チートスキル『死者蘇生』が覚醒して、いにしえの魔王軍を復活させてしまいました〜誰も死なせない最強ヒーラー〜

ノベルバユーザー364546

ロゼの負担

「こんにちはー……」

「……? ここは第一領域ですよ? 何か問題でも起こったのでしょうか?」

 一応問題は起こってます――と言いたかったが、そうしてしまうと混乱を招いてしまいそうなので、リヒトは無駄な口を閉じておく。

(ロゼ……ヴァンパイアだから昼は眠ってるはずだけど――寝てないな。休む暇もなさそうだし、第一領域だから忙しいのかも)

 そこにいたのは、敵に備えて見回りをしているロゼであった。
 第一領域ということで、他の領域よりも重要性が高い。
 そのプレッシャーに耐えながら、ただでさえ広い領域の守護はかなり負担になっているだろう。

「今、このディストピアの人手不足を調査してるんだけど、思っている以上に深刻みたいで……」

「それはそれは……ご苦労様です。フェイリスとかも大変そうですしね。私なんか楽をしている方なので申し訳ないです……」

「え?」

 ロゼは予想外の答えを返す。
 リヒトが見てきた中で、ロゼは断トツで忙しそうな人物だった。
 寝る暇も惜しんで見回りをしている時点で、トップに躍り出てもおかしくないほどだ。

「えっと、ロゼはこの領域の他に何個担当してるんだ?」

「七個ですけど……」

「七個!?」

 リヒトは驚きを隠せない。
 間違いなく一番負担が大きいのはロゼである。
 しかし、ロゼはそれを認識していないようだ。
 真面目さと謙虚さが、悪い形で出てしまっていた。

「それは……何とかしないと」

「――で、でも、私はヴァンパイアなので気になさらなくても大丈夫ですよっ! 体力だって、人一倍ありますからっ!」

 ロゼは、屈託のない笑顔でリヒトに微笑みかける。
 この数回の会話で、ロゼの性格は何となく読み取れた。

 超が付くほどお人好しであるヴァンパイアに、このディストピアは支えられていると言っても過言ではない。

「まぁ、これ以上仕事を増やすってなると、厳しいんですけどね……えへへ」


(単純に人手が足りないなら、人手を増やすしかないな……でも、並の存在じゃ務まらなさそうだし)

「――そうだ!」

「ど、どうしたんですか……?」

 リヒトはとある存在を思い出す。


 ディストピアを更に強固にするためにも、人手を増やすのは必要不可欠だ。
 当然、一人一人集めるとしたら、かなり時間がかかってしまう作業である。

 しかし、そんな作業を嘲笑うかのような存在が一人だけいた。

 冒険者として生きていたなら、必ず知っているであろう存在。

 リヒトの頭の中にいたのは、伝説のネクロマンサーだった。

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