。
本格的な治療をしないと──
「『ライト・ヒール』」
ソフィアの小さな唇が魔法名を詠唱した──瞬間、男の体が淡い光に包まれる。
みるみる内に傷が塞がり──男の体から、傷がなくなった。
「……失った血は治せないから、無理したらダメだよ~?」
ソフィアの『回復魔法』だ。
【七つの大罪】唯一の回復役は、こういう時は本当に役に立つ。
「それで……【冒険者組合】に襲われたと聞きましたが、被害は?」
「あはっ。テリオンくんの敬語ってなんか面白いね~」
「ちょっと黙ってろ。な?」
いつも通りへらへらとした先輩に鋭い言葉を飛ばし、テリオンは男の前にしゃがみ込んだ。
「それで……何が起こったのか、詳しく聞いても?」
「……【冒険者組合】にやられた。どこの奴らか、今探してる所だ」
悔しそうに拳を握る男──と、その手をテリオンが力強く握った。
「後の事は、俺に──俺たち【七つの大罪】に任せてください」
「……【七つの大罪】……?」
「その代わりと言ったら何ですけど──襲撃してきた冒険者を捕まえたら、あのフォクシー種の『獣人族』を、俺に売ってくれませんか?」
「……いいだろう。ただし、捕まえたらな」
ガルドルと顔を見合わせ、頷き合う。
「それじゃあ、【欲深き狼】の組合施設を探すために『冒険者機関』に行こう」
「ああ!」
「そうだね~」
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「……ここが【欲深き狼】の組合施設……」
第五区画と第六区画の間──そこに、ボロボロの建物があった。
『冒険者機関』に【欲深き狼】の組合施設を聞いたテリオンたちは──その足で、【欲深き狼】の組合施設にやって来た。
「『地霊族』が多く暮らす第五区画と『妖精族』が多く暮らす第六区画の間か……」
「この【冒険者組合】の組合長は『地霊族』だってさ。と言っても……【欲深き狼】には多くの支部があるって話だ。ここにはいない可能性もあるよ」
「だったら……この組合施設にいなかったら、どうする?」
「そこは何とも言えないね……とりあえず、フォクシー種の『獣人族』が来てないか聞いてみよう」
テリオンとガルドルが【欲深き狼】の入口に立つ組合員に話し掛けようと──して、ソフィアが慌てて止めた。
「ま、待ってよ~。他の【冒険者組合】に、自分たちの情報を簡単に渡すと思ってるの~?」
「それは……」
「あいつらにとって、フォクシー種の女の子を売るのは【冒険者組合】としての活動なんだよ~? まして、フォクシー種の『獣人族』は珍しいんだから、そう簡単には情報を渡さないと思うよ~」
「でも……情報を聞き出す以外、【欲深き狼】の支部を見つける方法が──」
早口で話すテリオンの肩に、ポンとソフィアが手を置いた。
「お喋りならあたしに任せて~。多分、このために組合長はあたしに付いて行けって言ったんだと思うし~。テリオンくんとガルドルくんは、どこか見えない所に隠れてて~」
言いながら、ソフィアがクルリと身を返し──【欲深き狼】の組合施設前にいる組合員に近づいた。
──情報収集はソフィアの得意分野だ。テリオンたちの出る幕はないだろう。
ソフィアに言われた通り、テリオンとガルドルは物陰に隠れてソフィアの様子を見守る事にした。
「ね~、お兄さ~ん」
「ん……なんだ──」
「【魅了】」
「ぉ…………お……?」
ソフィアが何かを呟いた──瞬間、組合員の瞳がソフィアに釘付けになる。
「えっとね~、色々と聞きたい事があるんだけど~……良いかな~?」
「あ、ああ。もちろんだ」
──【魅了】。
自分の事を『可愛い』と思った異性を虜にする【技能】である。
逆に、【技能】使用者の事を『可愛い』と思わなければ発動しない【技能】だが──ソフィアの外見は、間違いなくこの国でトップクラスに可愛い。
【七つの大罪】の組合員であるテリオンやガルドル、ディアボロは【魅了】に耐性があるが──知らない者がソフィアと対面すれば、間違いなく魅了されてしまう初見殺しの【技能】である。
「ここにフォクシー種の『獣人族』っているの~?」
「……いや、ここにはいない」
「え~。じゃあ、どこにいるの~?」
「そ、それは……」
組合員の肩に馴れ馴れしく手を回し、ソフィアが人懐っこい笑みを浮かべる。
「ね、教えてよ~?」
「う、むぅ…………仕方がない。他の人には内緒だぞ?」
そう言うと、組合員の男がソフィアに何かを耳打ちした。
……あれで処女だというのだから、驚きである。
「──へ~、そうだったんだ~……ありがとね~」
「ああ……その……良ければ、今日食事に行かないか?」
「う~ん……今日は予定あるから、また今度ね~」
ヒラヒラと手を振り、ソフィアがその場を後にする。
そのまま真っ直ぐに来た道を引き返し──テリオンとガルドルの隠れていた物陰に入った。
「やっほ~。聞いてきたよ~」
「どうだった?」
「組合施設にはいないってさ~。なんか、第八区画にある支部にいるらしいよ~」
「第八区画……『竜人族』が多い区画か」
「うん。どうするの~? 今から向かうの~?」
ソフィアの言葉に、テリオンとガルドルが何かを考えるように眉を寄せた。
現在の時刻は──およそ昼過ぎ。
今から【欲深き狼】の支部に行って、無理矢理フォクシー種の少女を取り返したとしたら──人を巻き込む可能性もあるし、何より目立ってしまう。
『──三人、とも…………聞こえる……?』
「ん……? リリアナか。どうした?」
『組合長、から…………何か、情報は……掴めたか、って……』
「ああ。一応、どこにフォクシー種の『獣人族』がいるかの情報は掴んだ。いつ頃に行くか考えてる所だ」
『そう……ちょっと、待ってて……』
少しの間、リリアナとの念波が途切れ──またすぐにリリアナの声が聞こえた。
『組合長が…………行くなら、夜にしろって……』
「そうか……」
『夜までに、組合長が……『冒険者機関』に、【欲深き狼】の……悪事を、伝えておくって……』
「……って事は、つまり?」
『『冒険者機関』の、許可が……あれば……わたしたちの、行為は……合法に、なる……』
「なるほど……今から【欲深き狼】を襲撃したら、後々『冒険者機関』から処罰が下るって事だね」
ガルドルの説明に、テリオンが納得したように頷く。
「それじゃ……夜まで待機だね。何か食べに行こう。ボクが奢ってあげるよ」
「マジで?!」
「お~。ガルドルくん男前~」
優しい先輩の申し出に、テリオンたちは昼御飯を食べに近くの食店へ向かった。
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