勇者にとって冒険の書は呪いのアイテムです
⑨ぜつぼうのるーぷ(4)
「…なるほど手詰まりになってるわけですね。にわかには信じがたいですが…。これご12回目のやり直しだとすると、セツリさんはよく耐えられていますね。…苦しかったでしょう」
『…はい』
セツリが頷く。
ミリはセツリの頭を背伸びをして抱き寄せる。
「私がもし、万策尽きたといったのであれば正攻法で倒すのは難しいのかもしれません。ですが、今一度状況を整理してみませんか?少しでも前に進むために」
『いいえ』
嫌だ、もう戦いたくない。
セツリは首を振る。
「冒険の書の力は圧倒的です。どんな苦難もやり直すことで解決の方法を探れる。しかし、今回のように後戻りができない状況だと死ねない故に無限に地獄が繰り返される。残酷な力でもあります」
ミリはセツリをぎゅっと抱きしめる。
「…セツリさん、あなたがどんな体験をしてきたのか、私には想像もできません。しかし、少なくとも今のこの状況を抜け出さないとあなたは今後穏やかに過ごすことができません。永遠にこの苦しみが続いてしまう。私達は出会って間もないですが、それでもあなたがこの状況から抜け出すことを私は心からお手伝いしたいと思っています」
『………』
「セツリ、これはお前にしかできないことだ。辛いことをお前1人に任せちまって本当にすまない。でもお前は1人じゃない。そのパンデラってやつを倒そうぜ」
『…はい』
セツリは顔を上げ、頷く。もう少し苦しむ覚悟を決めた。
「状況を整理しましょう。①戻る道が塞がったところでセーブポイントが更新されている。②戻りの道はパンデラを足止めしても開通できる可能性はかなり低い。③パンデラと遭遇するまでの道は一本道で、1人で戦ってレベルアップを集中させても勝てない。④パンデラに有効な属性攻撃は聖属性。他の属性はほぼダメージを与えられない。⑤パンデラに対峙する時には「ホーリ」がなければゾンビ化させられてしまう。⑥パンデラは最大腕が6本になる。⑦パンデラの黒い魔法の矢は今のところ防御不能。⑧パンデラは地面に潜り、高速で移動することができる。⑨パンデラをやり過ごすことも難しそう。⑩「セシル」は調整すれば防御に使う「氷壁」になる。⑪「アガペ」、「ホーリ』はパンデラに使ってもダメージは与えられない…こんなところでしょうか?」
 
『はい』
 
「むむむ…マジか、これ、大分厳しいな」
ユージーンが髭を撫でながら唸る。
「属性攻撃に属性付与することはできないので、「稲妻斬り」や「ジーン」、「イフリ」、「セシル」はあまり使えませんね。攻略のカギはやはりユージーンさんのゾンビキラーと「赤化」でしょうか」
「俺?」
はい、とミリが頷く。
「それとセツリさんの蓄積されたパンデラとの戦闘経験も必要です。あとは「氷壁」はやはり防御や目くらましには使えそうなのであとで作ろうと思います」
ミリが考えた作戦はこうだ。
まず、戦闘前に「ホーリ」を全員にかけ、黒い矢が出るまではセツリとユージーンでダメージを与えてる。
ミリは回復と防御を担当。
手が6本になり、黒い弓を出したら、矢を放つ前に「赤化」を発動させ、弓を奪う。
「弓を奪えばあとは地面を潜る移動さえ攻略できればなんとかなるかもしれません」
『はい』
「問題はどうやって移動先を予測するか、だな」
『!? 命令させろ』
セツリは思いついた作戦を2人に話す。
「…確かにそれはそうなる可能性が高いかもしれません」
「あぁ、向こうはこちらが初見だと思ってるわけだしな」
3人は12回目の戦いの準備を始めた。
『…はい』
セツリが頷く。
ミリはセツリの頭を背伸びをして抱き寄せる。
「私がもし、万策尽きたといったのであれば正攻法で倒すのは難しいのかもしれません。ですが、今一度状況を整理してみませんか?少しでも前に進むために」
『いいえ』
嫌だ、もう戦いたくない。
セツリは首を振る。
「冒険の書の力は圧倒的です。どんな苦難もやり直すことで解決の方法を探れる。しかし、今回のように後戻りができない状況だと死ねない故に無限に地獄が繰り返される。残酷な力でもあります」
ミリはセツリをぎゅっと抱きしめる。
「…セツリさん、あなたがどんな体験をしてきたのか、私には想像もできません。しかし、少なくとも今のこの状況を抜け出さないとあなたは今後穏やかに過ごすことができません。永遠にこの苦しみが続いてしまう。私達は出会って間もないですが、それでもあなたがこの状況から抜け出すことを私は心からお手伝いしたいと思っています」
『………』
「セツリ、これはお前にしかできないことだ。辛いことをお前1人に任せちまって本当にすまない。でもお前は1人じゃない。そのパンデラってやつを倒そうぜ」
『…はい』
セツリは顔を上げ、頷く。もう少し苦しむ覚悟を決めた。
「状況を整理しましょう。①戻る道が塞がったところでセーブポイントが更新されている。②戻りの道はパンデラを足止めしても開通できる可能性はかなり低い。③パンデラと遭遇するまでの道は一本道で、1人で戦ってレベルアップを集中させても勝てない。④パンデラに有効な属性攻撃は聖属性。他の属性はほぼダメージを与えられない。⑤パンデラに対峙する時には「ホーリ」がなければゾンビ化させられてしまう。⑥パンデラは最大腕が6本になる。⑦パンデラの黒い魔法の矢は今のところ防御不能。⑧パンデラは地面に潜り、高速で移動することができる。⑨パンデラをやり過ごすことも難しそう。⑩「セシル」は調整すれば防御に使う「氷壁」になる。⑪「アガペ」、「ホーリ』はパンデラに使ってもダメージは与えられない…こんなところでしょうか?」
 
『はい』
 
「むむむ…マジか、これ、大分厳しいな」
ユージーンが髭を撫でながら唸る。
「属性攻撃に属性付与することはできないので、「稲妻斬り」や「ジーン」、「イフリ」、「セシル」はあまり使えませんね。攻略のカギはやはりユージーンさんのゾンビキラーと「赤化」でしょうか」
「俺?」
はい、とミリが頷く。
「それとセツリさんの蓄積されたパンデラとの戦闘経験も必要です。あとは「氷壁」はやはり防御や目くらましには使えそうなのであとで作ろうと思います」
ミリが考えた作戦はこうだ。
まず、戦闘前に「ホーリ」を全員にかけ、黒い矢が出るまではセツリとユージーンでダメージを与えてる。
ミリは回復と防御を担当。
手が6本になり、黒い弓を出したら、矢を放つ前に「赤化」を発動させ、弓を奪う。
「弓を奪えばあとは地面を潜る移動さえ攻略できればなんとかなるかもしれません」
『はい』
「問題はどうやって移動先を予測するか、だな」
『!? 命令させろ』
セツリは思いついた作戦を2人に話す。
「…確かにそれはそうなる可能性が高いかもしれません」
「あぁ、向こうはこちらが初見だと思ってるわけだしな」
3人は12回目の戦いの準備を始めた。
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