もふもふ好きの異世界召喚士

海月結城

野宿

 僕たちは、ギルドがある街を目指すため街道を歩いていた。

「あー、足疲れた〜」

 歩き始めて5時間、流石に足が疲れた。

「ちょうどお昼時だし休憩しようか」

 ちょど良い広場を見つけ、そこに荷物を置いて休憩することにした。

「それじゃ、クロとルルで食べられる物を持ってきてくれないか?」
「にゃー」
「ワフッ!」
「クロ、ちゃんとルルを見ていろよ」
「にゃー」

 ちょっとだるそうに、でも、しょうがないな、みたいな鳴き声を出して、ルルを連れていった。

「さ、モフラは俺と一緒に水を沸かすぞ」
「キュル!」

 と、言っても木とかを集めて水を沸かすのも俺の役目だから、モフラはただの癒し担当だけどね。

「よし、木は集め終わったから、火を付けるか。『火よ』」

 僕がそう言うと指から火が出てきて、木に火が付いた。

「あとは、この上に網を置いてっと、あ、ポットに水を入れないとな『水よ』」

 またまた、指から水が出て来て、ポットの中に入って行った。

「こんぐらいあれば良いかな」

 水を沸かしていると、クロとルルが戻ってきた。

「お帰り〜。食べられる木の実とかあった?」
「ワフッ」

 ルルが、付いて来て! と、言わんばかりに足の裾を加えて来た。

「そっちに何があるんだ?」

 ルルについて行きそこで見たのはーー

「嘘でしょ。なんでブタ? が死んでるんだ?」

 そこには、背中に小さな木を生やしたブタが倒れていた。

「こんな時に鑑定のスキルがあったら楽なのにな」

 僕は、そのブタを凝視してみたが、特に何も起きなかった。

「もしかして、これを食べようってことか?」
「にゃー」
「キュル!」

 そうらしい。

 って、ことで、沸かした熱湯を近くの平べったい岩にかけて消毒したあと、それを網の上に乗せてフライパン代わりにして、木ブタの肉を焼き始めた。

「よし、そろそろ良いかな」

 焼いた肉を切り分け、クロとルルに分けた。

「なぁ、モフラはこれ食べるか?」

 モフラは体を横に震わせた。

「そっか。ん? モフラって今まで何食べて来たの?」

 モフラは、体を斜めにした。

「分からないのか。ま、その内だな。今は、これを食べるか。さ、クロ、ルル、食べるか」

 これは、美味い!! 何も味付けてないのにこんなに美味しいなんて、持っていけないのが悔やまれる。

 実は、イサミが食べた木ブタは、背中に香辛料のなる木を生やすブタだったのだ。背中の香辛料の木が体の中の肉を美味しくした、特に貴族たちに好んで食べる高級肉だったのだ。

「まさか、異世界でこんなに美味しいのが食べられるとは……」

 休憩し終えた僕たちは、荷物を片付けて歩き出した。

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