チートスキル『死者蘇生』が覚醒して、いにしえの魔王軍を復活させてしまいました〜誰も死なせない最強ヒーラー〜

ノベルバユーザー364546

地下ダンジョン?

「おい、アレン。この方向で合ってるんだろうな?」

「当たり前だろ。ギルドからの情報だ。信憑性は高い」

「ちょっと遠くない? この馬が遅いだけ?」

 ダンジョン調査に向かうアレンたちは、馬車に揺られて目的地へと向かっていた。
 結局ヒーラーは妥協した者を選ぶことになり、今は馬車を運転させている。

 少しだけパーティーに不安があったが、たかがダンジョンの調査と割り切るしかない。

「何か他に情報は無いのか? ただ大きな魔力反応があったってだけじゃあ、何の対策もできねぇぞ」

 魔術師であるジョゼは、眠そうなアレンに話しかける。
 これから戦いだというのに、何も考えていなさそうなアレンとシズクに嫌気がさしていた。

「落ち着けよ、ジョゼ。今更対策するとしても、何ができるって言うんだよ」

「そうだよー。変に頭を使うってのも嫌だー」

「お前ら……どうなっても知らんぞ?」

 ジョゼは呆れたようにため息をつく。
 確かにアレンとシズクは強い。その戦闘能力は、同じSランク冒険者のジョゼでも動かせないほどだった。

 しかし、このまま注意をせずに見過ごしてもよいのだろうか。
 今回は回復職を連れて行っているということもあり、いつもより戦いづらくなっているはずだ。

 これまでに、油断をしたことで命を落とした冒険者を何人も見てきている。
 そのことを考えると、この二人の態度に憤りさえ感じた。

「ねぇ、調査が終わったらどうするー? 50万ゴールドだったよね? ちゃんと配分考えとかないと」

「普通に四人で分ければいいだろ。どうなんだ? アレン」

「いや、俺たちとヒーラーが同じ配分ってのはおかしいんじゃないか? 明らかに労働量が見合ってないのに、納得できるか? シズク?」

「納得できなーい」

 そんな話をしながら。
 四人は、問題のダンジョンに近付いていた。


**************


「……これって、地下に繋がってるんじゃない? 面倒くさそう……」

「アレン、逃走用のアイテムは持ってきてるか? 何だか危険な臭いがする。リヒトがいないから、あの時のように死ぬことはできんぞ」

「あぁ、持ってきている。ピンチになったら使うから、把握しておいてくれ。じゃあ行くぞ――ヒーラー、着いてこいよ」

「は、はい……」

 ダンジョンに辿り着いた三人は、これまでとは違う空気をハッキリと感じていた。
 馬車ではヘラヘラしていたシズクの顔も、何かを感じ取ったかのように真面目になっている。

 この場でいつもと変わらないのは、たまたま連れて来たヒーラーだけだ。

「……この空気は悪魔――いや、死霊か。アレン! このダンジョンに住み着いているのは、恐らくリッチのようなアンデッドだ!」

「アンデッドだと? クソ、ギリギリだな。あっちにはスタミナがある分、長期戦は俺たちが不利だ。早期決着の作戦でいくぞ」

「りょーかい。ササッと終わらせちゃお」

 一通りの作戦を立てて。
 アレンたちは、ダンジョンへと足を踏み入れた。

 その瞬間に、ダンジョンの中の空気が変わったことは言うまでもない。

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