異世界に飛ばされたが選択肢を間違うと必ず死んでしまうなんてあんまりだ!~早く元の世界に帰らせてくれ!~

やまと餅

セーブと選択肢

 目の前に表れたウインドウの内容をみて俺は目を疑った。


 ――――――――――――――――
 セーブしますか?
 ・はい
 ・いいえ
 ――――――――――――――――


「セーブ? どういうことだ? 」


 セーブの意味はわかる。
 わかるが、理解が追い付かない。
 そろそろ寝ようとしていたが、眠気も一気に覚めてしまうくらいには、驚きと混乱がある。




 ――暫くどうするか考える。
 セーブということは、今までの出来事を保存できるということだが……


「仮にこの後死んでも、今度はここからはじまるってことか?」


 だとしたらセーブをするかどうかも慎重に選ばなければならない。
 もしセーブをした上で、次の瞬間突然死ぬということがあれば、例え生き返っても詰んでしまう。


「……今回は情報も手にいれることができたし、森にはモンスターも出ないらしいから、を選んでも大丈夫……だよな? 」


 いきなり死ぬということはないだろうと思い、恐る恐るはいを選ぶ。
 今までも、ゲームみたいだなと思っていたがセーブ機能まで出てくると本格的にゲームの様になってきた。


「もしかしたら誰かが俺の行動を操作してる……とかもありえるのかなぁ」


 勿論自分の意思で選択、行動はしているつもりだが不安になってくる。
 ふと、このゲームのような選択肢は選択をした上でそれに反した行動をとったりすることは出来るのだろうかと疑問が生まれた。
 今までは素直に選択肢に従ってきたが、そもそも選択肢を選ばないということなどもできるのだろうか?


「次に選択肢が出た時は、試してみるのもいいかもしれないな」


 こんなことが言えるのは、セーブをしたという事で少し強気になっているのかもしれない。
 ……勿論死ぬのは嫌だが。




「ふぁーあ……」


 大きな欠伸が出る。
 一度眠気は飛んだ筈だったが、色々考えていたらまた眠くなってきた。
 とりあえず、次選択肢が出たときは、まず選択肢自体を無視してみようと思う。




 ……にしてもセーブっていうシステムが出るなら、あの子を襲う選択肢が出る直前とかに出てくれてれば、セーブした上で襲いにいってたのに、なんて最低ことを思いながら眠りにつくのであった。

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