もふもふ好きの異世界召喚士

海月結城

痛い視線

 それから少しの間、無言の時間が2人の空間を支配した。

「……そ、それじゃあ、出よっか」
「う、うん」

 お店を出る時、僕はお金を取り出した。

「ここは、僕が払うよ」
「え? いや、良いよ。私のお店なんだから私が出すよ」
「だめ。僕が出す」
「え、でも……」

 僕が払うと言っても、リュメルは引かなかったが、そこで助け舟が来た。

「リュメル様。素直に奢られてください」
「え?」
「男の意地ってものですよ」
「??? 貴方が言うなら……」

 その人は、受付でお会計をしていた少し歳の行ったおじいさんだった。

「ありがとうございます」
「いえいえ、また来て下さいね」
「はい。必ず」

 お会計を済ませて、外に出るとリュメルが少し申し訳なさそうな顔で待っていた。

「なんで、そんな顔してるの?」
「いや、その、奢って貰うなんて初めてだから」
「そうなの?」
「うん。私、忙しいから、あまり友達も出来なくて……」
「そうなんだ。だったら、これからは学校でも一緒に居ようね」
「……うん。ありがとう」

 その後は、演劇を観たり、更に買い物をして、夕方の5時頃まで遊んだ。

「今日はありがとう。楽しかったよ!」
「うん。僕も楽しかった」
「久しぶりなんだ」
「? 何が?」
「こんなに、休みを堪能した事が、だよ」
「そうなの?」
「うん。私さ、いっつも学校遅れてたでしょ? だから、みんな私にあまり近づかないんだ。チンピラみたいだから。だから、今日は凄く楽しかった」

 そこまで言って、リュメルは少しの間黙って、言葉を続けた。

「……あのさ、学校でも私と話してくれる?」
「もちろん!」
「……これからも、私と遊んでくれる?」
「当たり前だよ!」
「……ふふ。ありがとう。それじゃ、また明日!!」

 そう言って、リュメルは帰ってしまった。

「さて、僕も帰ろうかな」

 次の日、寮を出ると、出入り口にリュメルとミルさん達が居た。

「え? 何? どうしたの?」
「イサミくんって本当に貴族だったんだね」

 言ってなかったが、僕は貴族と言うことで、あのお城と見間違える寮に住まわせてもらっている。

「「「「さ、行こっか」」」」
「・・・え?」

 僕は4人に手を引かれ、背中を押されて『両手に花』を超えた、『全身に花』の状態で学園に登校する事になってしまった。

 周りからの視線が痛い。
 ミルさん達は、いつの間にかリュメルと仲良くなり、笑顔で談笑している。その笑顔はとても可愛いく、登校している学生達が二度見するほどだった。

 4人が談笑すると、僕は1人はぶられて、真ん中に居るはずなのにぼっちだった。

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