もふもふ好きの異世界召喚士

海月結城

地獄と化した空間

 学園案内は滞りなく進んでいった。

「これで、食堂と修練場、本修練場とか大きい場所の案内は終わったね。後、何か教えてほしい場所とかある?」
「そうですね。うーん、図書館とかありますか?」
「あるよ」

 ミルさん達に図書館の場所を教えて貰っている最中、ウミが通信スキルで話しかけて来た。

(お主は本当に、本が好きなんだな)
(うん。この世界での数少ない娯楽だからね)
(そうだったな。あっちの世界は、娯楽が多過ぎるほどあるからな)
(そうなんだよ。娯楽を選ぶのでさえ疲れるよ)

 僕は、頭ではウミと会話しているので、ウミさん達の会話が上の空での会話になってしまっていた。

「イサミくん?」
「うん」
「ん? イサミくん!」
「え? あ、ご、ごめん」
「まったく、なにしてるのよ。せっかく、この4人でいるから楽しく話してたのに……」
「えっと、ごめんなさい」
(お主よ。私の事は無視してくれて良いぞ)
(ごめんね。ありがとう。夜になったらいっぱい撫でてあげるよ)
(うむ)
「それで、えっと、何の話だっけ?」
「はぁ、今回だけだからね」
「ありがとう」

 その後は、特に問題無く図書館に案内してもらった。

「ここが、図書館だよ」
「おお! 凄い本の数」
「でしょ? ここは、王立図書館に負けず劣らずの本の数なんだよ」
「へぇー」

 僕は、この学園にいる間にずっと図書館に通うのかなって、少しワクワクしていた。

「「私たちも、話に混ぜなさい!!」」
「うわっ!!」

 ミルさんと話していると、何故か起こった様子でメイさんとイヤさんが両腕に抱きついて来た。

「なっ!! ちょっ、ちょっと、な、なな、なにするんですか!?!?」
「「あー、照れてる〜〜」」
「て、照れますよ!!」
「な、メイ! イヤ! なにしてるの!?」
「なにって、見たらわかるでしょ?」
「そうだ、そうだ。分かるだろ」
「わ、分からないわよ!! 良いから、離れなさい!! イサミも、なにデレデレしてるの!!」

 いきなり地獄と化したその空間を遠くで、図書館の受付人が、悪魔のような顔で睨んで来ていた。
 僕は、その視線に気付き、背中がゾワワッとした。

「い、行きましょう!!」

 僕は、両手を抱き付かれていたが、それをスルッと抜けて歩き出した。

 や、やばかった。メイさんも、イヤさんも、その、胸が凄くて理性が崩壊するかと思った。

「「「あ、ちょっと待ってよ!!!」」」

 その後は、お昼までずっと4人で学園内を歩き回っていた。

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