もふもふ好きの異世界召喚士

海月結城

漁〜2〜

 僕たちは今、海の上に来ていた。

「さ、私たちはこっちでやってるから、イサミ君たちはそっちの方で楽しんでくれ」
「分かりました」

 出船前に魚の餌を貰っていたので、それを付けて糸を垂らす。

「クロ、何が釣れるかな?」
「さぁな。ここは、お前がいた所とは別の世界だ。環境も違えば魚の全てが違うだろうな」
「あ、そうか。じゃ、マグロとかは食べられないのか」
「そう、かもな」
「あー、サーモン食べたいよ!」
「鮭は川だと思うが……」
「あ、そうだっけ? それじゃ、普通に釣りを楽しもうか」

 それから、僕はまたしてもある事を忘れていたのだ。

「お? 来たか?」
「本当か!?」
「うん。ちょっと待ってね」

 竿に小さい振動が伝わってくる。魚が、餌を口で突いている。そして、一際大きい振動が伝わった瞬間に、グッと引き上げる。

「とりゃ!!」

 リールを巻いて行くと、30cmほどの魚が釣れた。

「おぉ! 釣れた!!」
「ご主人! 凄いぞ!!」

 そして、それから時間が経過した。

「なぁ、ご主人よ。釣れすぎじゃないか?」
「う、うん。僕もそう思う」

 釣りを始めてまだ30分。それなのに、釣れた魚は10匹を超えている。

「ちょっと、食べて良い魚が分からないから聞いてくるよ」
「うむ。いってらっしゃい」

 魚が入ったバケツを持って、ケダンさんの居る方に向かうと、今まさに魔法で魚を取っていた。

「ケダンさん」
「ん? あ、イサミ君か。どうした?」
「魚釣れたんですけど、食べられる魚が分からないのでちょっと見て欲しいんですよ」
「おう。分かった。ちょっと見せてくれ」

 バケツを渡すと、ケダンさんはその中を見て固まってしまった。

「なぁ、餌は何を使ったんだ?」
「え? 出航前にケダンさんから貰った餌を使いましたけど」
「まじかよ。なぁ、お前らこれ見てくれよ」

 後ろにいた仲間にバケツに入った魚を見せると、その人たちも驚いていた。

「これは驚いた。後ろで釣りをしている人が居るとは聞いていたが、ここまで凄い奴がいるとは思わなかったよ」
「そうだな。これは、凄いな」
「あ、あの。説明を求めます」
「あ、あぁ」

 そして、ケダンさんが話し始めた内容に僕は腰を抜かしてしまった。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品