受験生でしたが転生したので異世界で念願の教師やります -B級教師はS級生徒に囲まれて努力の成果を見せつける-
プレハブすらない
「またお会いしましたね!」
「まぁ、そりゃそうだろうな」
わざわざそこらの不動産屋に行って探していたんだ。
ズンバに拠点がないというのは本当だろう。
そして、それが本当ならば今日の宿すらないという事になる。
じゃあ、どこに泊まるか。
領主の館しかないだろう。
「もちろん、僕たちは他の一画を使いますので、お気になさらず」
「こういう時は俺がそっちに挨拶に行くのが筋だと思うんだが? 来させておいてなんだけども」
「いえいえ、僕自身大きな身分はもってませんし、ライヤさんには僕が挨拶に来るべきでしょう。アン姉さまもいらっしゃいますし」
あるだろ!
王子という御大層な肩書が!
これ以上ないだろ!
「私に挨拶に来たという体であればいいのよ。私からは絶対に行かないから」
「あはは……。アン姉さまは変わらないですね……」
苦笑するキリシュライト。
アンが国内担当でキリシュライトが国外担当。
それぞれ担当が違う2人は同じ城内にいても顔を合わせることはほぼ無いらしい。
「それで、キリシュ。ここのことをどうやって治めていくつもり?」
「うーん、そうだなぁ……。まずは、権力を集めるところからかなと思うよ。今の体制だと、どこでボロが出るかわからないから……」
「わかってるならいいわ。私は極力手伝わないから」
「うん、アン姉さまがお目付け役なのは知ってるよ。それでも、どうしようもなくなったら頼ることはあるかもしれないけど」
「どうしようもなくなる前に頼りなさい」
なんだかんだ、アンが兄弟姉妹の中で一番甘いのはキリシュに対してだとライヤは思っている。
イリーナは自分に対抗意識を燃やしているから結果的に少し対立。
ウィルは今は落ち着いたとはいえ、恋敵。
あれほどバチバチにやりあったのだからそう簡単に確執は消えない。
カムイは論外。
消去法にはなるが、当然と言えば当然だ。
単純にキリシュライトがアンのことを慕い続けているのも大きいだろう。
というか、キリシュライトは基本的に会った人全員のことが好きである。
博愛主義と言えば聞こえはいいが、問題は罪人であれ程度の差はあるが好きであること。
軽犯罪なら許しかねない勢いなのである。
ただ、そこは側近が止めたり、自制したりしてちゃんとやっているらしいが。
「あの、私たちが聞いてしまっても良かったのでしょうか……」
「あら、ヨル。あなた他の人に話す予定でもあるの?」
「ないですけど!」
「たいした話じゃないから心配しなくていいわ。この程度、ライヤなら何度も聞いたことがあるはずよ」
「で、それを聞いたからって共犯扱いされて手伝わされるんだよな。ヨルも気を付けたほうがいいぞ」
「えぇ!?」
「ああは言ったけど。アンもそれどころじゃないだろ?」
「そうね。まさか分校予定地すらないとは思わなかったわ」
教師を送るなら、せめて授業する場所くらい作っておいてくれって話だよな。
新年度に入っても、校舎が出来る見通しは立たない。
だが、授業はそろそろ始めなければいけない。
「無茶苦茶だな」
「校長に抗議文は送っておいたけど、どれだけまともに受け取るかしらね」
向こうも向こうで忙しいはずではあるが、あまりにも放任すぎやしないだろうか。
「こうなったら仕方ないわ。青空教室を開くわよ」
「教師は?」
「もちろんライヤよ」
「……学年は?」
「そんなものないわ。子供たち全員によ」
もっと無茶な事言い出した……。
「まぁ、そりゃそうだろうな」
わざわざそこらの不動産屋に行って探していたんだ。
ズンバに拠点がないというのは本当だろう。
そして、それが本当ならば今日の宿すらないという事になる。
じゃあ、どこに泊まるか。
領主の館しかないだろう。
「もちろん、僕たちは他の一画を使いますので、お気になさらず」
「こういう時は俺がそっちに挨拶に行くのが筋だと思うんだが? 来させておいてなんだけども」
「いえいえ、僕自身大きな身分はもってませんし、ライヤさんには僕が挨拶に来るべきでしょう。アン姉さまもいらっしゃいますし」
あるだろ!
王子という御大層な肩書が!
これ以上ないだろ!
「私に挨拶に来たという体であればいいのよ。私からは絶対に行かないから」
「あはは……。アン姉さまは変わらないですね……」
苦笑するキリシュライト。
アンが国内担当でキリシュライトが国外担当。
それぞれ担当が違う2人は同じ城内にいても顔を合わせることはほぼ無いらしい。
「それで、キリシュ。ここのことをどうやって治めていくつもり?」
「うーん、そうだなぁ……。まずは、権力を集めるところからかなと思うよ。今の体制だと、どこでボロが出るかわからないから……」
「わかってるならいいわ。私は極力手伝わないから」
「うん、アン姉さまがお目付け役なのは知ってるよ。それでも、どうしようもなくなったら頼ることはあるかもしれないけど」
「どうしようもなくなる前に頼りなさい」
なんだかんだ、アンが兄弟姉妹の中で一番甘いのはキリシュに対してだとライヤは思っている。
イリーナは自分に対抗意識を燃やしているから結果的に少し対立。
ウィルは今は落ち着いたとはいえ、恋敵。
あれほどバチバチにやりあったのだからそう簡単に確執は消えない。
カムイは論外。
消去法にはなるが、当然と言えば当然だ。
単純にキリシュライトがアンのことを慕い続けているのも大きいだろう。
というか、キリシュライトは基本的に会った人全員のことが好きである。
博愛主義と言えば聞こえはいいが、問題は罪人であれ程度の差はあるが好きであること。
軽犯罪なら許しかねない勢いなのである。
ただ、そこは側近が止めたり、自制したりしてちゃんとやっているらしいが。
「あの、私たちが聞いてしまっても良かったのでしょうか……」
「あら、ヨル。あなた他の人に話す予定でもあるの?」
「ないですけど!」
「たいした話じゃないから心配しなくていいわ。この程度、ライヤなら何度も聞いたことがあるはずよ」
「で、それを聞いたからって共犯扱いされて手伝わされるんだよな。ヨルも気を付けたほうがいいぞ」
「えぇ!?」
「ああは言ったけど。アンもそれどころじゃないだろ?」
「そうね。まさか分校予定地すらないとは思わなかったわ」
教師を送るなら、せめて授業する場所くらい作っておいてくれって話だよな。
新年度に入っても、校舎が出来る見通しは立たない。
だが、授業はそろそろ始めなければいけない。
「無茶苦茶だな」
「校長に抗議文は送っておいたけど、どれだけまともに受け取るかしらね」
向こうも向こうで忙しいはずではあるが、あまりにも放任すぎやしないだろうか。
「こうなったら仕方ないわ。青空教室を開くわよ」
「教師は?」
「もちろんライヤよ」
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