巻き込まれ系男爵令嬢は苦労する

こうじ

王子様とその婚約者に会いました、が・・・・・・

 ユリシアさんの後を追いながら廊下を歩いていると反対側からきらびやかな男女が歩いてきました。
「アーリスさん、あの方は第3王子の『シュナイド』殿下、隣にいるのは婚約者の『テレシア・ワンドヘルト』公爵令嬢よ。」
 あの方が第3王子ですか、写真で見るより実物の方がかっこいいですね。
 婚約者の方も美人で・・・・・・、あれ? 何処かで会った事あるような・・・・・・。
 何か頭の片隅にモヤモヤした様な物が・・・・・・。
 と、考え込んでいるうちにそのお二人がこちらに近づいて来ました。
 モヤモヤは1回向こうに行ってもらって緊張した面持ちをします。
「ユリシア、そちらの女性は新人かい?」
「はい、本日より宮廷見習いとして勤める事になりましたアーリスと言います。」
「はじめまして、アーリス・テゴニアと申します。」
 自己紹介してお辞儀をする、これは貴族の基本的なマナーの1つ。
「えっ・・・・・・、もしかして『アーちゃん』?」
 ・・・・・・えっ?
 いきなり私の幼い頃のあだ名を呼ばれ驚いて顔をあげると婚約者の方がビックリした様な顔をしている。
 その顔を間近で見た瞬間、私の幼い頃の記憶がグルグルと回りだした。
「『テーちゃん』?」
「そうだよ! やっぱりアーちゃんだぁっ! 久しぶりだね!」
「テーちゃん! 10年ぶりだねっ!」
 そう、第3王子の婚約者は私の幼馴染みだったのだ。
 名前でわかれば良かったんだけどいまいちピンと来なかった。

「コメディー」の人気作品

コメント

コメントを書く