螺旋階段

山田 みつき

13 友達

桜はやがて、徐々に男子の様な振る舞いになってゆく。
私はどちらかと言うと、邪魔とさえ感じて居た故に、一層の事、妹が『弟』だったらまた違うのかと問う。

…真冬んトコは、弟か。
ウチは妹だからな。

ぼんやりと遠くを眺めていた。
今日も桜は賭事をして、未だ幼い者達から信じられない額を手にしている。
その耳障りな声、その口調、友人の脅えながら笑うトーンが気に障る。

桜「やった、また勝ったー!オレの勝ちだね!お前ら早くテーブルの上に負け金置けよ。」

嫌味な事に桜はゲーム、賭事は強い。
根性もない癖に、調子に乗って、その儲けた金から酒代や煙草代にあてている。

空を見上げたら、カラスと目が合った。
そのままじっと、私の方向を見ていた。

桜「はーい、またオレの勝ちー!」

私は苛立ち、妹の部屋に入った。

香澄「…うっせーな!!黙れクソガキ共。」

桜にとって私は怖いとかの次元を超えた、其れを持っていた。
なので私の大した事も無い怒鳴り声で全員が黙る。

窓の外を見直すと、カラスが居なくなっていた。
自由に飛び回り、何処かへ消えて行った。

私は煙草に着火し、フと過ぎったあの顔に電話した。

プルルルルル…

香澄「あっ、も…」

受話器側で若い男の声がした。
どうやら騒いでいる様に感じた。
そしてすぐに声を発した。

真冬「ごめんごめん!弟達がうるさくって。まぁ、毎度の事だから気にしないで。」

香澄「…例の弟?」

真冬「そうそう。いつもなの。」

香澄「ウチもいつもだよ。…妹なのにね、『オレ』とか言っちゃって。」

真冬「井川さん…じゃなくって!香澄前言ってたもんね。屋上の時。」

香澄「そうそう。ウチもうるさいからさっきピシャリと黙らせてやったけどね。それよりさ、こんなつまんないし、どっか出掛けない?」

真冬は何だか少し、困った様子で話した。

真冬「…ウチは、御免ね。出れないんだ。ホントごめん。今度、見計らってみる。」

香澄「…そ…そうだよね。普通は中学生が夜になんか家出て行ったりしないよね。」

言い放ち、私は電話を切った。
少し羨ましいとも思った。

私は干渉されて居ないから、その感覚が解らない。
やっぱり、和田真冬と云う人間とは友達になんてなれないと感じた。

その時だ。
考えてる隙もなく、和田真冬から着信があった。

真冬「もしもし…!!香澄ちゃん?さっきごめん!やっぱり遊びに行こっ、私も気晴らししたいし。」

…気晴らしねぇ…
どんな感じなんだろう。
貴方はどんな事を抱え、気晴らすのだろう、と。

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