もふもふ好きの異世界召喚士

海月結城

卒業

 バスアが終わり、俺たちは高等部3年になり、卒業式を行っていた。

「イサミ。大きくなったな」
「えぇ、ほんと、大きくなったわ」
「父様、母様」
「お兄様!!! 卒業、おめでとう!!」

 卒業式が終わり、家族と一緒にいる。俺をお兄様と呼ぶ「にへ〜」と笑っている可愛い女の子は俺の妹だ。モカは母様と同じ銀髪の綺麗な髪を腰辺りまで伸ばしている。

「モカ。ありがとうな」

 よしよしと、頭を撫でてやると嬉しそうに笑った。

「う〜。でも、お兄様と一緒の学園にはもう通えないんですよね」
「そうだなぁ。それに、俺はまた旅に出るからな。当分は会えないな」
「そう……ですよね」
「そうだ。モカ、これをやるよ」

 俺は魔力袋から、小さなぬいぐるみを取り出した。

「ほら、これをやるから。元気出すんだぞ」
「うわぁ!! お兄様の匂いがする!! あ〜、いい匂い」
「そ、そうか。それは良かった。それじゃ、母様父様、また」
「あぁ、行ってらっしゃい」
「風邪……引かないでね」
「うん。行ってきます」

 そして、俺は学園を後にした。
 ミルさん達は俺たちより一年早く卒業してそれぞれの道を歩んでいる。ミルさんは実家に戻って花嫁修行なるものを、メイさんとイヤさんは大商会の娘なので経営について、父などに教わっているらしい。
 レイドとリュメルだが、学園に通っている中でそれぞれ婚約したようで、卒業後はそれぞれの土地を経営する為に頑張っている。

「また、一人か」
「ご主人よ」
「どうしたの? クロ」
「いえ、寂しそうでしたので……」

 クロは猫の姿だ俺の足に頬を擦り付けてきている。

「ありがとう」
「それと……」
「なに?」
「ご主人はなんで旅に出るか覚えていますか?」
「え? えっと……なんだっけ?」
「だと思いましたよ。学園にいる中で何をするべきなのか忘れていましたね」
「あはは、ごめんごめん。それで、クロは覚えてるの?」
「当たり前です。立派な領主になる為に他の土地の経営の仕方などを学んでいるんでしょう」
「あー、そうだったね」
「と、言うわけで……ウミ、次の目的地を……」

 クロは、そう言って前足でウミを指差した。

「ゴホン。では、次の目的地を発表します。次は……エルフの森に向かいます」
「エルフの森?」
「はい。そこで、長く生きてる人のありがたい話などを聞くと良いですね」
「あはは、それは眠くなりそうだね」
「全く、お主は……立派な領主になるのでしょう? 魔法の知識も良いですけど、ちゃんと領主に欠かせない知識もちゃんと蓄えて下さいね」
「はーい」

 そして、俺たちはエルフの森に向けて出発した。

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