乙女ゲームの村人に転生した俺だけど悪役令嬢を救いたい

白濁壺&タンペンおでん

魚も鶏肉も禁止です

「よし、魚をとるぞ!」
 ビィティは朝食のために罠の獲物をとろうとするとベルりが驚く。

『え、あるじ何言ってんの? オレ魚なんだから、魚なんか食わないでくれよ』
 ベルリの言葉にビィティは短剣を構えてにじり寄る。
 魚食うなとか死ねって言うのかと言うような表情で。
 だがこの件だけは譲れないベルリは我慢をしてビィティと対峙する。
 その希薄にビィティは短剣を捨ててその場に座り込むと小石をベルリに投げて文句をいう。

「じゃあ、俺は何食えば良いんだよ。ヴィーガン完全草食主義なんて無理だぞ?」

『鳥食えるだろ? オレが捕まえてくるよ』

 そう言うとベルリは一気に空に駆け上がり見えなくなった。もうお前が鳥じゃんかとビィティは苦笑する。

 ベルリがいない間に魚焼いちゃおうと悪巧みをするが、さすがにそれは酷いかと思い直し罠の中の魚を逃がしてあげた。
 ただズタ袋の中には魚以外にも海老が大量に入っており竹の桶に移してベルリが帰ってくるのを待った。

 種火に薪を足して火を起こして待っているとベルリが自分の回りに水球を浮かばせて帰ってきた。
 水球の中には茶色の鳥が入っていて翼を広げ溺死していた。

「ビジュアル的に食べたくないんだが?」

『魚はよくて鳥はダメなのかよ』

 怒りぎみなベルリは水球をビィティに渡して食べろと催促する。
 魚の調理はできても鳥の調理となると、さすがに二の足を踏むのかビィティは渡された鳥を見てどうしようか思案していた。
 手の上で水球を動かしていると死んでると思われた鳥が水球の中で動いたのをビィティは見逃さず手を入れて救い出した。

 ”ぴぃ……”

 弱々しい声で鳴く鳥にビィティは一気に食欲がなくなり身体を拭いてやると焚き火の側で暖めてあげた。

『あるじぃ丸焼きにするのか?』

「するかバカ! 可愛そうで食えるかよ」

『魚は食うのに鳥は食えないとか差別だ! 断固、鳥を食べることを要求する!』
 ベルリはどこからか出したハチマキと横断幕を掲げビィティの前で抗議行動をする。

「うるせぇ、お前を丸焼きにするぞ!」

『そんなー』

 丸焼きにすると言われたベルリは恐怖のあまり焚き火に向かい口から水を放つ。
「なっ! おまえ何すんだ!」

『だって丸焼きだって……』

「冗談に決まってんだろ……」

『本当に? 本当に丸焼きにしないよな?』

「しないよ」

『絶対だよな?』

「あー、面倒くせぇな! おまえちょっとこっち来い」
 ビィティは鳥を片手に持ち、竹槍の箱を掴むとダンジョンへと向かう。ダンジョンに入ると入り口に箱を置きその中に瀕死の鳥を置いた。

「おまえが責任もって、この鳥のレベルをあげろ」
 この鳥を救うにはもう精霊化しかないとビィティは考える。精霊化すれば生物を越えた存在になり生き長らえるだろうと言う予想だ。

『え~、やだよそんなの』

「この鳥が死んだらおまえ丸焼きな」

『イエッサー! 速攻でレベルあげさせていただきます』
 ベルリはヒレで敬礼をすると鳥の上でクルクル旋回を開始する。
 魔物が四方八方から現れては竹槍に突き刺さり消滅していく。
 怖いくらいの魔物が現れては消え、現れては消えをする。この討伐速度ならすぐにレベル10になって精霊化するだろうとビィティは安堵した。
 特に側にいる必要もないのだが見てないとベルリは手を抜きそうな気がしたので、鳥の状態を見つつ監視をする。

 数時間後鳥の身体が淡く光る。

「おい、ベルリ一度止まれ」

『サー! イエッサー!』

「大丈夫か?」

『ご主人ちゃま、助けてくれてありがとうなのでちゅ』
 レベル10を越えて元気になった鳥はチュンチュンと頭を下げビィティにお礼をする。
 当然そのしぐさがかわいいと思ったビィティの心は鷲掴みである。

「よし契約しよう!」

『は!?』
『いいんでちゅ?』
 ビィティの言葉にベルリは驚き、鳥は喜ぶ。

「こちらからお願いしたいぐらいだ」

『ちょ、鳥なんか仲間にすんなよ! こいつら魚食うんだぜ?』

「いや、俺も食うけど?」
 お互いに首をかしげて、なに言ってるんだコイツ状態である。
 契約をすると鳥の体毛は緑になり所々虹色に輝き出す。どうやら精霊化した動物は虹色が差すのがデフォのようだ。

「綺麗だな」
『ちょ! あるじ、オレとあんまり変わんないだろ!』

「ん? 変わるだろ?」

『くそっ、おい鳥! おまえは二番だからな』

『……』

 ベルリの言葉を鳥は完全に無視をする。そればかりかそっぽすら向くのである。
 ベルリは魚脳なので忘れているが、鳥を殺しかけたのはベルリなのである。
 食べてなかった食事をとるため、一度ビィティ達はダンジョンの外へと出る。

「そう言えば名前はどうする?」
 肩に乗り頬に頭をスリスリとしている鳥に微笑みかけながら聞く。対応が違いすぎるとベルリは不貞腐れる。

『ご主人ちゃまに決めて欲しいでちゅ』

「目がくりんとしてるからクリンでどうだ?」

『あい、うれしいでちゅ』
 これでビィティは魚と鳥が食えなくなったとがっかりする。この世界では鳥と魚は主要なタンパク源であり、命の源なのだ。

「昆虫でも食うか……」
『任せて欲しいでちゅ』
 そう言うと大空高くクリンは飛んでいった。すぐに帰ってきたクリンの口には大型の昆虫が咥えられていた。

『ご主人ちゃま、どうぞでちゅ』

『くっくっくっ』
 ベルリが腹をヒレで抱え笑っている。当然あとで折檻だなとビィティは現実逃避をするが。”早く食べて早く食べて”と言う目をしているクリンには逆らえずビィティは巨大昆虫を涙目でバリバリと食べたのである。

 それでベルリの鬱憤は晴れたのか機嫌が一気に直った。

 だがビィティはクリンの前で冗談はやめようと思った13歳の夏である。

「さて口直しするか」

 そう言うとビィティはベルリを鷲掴みにして竹串を口から入れようとする。

『ごめんなさいごめんなさい! 笑ってすみませんでした! サーイエッサー!』

 ベルリは必死で敬礼を何度もして許しを乞う。すでに竹串は口内に入っており、銃口を口のなかに押し付けられたマフィアのようにブルブルと震え泣く。

「次は無いかんな!」
『サー! イエッサー!』

『どうしたでちゅ?』

『馬鹿おまえのせいだぞ、人間は昆虫を食わないんだよ!』
*個人の感想です。

『そうだったんでちゅか……ご主人ちゃまごめんなさいでちゅ』

「ああ、良いんだよクリンは悪くない。悪いのは全部ベルリだから」
『あるじぃぃぃぃぃ!』

「まあ、冗談だよ。ベルリはからかうと面白いからついついからかっちゃうんだ二人とも大事な仲間だよ」
『あるじぃぃいぃぃ!』

 泣きながら飛び込むベルリにとがった口先を顎にぶつけられビィティは仰け反る。

「お~ま~え~な~!」
『ひぃぃいぃ』

 朝食に取っておいた海老を焼いて食べ今後のことも考えてビィティは二体に食材を取ってくるように命じた。

 二体に色々な食材を持ってきたが、ほとんどが人間が食べるようなものじゃなくビィティが直接指示したものだけをとるようになった。

 魚を殺して海老をとる餌にして良いかとベルリに聞いたら人間を殺して魔物の餌にするのと同じだぜと言われたビィティはなるほどなと納得して魚を餌にするのをやめた。

 結局ビィティの食事はキノコや野草がメインでヴィーガン一直線なのは笑うしかない。

 ウサギとかネズミも取れまちゅよと言うクリンの言葉にこれ以上精霊を増やすなと若干ゲンナリするビィティであった。

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