受験生でしたが転生したので異世界で念願の教師やります -B級教師はS級生徒に囲まれて努力の成果を見せつける-
家族会議開幕
「マオさ、どうにかしてくれよ」
「……なぜそれを私に?」
「ウィルの言う事なら聞くだろ」
その夜の食卓。
「あまりマオに命令したくないのです。私は王族ですが、命令することに慣れたくはないので」
「割と王族の立場を利用する質だろ……。本音は?」
「命令することでまた反応されるのが嫌です」
マオのウィルへの畏敬の念はもはや狂気だ。
もう少しマオに力があれば怪しい宗教団体くらい立てていてもおかしくない。
現にF級では似たような運動が展開されていたらしい。
担任の教師も生徒のすることだからと放っておいたようだが、遂にウィルへのプレゼントを買うためのお金をカンパし始めたあたりで止めたと聞いた。
流石に10歳の身でお金を集めるのは看過できなかったようだ。
そして、この1年ウィルとの関わりがあまり持てなかったのもあってか、ウィルへの心酔度合いはもはや取り返しのつかないものだ。
これについては言うまでもないが。
ライヤの殺害を考え、誰に見られてもいいから殺してやろうと実行している時点でねじがぶっ飛んでいる。
「頼むから、俺が軍につきだす前にやめるように言ってくれ」
「……仕方ないですね……」
はぁ、と重い溜息。
「マオにやめるように俺が言おうか?」
「程度は度を超えていますが、慕われているのです。それをやめさせると?」
「うーん……」
熱狂的なファンもいてもいいとは思うが、他人に迷惑をかけるのなら話は別だ。
ましてや、本人に迷惑をかけるなどもっての外。
「俺が言うのもなんだけどさ、ちゃんと言った方がいいと思うぞ。取り返しがつかなくなる前に」
「ごちそうさまでした。フィオナ、今日も美味しかったよ」
「良かったよ~」
カチャカチャと自分の分の食器を片付けて部屋に戻ろうとするライヤ。
そこに待ったがかかった。
「ちょっとライヤ、もう1度座ってくれる?」
「え?」
振り向けば、いつもよりも真面目な顔をした女性陣。
食器も片付けず、席についている。
「えぇ……?」
恐る恐る席につくライヤ。
「これより家族会議を始めます。議長は私、アンがするわ。異論は?」
「「……」」
「……?」
委細承知済みっぽい女性陣に対し、困惑するライヤ。
家の話をするときとかもこのように格式がある形式ではなかった。
何を話そうというのか。
「議題は、誰が最初に子をなすのかについてよ」
「ぶっ!?」
メイドが目の前に置いたお茶を口に運んだ途端に噴き出す。
それが顔にかかるなんてことは無く、正面にいたアンが魔法で抑えている。
流石の反応速度。
「その話かぁ……」
「ライヤったらいつまでたっても誰にも手を出してこないんだもの。そりゃ家族会議にもなるわよ」
アンの言う通り、ライヤは情事どころか、スキンシップさえもろくに行っていなかった。
そもそもあまり女性に対して積極的でないという点はある。
しかし、最大の理由は。
恥ずかしいのである。
「ライヤのヘタレさは知ってたけど、ここまでとは想像してなかったわ。私たちが徐々に薄着になってるの気付いてる?」
「非常に居心地が悪いです」
気付かないわけがなかった。
ライヤは奥手なだけで興味がないわけではない。
フィオナに日々翻弄されていた程度には欲もある。
「そうでしょ? その感想なのがダメなの。ライヤがこないなら、こっちからいくしかないじゃない」
「おっしゃる通りで……」
うんうんと頷く女性陣にぐうの音も出ないライヤ。
「だから、取り決めをしようと思うわ。ライヤの意見は聞くけど、一番立場弱いから。わかってるわよね?」
「あい……」
哀れである。
「……なぜそれを私に?」
「ウィルの言う事なら聞くだろ」
その夜の食卓。
「あまりマオに命令したくないのです。私は王族ですが、命令することに慣れたくはないので」
「割と王族の立場を利用する質だろ……。本音は?」
「命令することでまた反応されるのが嫌です」
マオのウィルへの畏敬の念はもはや狂気だ。
もう少しマオに力があれば怪しい宗教団体くらい立てていてもおかしくない。
現にF級では似たような運動が展開されていたらしい。
担任の教師も生徒のすることだからと放っておいたようだが、遂にウィルへのプレゼントを買うためのお金をカンパし始めたあたりで止めたと聞いた。
流石に10歳の身でお金を集めるのは看過できなかったようだ。
そして、この1年ウィルとの関わりがあまり持てなかったのもあってか、ウィルへの心酔度合いはもはや取り返しのつかないものだ。
これについては言うまでもないが。
ライヤの殺害を考え、誰に見られてもいいから殺してやろうと実行している時点でねじがぶっ飛んでいる。
「頼むから、俺が軍につきだす前にやめるように言ってくれ」
「……仕方ないですね……」
はぁ、と重い溜息。
「マオにやめるように俺が言おうか?」
「程度は度を超えていますが、慕われているのです。それをやめさせると?」
「うーん……」
熱狂的なファンもいてもいいとは思うが、他人に迷惑をかけるのなら話は別だ。
ましてや、本人に迷惑をかけるなどもっての外。
「俺が言うのもなんだけどさ、ちゃんと言った方がいいと思うぞ。取り返しがつかなくなる前に」
「ごちそうさまでした。フィオナ、今日も美味しかったよ」
「良かったよ~」
カチャカチャと自分の分の食器を片付けて部屋に戻ろうとするライヤ。
そこに待ったがかかった。
「ちょっとライヤ、もう1度座ってくれる?」
「え?」
振り向けば、いつもよりも真面目な顔をした女性陣。
食器も片付けず、席についている。
「えぇ……?」
恐る恐る席につくライヤ。
「これより家族会議を始めます。議長は私、アンがするわ。異論は?」
「「……」」
「……?」
委細承知済みっぽい女性陣に対し、困惑するライヤ。
家の話をするときとかもこのように格式がある形式ではなかった。
何を話そうというのか。
「議題は、誰が最初に子をなすのかについてよ」
「ぶっ!?」
メイドが目の前に置いたお茶を口に運んだ途端に噴き出す。
それが顔にかかるなんてことは無く、正面にいたアンが魔法で抑えている。
流石の反応速度。
「その話かぁ……」
「ライヤったらいつまでたっても誰にも手を出してこないんだもの。そりゃ家族会議にもなるわよ」
アンの言う通り、ライヤは情事どころか、スキンシップさえもろくに行っていなかった。
そもそもあまり女性に対して積極的でないという点はある。
しかし、最大の理由は。
恥ずかしいのである。
「ライヤのヘタレさは知ってたけど、ここまでとは想像してなかったわ。私たちが徐々に薄着になってるの気付いてる?」
「非常に居心地が悪いです」
気付かないわけがなかった。
ライヤは奥手なだけで興味がないわけではない。
フィオナに日々翻弄されていた程度には欲もある。
「そうでしょ? その感想なのがダメなの。ライヤがこないなら、こっちからいくしかないじゃない」
「おっしゃる通りで……」
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