もふもふ好きの異世界召喚士

海月結城

お別れ

祝50話!!


「本当に行くのか?」
「はい」
「そうか。寂しくなるな」

 僕たちは今、王都の出口の前にいた。

「嫌だ! 行かないで!」

 ミリアちゃんは、ウミの脚にギュッと抱きついている。
 僕たちは、今日王都を旅立つ。そのお別れを今しているところだ。

「こらこら、ミリアダメよ」
「……うー、嫌だー!」

 王妃様が困ったような顔をしている。

「ミリアちゃん」
「……ん?」

 腰を落として、ミリアちゃんと同じ目線になる。

「ミリアちゃんは、ウミと別れるの嫌?」
「……」

 ミリアちゃんは小さく頷いた。

「そっか、そうだよね。ウミもね、ミリアちゃんと別れるの寂しいんだよ」
「……え?」

 ミリアちゃんが、ウミの顔を見上げると、ウミが小さく「うむ」と、言った。

「でも、ウミにはやらなくちゃ行けない事があるんだよ。ミリアちゃんもやらなくちゃ行けない事、あるよね」
「……うん」
「じゃあさ、約束しようか。ミリアちゃんが大きくなったら、また遊ぼう? もちろん。ウミ、良いよね?」
「うむ。もちろんだ!」
「ほ、本当?」

 僕たちは、それぞれ頷き返した。

「約束……だよ?」
「もちろん」

 ミリアちゃんは、ニコッと笑ってウミの脚を離した。

「それじゃ、約束忘れないでね! 国王様、王妃様、今までありがとうございした!! この御恩は領主になってからきっちりと返させて頂きます!」

 そう言って、僕たちは王都を後にした。

「この約束は、絶対に忘れられないな」
「そうだね」

 それから、王都の壁が小さくなってきた時、とある事を思い出した。

「あ、そうだウミ」
「どうしたの?」
「ずっと言い忘れてたんだけど、これ見てよ」

 魔力袋の指輪から小さな袋を取り出した。

「なんだ、それは?」

 その袋の封を開けて、少し中身を取り出した。
 そこからは、小さな白い粒が出てきた。

「ん? それは……米!?」
「そうだよ」
「ど、どうやって、それを手に入れたんだ!?」
「実は、父様がこれを領地で育て始めたんだって。食べ方が分からないって」
「ははは、そうか。まぁ、初めてそれを見たら食べ方分からないよな。食べ方教えたのか?」
「うん。手紙で教えたよ。この間返事返ってきて美味しかったって言ってたよ」
「そうか。良かった」

 ウミは、食べ方を知らずにそのまま収穫中止になる事を危惧したのか、ホッとしていた。

「これで、ウミの欲しいお稲荷さんに近づいたな」
「うむ! 楽しみだ」
「王宮で砂糖と酢とかも手に入られたから、後はダシに使う、昆布と鰹節、それに、油揚げだな」
「そうだな。まだまだかかると思うが、楽しみに待っているぞ!」

 そして、俺たちは海のある街に向かった。

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