もふもふ好きの異世界召喚士

海月結城

編入試験〜2〜

 修練場で何をするのか聞いてみたら、まだここは使わないと、言われた。

「こっちに来てくれる」

 リーリエ学園長の後ろを付いて行くと、控室のような場所に入っていった。

「まずは、君の適性を知らないとな」
「……適性……ですか」
「なんだ? 嫌なのか?」
「えぇ、まぁ」
「「大丈夫!! 一緒にこの学園に通うよ!!」」

 なんの根拠もないその励ましは、少し、僕の力になった。

「では、この水晶に魔力を少し込めてくれ。そしたら、隣の板に色々出てくるぞ」

 これは、実家にあった適性検査をする魔導具と同じだ。

「行きます」

 僕が魔力を流すと、隣の板に次々と文字が現れた。

ーーーーー
魔法適正
火:5/1
水:5/1
風:5/0
土:5/0
闇:5/0
光:5/0
回復:5/3

武術適正
−100
ーーーーー

 いつもの適性が現れた。

「これは、無理だぞ?」
「「「えぇ!!!」」」

 僕の適性を見た3人は、僕と適正の載っている板を交互に見る。

「ま、まぁ。でも、一応実技やってあげたら?」

 そう言ってくれたのは、ミルさんだった。

「そうだな。適性を見ただけで追い返すのも嫌だしな。よし、それじゃ修練場に戻るか」

 そして、修練場に戻ってきて早速試験が始まった。

「試験の内容は簡単だよ。あの先にある的を壊したら実技は満点だよ」
「分かりました」

 僕は、10メートル先にある的に向かって火の魔法を放つ。
 酸素をもっと入れる!!
 それが、的にあったが、的は燃える事がなかった。ただ、その熱は受けていたようで、的は真っ赤になっていた。
 僕は、それに向かって出来る限りの水魔法を放った。
 そして、的は粉々に砕け散った。

「で、出来た!!」

 素直に嬉しくて小躍りしてしまい、後ろを見てみると、いかにも目が飛び出しそうな4人が固まっていた。

「「「「あ、ありえない」」」」

 その的な本来なら壊れる事が無い材質で作られている。
 この学園が創立して約500年前からずっと使い続けてきた的でもある。

「これで、満点ですよね!?」
「……」
「あの、リーリエ学園長??」
「……え? あ、う、うん。……まさか……ここまでとは」
「何か言いました?」
「い、いや。なんでもない。もちろん合格だよ。さ、次は筆記だぞ」

 そして、前代未聞な事件はこの後、大きな尾びれに膨らんで、イサミの前に戻って来る。

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