『異世界ニート』~転移したら幼い女神と旅をすることになった件について~

小町 レン

第十三話 鋼。そしてサフィア。

【鋼を司る神】。神名 へパイトス。彼の【魔法トリガー】は《錬金術》。その魔力とスキルは、彼の記した魔導書だけであっても“一級品の装備”を製作できるほどと言われている。この世界の人は、“パ”が言いにくいから【ヘイトス】と読んでいるとさっきイズから聞いた。

「なんで【契約者フィリア】の君がこんな何もないところで店をだしてるの…?」

イズが不思議そうに聞く。何せ【契約者フィリア】の【魔法トリガー】は神が一定距離以内にいないと能力が使えない筈だ。

「えっと…その……私、今はもうへイトス様の【契約者フィリア】では無いのです…」

「えっ」

イズとユウムの間抜けな声が響く。しかし、良く見ると、【契約者フィリア】の右手に刻まれる紋章が半分消えているのだ。

「あの、私、ガイア様のお役に立てなくて…それで、【契約者フィリア】を解消させられたのです……だから自分の中に残ったこの【魔法トリガー】で、農家の方たちのお手伝いをしてるんです……」

「…え、【契約者フィリア】って解消できるのか?」

「はい…神が解消を求めた時のみ、神の詠唱によって解消できます……解消すると、五〜七割ほど魔力が残るんです。」

なるほど、…ってなんで俺が知らないんだよ!聞いてないぞそれ!!

イズの方を見ると、プイっと反対方向を見て目を合わせない。。知ってたなこれ、知ってたのにワザと伝えなかったな……

「そうなのか…あ、紹介が遅れたね。俺の名はユウム。隣にいるこいつがイズモだ。よろしく。君の名前は?」

「私はサフィアです!よろしくです!」

「おう!ところでサフィア、この飾ってある農家の道具は全部君が作ったの?」

「はいです!ガイア様の【魔法トリガー】は錬金術に長けているのです!そのため、ヘイトス様の記す魔導書は即完売!スキルで一級錬金術を使えるのは現時点で五人と言われてます!」


………やば…じゃあさっきはその五人のうちの一人を……

ユウムの背筋が少し凍る。

「そ、そうなのか…サフィアはもう装備の製作はしてないの?」

「…はい、今はもう作ってないです。…何故です?」

「今、ユグに入るための装備を製作してる人を探しててな。」

「ユグドラシル攻略……お二人はあの【天辺ウストを目指されてるんですか?」

「あ、あぁ一応な。まだ一階層も行ってないんだけどな。」

「………なるほど…分かったです。…私がユウム様の装備を製作するです。」

「本当か!」

「但し、条件があるです。」

「…条件…?ってなんだ?」


「私もその冒険のお供をさせて欲しいです。」





コメント

  • ふじのきぃ

    最新話13話までイッキ読みしました!面白いです!
    時間や空間魔法を使う主人公やヒロイン待ってました!
    読んでいて、超時空魔法がチート能力だと考察出来てしまい大変興味深いです。
    イズモが とにかく可愛い!
    あとウサギのアメとユキも!
    表紙絵は作者様が描かれたのでしょうか?
    イズモの絵が文中と同じく空色の髪で表現されていて可愛らしく良かったです!
    今後の展開を楽しみにしております!
    長文失礼しました!

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