受験生でしたが転生したので異世界で念願の教師やります -B級教師はS級生徒に囲まれて努力の成果を見せつける-
意外性
「で、何を考えてたんだ?」
デラロサの降参を受け、ライヤが質問する。
「いえ、大したことではないです」
「……秘密か?」
「秘密ですね」
「そうか。まぁ、そういうこともあるだろうな。いい戦いだったぞ」
デラロサを労い、次の挑戦者を迎える。
「その前に、水だけ飲んでいいか?」
「もちろんです。何なら、少し休憩されますか?」
「いや、そこまでじゃない。ただ、のどの渇きはちょっとな」
残りはウィル、エウレア、ティム、ゲイル、そしてキリト。
「お前たち3人が最後だと思ったんだけどな」
「何番でも、俺のやることは変わりません」
ティムは槍を構える。
1年の時から2年にかけて武器が変わったのはティムだけだ。
去年はマロン以外は全員剣だったが、ティムは考えた結果槍にいきついたらしい。
それは幼少期から鍛えていた剣を捨てることを意味するので、ライヤも本当にそれでいいのかと聞いたが、本人の意思は固かった。
「いきます」
去年とは違い、ティムは積極的に前へと出てくる。
ライヤはティムの槍を後ろに下がりながら受けていく。
槍という武器の最大の利点はそのリーチにある。
体が成長途中のティムの槍はまだ大人用のそれほど長くはないが、剣の間合いよりも遠くから攻撃できるのは確かだ。
「ふっ!」
「うおっ!?」
突如、ティムの攻撃の速さが変わり、眼前に迫った槍をどうにか剣で逸らす。
ライヤはティムが風魔法を使ったのだろうとあたりをつける。
一瞬の加速で出し抜こうとしたのだろうが、結果は失敗。
ここから槍を引き戻すまでの時間がある。
そう考えながら前に出ようとしたライヤだが、感覚が警鐘を鳴らし、それを中断する。
見れば、ティムは槍を手放しており、ライヤの方へと突っ込んで来ていた。
武器は……、とライヤは探すが、ティムの手の辺りで光が反射したのを確認してそんな思考は放棄する。
ボンッ!
2人の間で音を立てて風が爆発し、強制的に距離が出来る。
意図しない衝撃にティムは吹き飛び、床に転がる。
「げほっ……!」
逆方向に飛んでいたライヤは既に戻ってきており、ティムに剣を突き付ける。
「よし、テスト終わり! ヨル!」
「はい、失礼しますねー」
今まで出番なしだったが、ここにきてヨルに頼らなければいけなくなった。
「大丈夫か? これ何本だ?」
「3です」
「よし、大丈夫そうだな」
「特に異常は見られないと思います」
「ヨルもありがとう」
吹っ飛んだ衝撃で頭を強く打っていたりしないかと心配したライヤだが、そこは王女の護衛。
上手く受け身を取っていたらしい。
「手に持ってたのはなんだ?」
「これのことですか?」
シュッと袖から出てくる小さな刃。
形は違うが、苦無のようなものか。
「……ティムが自分で考えたのか?」
「いえ、エウレアに助言を貰いました。どうにも、自分の考えは凝り固まっているところがあるので……」
それにしてもいきなり暗器はかなりトンでいるが。
あんまり仲の良い様子を見せない護衛組が相談し合える仲だと知れたのは収穫か。
「惜しかったな」
「いえ、本来であれば先生に反応されないのを目指していたので……」
すぐに反省し始めるティムにライヤは戦慄する。
こいつ、もしや、そっちの適性の方が高いのか……?
デラロサの降参を受け、ライヤが質問する。
「いえ、大したことではないです」
「……秘密か?」
「秘密ですね」
「そうか。まぁ、そういうこともあるだろうな。いい戦いだったぞ」
デラロサを労い、次の挑戦者を迎える。
「その前に、水だけ飲んでいいか?」
「もちろんです。何なら、少し休憩されますか?」
「いや、そこまでじゃない。ただ、のどの渇きはちょっとな」
残りはウィル、エウレア、ティム、ゲイル、そしてキリト。
「お前たち3人が最後だと思ったんだけどな」
「何番でも、俺のやることは変わりません」
ティムは槍を構える。
1年の時から2年にかけて武器が変わったのはティムだけだ。
去年はマロン以外は全員剣だったが、ティムは考えた結果槍にいきついたらしい。
それは幼少期から鍛えていた剣を捨てることを意味するので、ライヤも本当にそれでいいのかと聞いたが、本人の意思は固かった。
「いきます」
去年とは違い、ティムは積極的に前へと出てくる。
ライヤはティムの槍を後ろに下がりながら受けていく。
槍という武器の最大の利点はそのリーチにある。
体が成長途中のティムの槍はまだ大人用のそれほど長くはないが、剣の間合いよりも遠くから攻撃できるのは確かだ。
「ふっ!」
「うおっ!?」
突如、ティムの攻撃の速さが変わり、眼前に迫った槍をどうにか剣で逸らす。
ライヤはティムが風魔法を使ったのだろうとあたりをつける。
一瞬の加速で出し抜こうとしたのだろうが、結果は失敗。
ここから槍を引き戻すまでの時間がある。
そう考えながら前に出ようとしたライヤだが、感覚が警鐘を鳴らし、それを中断する。
見れば、ティムは槍を手放しており、ライヤの方へと突っ込んで来ていた。
武器は……、とライヤは探すが、ティムの手の辺りで光が反射したのを確認してそんな思考は放棄する。
ボンッ!
2人の間で音を立てて風が爆発し、強制的に距離が出来る。
意図しない衝撃にティムは吹き飛び、床に転がる。
「げほっ……!」
逆方向に飛んでいたライヤは既に戻ってきており、ティムに剣を突き付ける。
「よし、テスト終わり! ヨル!」
「はい、失礼しますねー」
今まで出番なしだったが、ここにきてヨルに頼らなければいけなくなった。
「大丈夫か? これ何本だ?」
「3です」
「よし、大丈夫そうだな」
「特に異常は見られないと思います」
「ヨルもありがとう」
吹っ飛んだ衝撃で頭を強く打っていたりしないかと心配したライヤだが、そこは王女の護衛。
上手く受け身を取っていたらしい。
「手に持ってたのはなんだ?」
「これのことですか?」
シュッと袖から出てくる小さな刃。
形は違うが、苦無のようなものか。
「……ティムが自分で考えたのか?」
「いえ、エウレアに助言を貰いました。どうにも、自分の考えは凝り固まっているところがあるので……」
それにしてもいきなり暗器はかなりトンでいるが。
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「いえ、本来であれば先生に反応されないのを目指していたので……」
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