チートスキル『死者蘇生』が覚醒して、いにしえの魔王軍を復活させてしまいました〜誰も死なせない最強ヒーラー〜

ノベルバユーザー364546

売られた喧嘩?

「――へぇ。じゃあ、エルフと竜人とは、もう仲良くなれたんだ」

「そうだよ。特に竜人なんて、不自然なくらいに感謝されちゃってさ」

「竜人と仲良くなれるとは、流石のボクでも予想できなかったなー。リヒトが何をしたのか、気になって夜も眠れないよ」

 定期的な死霊確認の最中――ドロシーとリヒトは、他愛のない世間話で盛り上がっていた。

 様々な種族がいるこのディストピアで、人間という共通点から共に行動する機会が多くなっているらしい。
 人間特有の悩みなども共有できる、リヒトにとって親友とも呼べる存在だ。

「でも、最近の魔王様は外の世界に熱心みたいだね。もしかして、世界を支配しようとしてるのかな?」

「……分からないけど、百年前に痛い目を見たらしいから、その教訓が生かされてるのかもな」

 世間話の続きとも言える流れで、ドロシーは最近のアリアを話題に出した。
 エルフや竜人という例があるように、今のアリアは他種族を受け入れる傾向にある。

 どっちにしろ命令に逆らうつもりは無いため、無駄な考察となるのは確実だが、それでも気になってしまうというのが人間の性だ。
 話は少しずつヒートアップしていく。

「百年前……そういえば、そんな話があったね。それについて聞くのはタブーだったっけ?」

「ああ。この前聞こうとしたら、怒って部屋に閉じこもられたよ」

「やっぱり何かあったんだろうね……」

「戦力を増やそうとしているのも、本当にその影響かもしれないな。力で支配するようなことはしていないし」

「うーん……」

 人間二人による何の根拠もない考察は、自分たちでもどこへ向かっているのか分からなくなり始める。
 実際、本人たちも本気で解明しようとしているわけではなく、一つの暇潰しとして楽しんでいるだけだった。

「戦力で考えたら、まだ人間の国には勝てないのかな。総力をぶつけられたら、数の差で押し切られそうだし。まあ、今の人間界のことはあまり知らないんだけどね」

「これは噂でしかないんだけど、国王が何かを隠し持ってるって話を聞いたことがあるな」

「何かって、武器とかモンスターとか?」

 現在のディストピアと人間界を比べると、どうしても人間界の方に軍配が上がってしまう。
 個人の強さは圧倒的だとしても、それが潰されてしまうほど数的不利だ。

 群がるアリのような強さを、人間たちは持っていた。

「それが分からないから怖いんだ。一応アリアに報告しておいたから、何か対策は考えてくれていると思う」

「調査でも出来たらいいんだけどね。リヒトは顔が割れてるし、ボクが行っても厳しそうだ」


「あ、リヒトさんにドロシーさん。こんにちはー」

 ちょうど議論が煮詰まってきた頃。
 何やら急いでいる様子のロゼが、コウモリと共に現れる。

「あれ? 魔王様から招集がかかっていますけど、急がなくて大丈夫なんですか?」

「え!? もうそんな時間なのか!?」

「何だか大変みたいですよ。東の方にいる別の魔王に喧嘩を売られたんだとか」

「……ちょっと話し過ぎたみたいだね。急ごう、リヒト」

 リヒトたちが適当な話をしている間に、戦いの次元はさらに大きくなっていたらしい。
 詳細を聞くために、三人は急いでアリアの元へ向かうことになった。

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